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金持ちジュリエット

「つまりロミオってば、あたしが死んだと早合点して後追い自殺。もう涙も出やしない」
ジュリエットの言葉に、白雪姫とシンデレラと人魚姫がうんうんと頷いた。

「でもマジな話、家同士の対立とかもう嫌になっちゃった。だから私、一人で逃げたの。彼と暮らすための資金がガッチリ隠してあったしね」
「自由でいいなあ。私、母から虐待されてるし」
「アタシなんて母と姉からよ」
「魔女が声よこせとか最悪」

突然ジュリエットが勢いよく立ち上がった。
「だからさ、家やオトコに縛られずに好きなことやろう!当座の資金は私が出すからさ」

三人はおずおずと顔を見合わせた。

「ほんとは私、パティシエになりたかったの」
「アタシ、ダンサーになりたい」
「私はスイミングインストラクター」

ジュリエットはにやりと笑った。
「ほら、みんな夢があるでしょ?あたしたちは物語のヒロインなんかじゃない。自分の人生の主人公なんだから」
四人は固く手を握り合い、互いの眼を見て深く頷き合った。

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