今さらですが、読書の秋(田柴子)⑰「文藝」2023年冬号
「勝手に誰かのお話または記事を読む月間」17本めです。
今回はちょっと独り言めいた内容です。
こちら。
「文藝」2023冬号です!
表紙を見ていただければ判るように「第60回 文藝賞」の結果発表と、受賞作品5作が掲載されております。
今回の文藝賞は、なんと最終候補4作のうち3作が受賞(受賞作1本、優秀作2本)。そして昨年末が締切の特別企画「文藝短編部門」も、受賞作1本、優秀作1本の計5本が一挙デビューとのこと。
おかげで5作も読ませていただけるのです。やれ、ありがたや。
さて、さっそく文藝賞受賞作の小泉綾子さん「無敵の犬の夜」を読ませていただきました。
正直、頭を抱えました。
今の時代、文藝賞で求められているのは、こういうセンスの作品なのか。
他の2作、佐佐木陸さん「解答者は走ってください」、図野象さん「おわりのそこみえ」にも同じ感想を持ちました。
もちろんこの3作品は、それぞれにカラーも雰囲気も異なります。
でもそのいずれもが、とても自分に書けるような系統のものではありません。
2023年の秋しばは、公募の方向を全体に純文学系へとシフトしたのですが、その一角たる「文藝賞」は、こういう傾向だということがびしびし伝わりました。
選考委員の先生方の講評も、非常に厳しいです(いい意味で)。
作品読了後に読むと、なるほどと思わされます。
しかし、残念ながら求められているものが自分向きではないと感じました。
文藝賞の選考委員のなかに町田康先生がいらっしゃいます。
町田先生とは、今年3月の「やまなし文学賞」の授賞式でお会いしました。
講評を読む限りでは、3名の先生方の中でいちばん推してくださったようにも思えました(100%推測)。
でも正直、この文藝賞の講評や受賞者である小泉さんとの対談などを読むと、同じ方に選んでいただいたにもかかわらず、自分の作品などとても同列には論じられません。
受賞作にカラーや傾向を合わせるとかの話ではないです。
自分が書きたいものを書く、それがいちばん肝心です。
その前提で考えても、やはり途轍もない差を感じました。
何に?
文章力とか構成力などの技量ではありません(いや、それもあるけど)。
ひと言で言えば「パワー」でしょうか。
自分はこれを書くんだ、書きたいんだ、という熱量。
実際、「無敵の犬の夜」は決して自分の好きなタイプの話というわけではないのに(すみません)、それでも先へ先へと読ませる力があります。いわゆる「page turner」ですね。
それはひとえに、書き手の熱量によるものだと思うのです。
それにくらべると、私の note 固定記事である「なぜ小説を書くのか ~公募落選の現実と、その先に見えるもの」にも書いたことですが、やはり今の私には勢いが足りない。
( ↓ 2年前の記事ですみません)
公募のために書くのはいいんですが「これ書いちゃるーーーー!」という執念みたいなものが薄いんですね。
他でも書いたんですけど、それが今の私の殻。限界。
何とかしてリミッターを外して書きたい。
過日、やまなし文学賞の授賞式で、町田先生はおっしゃいました。
「同じものを見てもオモロいと思うかどうかは自分次第」
そして文藝賞の選考委員紹介では、こう書かれています。
「いろんな事を気にせずタガを外して自分が真におもしろいと感じるものを書く。まずはそれからと考えます」
私は、何をおもしろいと思うのだろう。
私は、どんなものを読むとおもしろいと感じるのだろう。
まずはそれからと考えます(笑)
それはそのまま、来たる2024年の活動指針ともなるでしょう。
秋しば、腹を括って頑張ります。
本日は以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
*この記事は、以下の自主企画のもとに執筆しております。
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