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『語学』について。

こんばんは。呆です。

いやぁ、ボカコレ2021秋、終わりましたね。とても楽しく、熱い3日間でした。Top100部門にて64位という順位を頂けたのは、ひとえにリスナーの皆様のおかげです。改めて、ありがとうございました。

実は僕、第1回目のボカコレで呆としての活動をスタートさせたんですよ。

『デコイ』という楽曲を投稿したのですが、その時はボカコレの事もよく分かってなかったし、期間の後半に投稿したので別に何も無かったんですよね。ランキングとか載らなかった。

なので今回のボカコレには、しっかりと自信のある武器を携えて、「勝負」をしに行くと決めてました。神社にも御参りしました。

そして、その武器である新曲が、『語学』です。

なんとなく興奮冷めやらないので、自己満足の解説をしていこうと思います。

(今回の記事、凄く長くなりました)

(note、動画の埋め込みがマジで上手くいかない。クソが!)

着想

「呆らしいアイデアに富んだ、かつ誰が聴いてもキラーチューンだと分かる楽曲を作りたい」という思いはボカコレと関係無くずっとありました。

僕はもともとバンド畑の人間だし、パンクで音楽を好きになった人間なので、結局は速くて激しいのが好きなんですよ。
大人しめで上品な曲ばかり作ってきたので、そろそろ呆のアンセム的なものを作ってもいいんじゃないかなと思っていました。

そんな時に聴いた、この楽曲


Sohbanaさんの「ボーイズセイハロウ」です。

BPM=224。誰が聴いても速いですよね。これを聴いて僕は思ったんです。

「そうだよな。BPM=200以下はバラードだよな。」

「...僕もBPM=224の曲を作ろう。」

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音について

キラーチューンといっても、オーバーグラウンドで流行っている曲から手法を借りてくる事だけは絶対にしたくありませんでした。僕のいう「アンセム」とはそういう意味じゃない。僕は僕なりのやり方で、激しい、速い、盛り上がるサウンドを作り上げる事が前提でした。

最初に思い付いたのはド頭から鳴ってるクラビのフレーズです。過去作品の『素敵なリニア』以降、コード楽器をクラビの音から作ることにハマってて、今回もそれを採用しました。音の粒立ちが良く、かつデジタル過ぎない暖かみがあり好きなんです。

イントロのメインリフの音色は、友人である萩原九厘というボカロPの曲をカバーした際、彼のギターサウンドを再現しようと試行錯誤する中で生まれた音です。ギターシンセにLogic Pro Xのペダルボードシミュを噛ませ、コーラスを2つ重ね掛けし、それをディストーションで思いっきり歪ませた後、更に駄目押しでコーラスをもう1つ挿します。

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ギターをやってる友達に「アホ過ぎる」と言われた配列です。3つ刺さっているコーラスとフルテンの歪みによるノイズが他の楽器の音にも干渉しまくるのですが、それを敢えて処理しない事で全体の音に歪なまとまりが生まれました。凶悪ですね。

Bメロの変拍子。4/4拍子→4/3拍子を3+3+3+2で割るというやり方はヘビメタやエモ・スクリーモでもここ1番のキメとしてよく使われているんですが、Bメロで、しかも歌が載っかってる状態でこれをやるというのは結構面白いんじゃないでしょうか。

サビのメロディ。頑張りました。
今回の曲はサビを頗るキャッチーにしようと決めていたので、学生時代ハマったメロコアのエッセンスを取り入れる事にしました。

例えばこの曲とか

サビは大好きな4536進行です。上に貼った曲とは微妙に進行が違うのですが、正直ELLEGARDENはかなり意識しました。

コード進行を教える役割はベースに任せて、サビのクラビはちょっと哀愁を帯びたループを刻んでるのもお気に入りです。

右でベル系のシンセをポーンポーンと白玉で鳴らすのは僕の手癖なのですが、ボカロPのRe:nGさんからの影響だと思います。激しいはずのサビに妙な神聖さが生まれていい感じです。マスタリング担当のとーず君から「倍音が耳に痛いかも」と言われ色々音を変えたりしたんですが、遂に納得が行かず最初の音をそのまま使いました。サビで右耳が痛くなった人、居たらごめんなさい。

サビにもう一つリードシンセを追加しようか最後まで迷ったのですが、バンド音楽感が薄れるので入れませんでした。

1番終わりの間奏で鳴る「ピッ!」というSEは僕んちのエアコンの音です。

2番終わりの3拍子パート。僕的にはベースソロのつもりです。ソロの時間を与えられておきながら、ああいう地味なフレーズしか弾かない捻くれ者のベーシストという設定で作りました。

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詞について

ここ最近ずっとラヴソングばかり書いてきたので、そろそろ僕の内面的なものを綴る歌詞を書いてもいいだろうという事で、僕の「音楽を作る」という行為に対する誇りをテーマに作詞しました。

僕にとっての「歌詞」はポエムではない。メロディや音との融合を前提とした作り方をしていない歌詞は、ハッキリ言ってクソダセェと思っていますからね。歌を作る時だけに作動する文法や語法が存在して、僕はこれに従って歌詞を作っているんだというプライドが有るのです。

そういうわけで『語学』の歌詞はかなり皮肉を利かせたつもりです。今回のボカコレには他にも毒のある危険な歌詞の曲がたくさん公開されたからかあまり目立ってなかったけど。

「食べかけの倫理ごっこ 匙が伸びちゃあまた吐いて吐いて」
「気味悪いブームばっか嗜む輩を撒いて一回転」
「でっち上げをブッ刺して最後に残ったアイデア」

別に名指しで誰かに刃を突き立てる歌詞ではありませんが、或る不特定多数に対して僕なりに立てた中指って感じですかね。

Bメロに「瘴気」という単語が出てきますが、実はこの曲の元々の仮タイトルは「ミアズマ」でして、その名残りです。ミアズマは古代ギリシャで病をもたらすと考えられていた「悪い空気」の呼び名で、歌詞が出来ていく中でタイトルとしては却下されたという感じです。

サビの頭のフレーズ、

「そっと線を引っ張って 眼前に広がってゆけ」
「ぎゅっと強く踏み込んで 反動を伴ってゆけ」

お気に入りですね!こういう、大いなるものに力強く命令する歌詞を作るの夢だったんです!!聴いてる人が慄くほどの強い情熱を一発で表現できたのではないでしょうか。

「最後に残った(ア)イデア」
「那由多の(お)んがくになっていく」

など、前の平仮名と被る母音を省略するという手法も気に入っています。

アウトロの「YEAH」ですが、初音ミクにイェーと叫ばせるかどうかは最後の最後までめちゃくちゃ悩みました。歌う機械であるボーカロイドにアドリブ的なスキャットを言わせる事が正しいかどうか不安だったのです。ガールズドラゴンロードの「イェー。」とは全然種類が違いますからね。

ちなみに「YEAH」のタイミングや音程はロックバンド「或る感覚」の曲『知性のギター』と全く同じです。(どうでもいいか...)

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おわりに

まぁ偉そうに能書きを垂れましたが、ボカコレで投稿された他のボカロPさんの楽曲は本当に素晴らしいものばかりで、改めて自分の力不足を思い知らされました。『語学』には自信がありましたが、だからこそ順位関係無く「完敗だ!」と思った曲が多く悔しかったのも事実です。

聴いてくださった方、本当にありがとうございました。この曲で僕を初めて知った方も多くいらっしゃることと思います。ランクインという結果には個人的に大満足ですが、これで終わらせず呆はまだまだ「良い音楽作り」を頑張っていきますので、何卒宜しくお願いします。

語学サムネ


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