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『狂っと廻って忘れちゃう!』について。

こんばんは。呆です。


いやぁ、ボカコレですね。

運営のメンテナンスで一時はどうなることかと思いましたが、無事新曲を投稿できました。

『狂っと廻って忘れちゃう!』です。



ボカコレが賑わってるうちに是非色んな方にこの曲を楽しんで欲しいので、今回も自己満足の解説記事を書きました。


着想

僕は最近現実に揉みに揉まれて精神が逝っちゃって、この曲はその副産物です。今はいろいろな人が助けてくれたお陰で落ち着いていますが、荒みに荒んだ僕の心が叩き出した1つの暗い結論、人生観です。

次の新曲をボカコレに叩き付けるという予定はあったので、ただの日記や備忘録にならないよう、本当に魂を込めて作ったつもりです。サウンドも、詞も。

あと呆は最近、エレキギターを手に入れました。この偉大過ぎる楽器を使って、今までの自分の枠をひとつ壊してより自由に音楽を作りたいと思って書いたのがこの曲です。

音について

この頃は僕の平沢進,P-MODEL,POLYSICSやDEVOなどへの熱が再燃していまして、やっぱり自分の帰るべき場所はテクノ・ニューウェーブなんだな、なんて思っていました。ただ、自分の趣味をひけらかして溜飲を下げるだけの音楽にならないように、最初から最後までとにかくキャッチーにする事を意識しました。ジャンルのパワーや威厳を借りる事なく、ポップスとしての完成度は高めたかったんです。

その意気込みはイントロのリフで伝わるかと思います。僕にとってイントロのリフってその曲のスタンスを1番詰め込みやすいパートなので、それなりに頑張ったつもりです。

シンセサイザーとシロフォンがユニゾンで奏でるメインリフはマイナースケール。しかしギターのバッキングはメジャーコード。それぞれが細かくタイミングを譲り合ってお互い干渉し合わないようにやってるのがお気に入りです。


ちなみに、一見同じに見えるイントロとAメロのベースラインですが、1箇所だけ微妙に音のなるタイミングが違います。「探してみてください」みたいに言う気すらない物凄く地味な違いなのですが、多分僕しか分からないレベルの小さなグルーヴの変化を付けています。
(意味有んのか・・・?)


Bメロに入って2小節目のギターが一瞬「ぎゅいーん!」って上がるところ、かなり気に入ってます!こんなん普通だろって思うでしょうが、ギター歴3日目くらいの僕にとってはかなり「やってやったぜ」感のあるフレーズなんですよ!!

あと右で鳴ってる808カウベル好き。めちゃくちゃ高音域をブーストさせたのでキャンキャン言ってます。可愛いですよね。

サビ。いや、こんなサビ作る予定全然無かったです。僕は曲をコード進行から作るくせにコード進行の引き出しが全然無く、当初はいつも通りの僕が作るようなサビになりそうでした。

それにどうしても納得が行かず、どうしたもんかと頭を抱えてたんですが(正直この問題でこの曲自体をボツにしかけた。)
昔対バンしためちゃくちゃお洒落な曲を作るギタリストが「理論とか全然わかんないです。全部テキトーにギター弾きながら作ってます。」と言ってたのを思い出して、僕も小一時間ギターをでたらめに触ってみました。

その結果出来たコード進行があのサビです。なんか似たような進行の名曲がある気がしますが...とにかく自分の手グセの範囲を超えた物を作る事が出来たと思います。作業通話をしていた安見スヤくんの「いいんじゃないですか?」という言葉が決め手になりました。

「忘れちゃう」のメロディが半音ずつ上がっている裏で、伴奏は半音ずつ下がっているというのが好きです。僕は理論マジで分かんないのでこれがどういう理屈で罷り通ってるかは全然説明出来ません!!

ちなみに1番サビ終わりでミクさんは
「れっつごー。」
と言っています。ラスサビ終わりでは
「せーの!」
と言っています。かわいいね。



2番Aメロ、いきなりアンビエントなサウンドに変化しますが、ここのビートはずっと前から暖めてた僕の傑作ビートで、左から聴こえるハイハットのパターンが凄く気に入ってるんです。

2サビ後のシンセソロ!!!!!
いやぁ良い。マブダチのもちもちこんちが作ってくれました。やっぱり他人に頼むと自分が予想だにしないとんでもない表情が付けられるもんですね。本当に感謝してます。


ラスサビ前の落ちB。実は今回も、前作『獲物』に引き続き「好きなゲーム音楽オマージュ」をやっています。

これです。これの0分46秒あたりから。

僕はよく格闘ゲームをやるんですが、その中でも鉄拳2はバーチャファイター2に並んで特にやり込んだ思い出がありまして、ずっとリー・チャオランというキャラクターを使って闘っていました。リーを使う為には一度別のキャラでリーと闘って勝たないといけないんですが、そのバトルのBGMがこの曲なんですよね。バキバキのシンセで近未来感・都市感を出した後の、この切なげなフレーズが子供の頃からかなり好きで、落ちBにて右で鳴るベル系シンセのフレーズに拝借させて頂きました。


ラスサビ。

狂っと廻って!
ぽこぽこぽこぽこ!
忘れちゃう!

これは最初のサビを作った時点で入れようと思ってたパートですね。このぽこぽこはDexedという、DX-7をシミュレートしたFMシンセのプリセット音源を少しいじって作りました。DX-7は初音ミクのデザインの元になったシンセサイザーですね!

これは歌詞の話でもあるのですが、可愛い曲調に反して僕の「諦め」とか「絶望」とか「殺意」を描いているので、ラスサビで高まってそのまま大団円に向かうような雰囲気を最後にぶち壊して、少し遺恨を残したかったのです。このコンセプト、実は『タコピーの原罪』からヒントを得てたり得てなかったり。

しろくろさんに「この部分に阿部共実みたいなカットを挟みたいんですよね...」とお願いしたところ、完全に理解されているイラストを描いてくださいました。感謝......。


詞について

今回の歌詞はもう僕が思ったことを割とそのまましたためているので、別に語ること無いですが......


この曲はもともと
『熱学第二が止まらない!』
というタイトルにする予定で作り始めました。

熱学第二とは、熱力学第二法則の略です。「エアーマンが倒せない」とか「PS5が当たらない」みたいな、「ふえぇ」感のあるタイトルで物凄く深刻で切実なことを嘆こうとしたんですね。Aメロに出てくる「エントロピー」とか「ネゲントロピー」とかの単語はその名残です。

しかしサビを作った時にどうしても「熱力学第二法則」という長ったらしい単語をキャッチーにメロに起こす事が出来ず、何か良い別案を考えてた結果、「狂っと廻って忘れちゃう!」というフレーズを思い付き、脳内に電撃が走りました。

「これだぁぁァーーーーーー!!!」

って思いましたね。


この曲で歌っている、僕が一度辿り着いた結論、僕は「羽入」と呼んでいるのですが、皆さんはどう感じたでしょうか?

この羽入理論は、自分自身に諦めを、自分以外に敵意を隠し持って過ごす事で、何か裏切られたり、蔑まれたりしても「やっぱりな。」という気持ちになれて傷付かずに済む。というような考え方です。

人には人の乳酸菌。
人には人の考え方や思考回路がある中で、誰が好きとか誰が嫌いとか、誰を信じるとか誰を信じないとか、明確な基準がないのにいちいち吟味してられないんです。しかもそういうのはやたら外れる。外れてショックを受ける。

他人なんて、本当の意味で理解出来るはずがない。あなたの上司が「僕は君の味方です」とか何とか言ったところで、それは会社とか金とかメンツとかシフトとかの上で成り立ってる思いやりに違いない。
こんな落ちこぼれで出来損ないの僕には、一滴の濁りも無い慈悲なんて、与えられない。
僕が他人だったらこんな奴には与えない。

先生は君のこと案じてる
でも生活や金のため案じてる

一つの法則 / QOOLAND より


ならば日常で関わる全員を等しく敵として、全員を騙して生きていく。これなら、アレコレ考えずに思い切って人と話せる。笑える。怒れる。意見を言い合える。だって全員信じてないから。



この歌詞を聴いて「こういう奴もいるのか」と思うか、「これは俺だ...」と思うか、「こうならないようにしよう。」と思うか。僕の本気の叫びによって、色々な作用が生まれて欲しいなと思います。

ちなみに

しろくろさんによる最高のカヴァーイラストですが、どんなポーズにするかはお互い案を出しつつめちゃくちゃ悩みまして、

何かアイデアの元にならないかと開いたノーマン・ロックウェルの画集に載っていた1枚から着想を得ました。

ありがとう、ノーマン・ロックウェル……。


まとめ

今回も長い記事になっちゃってすみません。

毎度言ってますが、今回の曲も、僕の代表曲になって欲しい曲です。全力で作りました。

なので皆さん大いに楽しんで欲しいなと思います。この音楽が少しでも皆さんの生活の賑やかしになるのなら、僕は幸せです。

では。


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