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『獲物』について。

こんにちは。呆です。

先日、新曲『獲物』を投稿しました。

先立ってマジカルミライ楽曲コンテストに『プラネット・フラグメント』という曲を投稿したばかりでしたが、完成自体は獲物の方がかなり先だったので、僕としてはやっと皆に聴いてもらえて嬉しいという気持ちです。

この曲は僕にとっても結構思い入れの強い楽曲で、語りたいポイントが結構あります。なので例によって今回も、自己満足の解説記事を書かせていただきました。これを読んで、あなたにとって『獲物』がより楽しい音楽の時間となる事を祈って。


(またまた長い記事になりました)


着想

この頃は『ブルーピリオド』というアニメ・漫画にズブハマりしていた頃でして、創作欲がドバドバで四六時中何か作りたかったんですよね。毎日色んなフレーズを作って、没にしたりストックしたり、でも一曲丸ごと作りたいというモチベーションが湧くものがなかなか出来ず、ヤキモキしてました。

同時にこの頃よく聴いていたのは、Maika LoubtéとかCuusheのような日本のテクノアーティスト。あの人達みたいな、付け入る隙のないというか、自分の世界をはっきり具現化出来るカリスマ性に憧れていました。

そんな中選択肢として気になってたのが2step garageという音楽ジャンルでした。セカンドストリートとかで引っ切り無しに流れてるあのリズムです。あのエッセンスを自分の歌モノと融合させることが出来ないかなと思った中で、急に思い浮かんだのが冒頭のイントロでした。


音について

冒頭のシャーシャーしたリズム。ホワイトノイズを切り貼りして作っています。このリズムパターンはよく聴くとAメロの後半とかサビとかでもずっと鳴ってて、リズムに奥行きを持たせてくれています。

これまで自分は、ドラマーなのが逆に仇となりどうしてもスネア・バスドラム・ハイハットの3点だけを駆使してリズムを構築しようとしてしまうキライがありました。でもやっぱ僕がやってるのはDTMなんで、どんな楽器か形容出来ない謎の音が鳴ってても良いと思うんですよね。ボカロPってそういうの作るのがめちゃくちゃ上手いイメージがあるので、僕もやってみようと思ったんです。

「3!2!1!Let's go!」と来てイントロ、左で毎3拍目になる「ペッ!」というチップチューン的な音ですが、これはかなり気に入ってます。発想の元ネタがあるのですが、これは後程説明しますね。

Aメロですが、ふた回し目の「どう、でも、いい、から」というフレーズ、昔『天使になる日』という曲でも使った、Hip-hopでよくある特徴的なリズムです。気に入ってるんでまた使ってみたくなりました。

あそこの歌詞は完全に韻を踏む中で生まれた物ですね。「どうでもいいから」と「4127」でさりげなく母音を被せているのがお気に入りです。電話番号なのでどんな数字でもいいから「40(ゼロ)27」の方が韻としては硬いんですけど、この曲の雰囲気で「ゼロ」って単語が入るのがどうしても気に食わなくて、あえて踏み外しています。

サビの頭。時代が時代なら「DEN☆」という大文字コメントが付いていたであろう、オーケストラヒットを一発入れています。このオケヒは完成直前に思い付いたものです。

この曲の参考にするため色んな2stepを聴く中で、僕が勝手にオシャレな印象を抱いていたこのジャンルが、実は古き良き伝統芸能に近いものなんだなと気付きました。どっちかっていうと演歌とかEuro beatとかに近い気がして来て、じゃあ思い切ってオケヒとか入れて「ダサカッコいい」感じにしようかなと思ったんです。

(その認識は間違っているぞ!と機嫌を悪くした2stepファンの方がいらっしゃったら、ごめんなさい。)


2番頭、急にJazzです。ホント、ここが1番悩みましたね。実は最近、「あぁ2番の頭って本当に大事なんだな。」と思い知らされた曲がありまして。

いよわさんの『きゅうくらりん』です。

あの曲の2番頭を聴いて、ああいう面白い展開がある事で曲を最後まで聴くモチベーションがグッと上がることに気が付きました。今回はそれを意識して、色々(ホントに色々)試行錯誤した挙句辿り着いた答えが、あのJazzパートです。このアイデアが2番サビ終わりのドラムソロへと生かされていく事になります。

ドラムソロは打ち込んでて楽しかったです!イメージしたのはBuddy Richのドラミング。お客さんの歓声とか拍手とかも自分で入れちゃってます。


さて、Dメロといえばいいんでしょうか。ラスサビ前の静かなパートですね。此処の話をしたくてこの記事を書いたと言っても過言ではないんですよ。

このパートのオケは実は、ある既存曲のオマージュでして、それは僕が大好きな『R-TYPE』というゲームシリーズの一作『R-TYPE Leo』のBGMなんですね。

もうまんまですね。すみませんでした。なんなら冒頭の「3!2!1!Let's go!」もコレです。所謂サンプリングです。気付いてニヤッとした方は......いないか。イントロの「ペッ!」もこの曲から発想を引用したものですね。

オマージュとかサンプリングとか、凄くやりたかったんですけどなかなか機会が無くて、今回これを思い付いた時はめちゃくちゃテンション上がったんですよ。此処作ってて本当に楽しかった。

オマージュ要素とは別にして、ここの歌パートのディレイの掛け方もお気に入りです。歌詞がギリギリ聴き取れないくらい、敢えて強くディレイさせています。元ネタであるR-TYPEの曲とは違うベクトルへ展開してゆくコード進行もお気に入りですね。


ラスサビを終えフェイドアウト。高校生のとき、吹奏楽部のOB先輩と好きな曲を聴かせあって遊んでいたんですけど、僕のオススメした曲を聴いて「おぉっ!フェイドアウトかよ!センス良いなぁ。」と言ったのを忘れられないんですよね。フェイドアウトって、センス良いらしいんですよ。


歌詞について

実は僕学生をやってて、ひとまわり歳下の現役生に囲まれて勉強をする毎日なのですが、その子たちとの会話の中で「私もし彼氏出来ても、季節の変わり目に年に4回くらい会えればいいかなぁ...」と言う女の子がいたんですよね。当然その台詞はグループで爆笑を掻っ攫うわけですけど、密かに僕は「あぁ、なんて素敵な発想なんだ」と感動したんですよね。

男にはそういうのあんまり無いじゃないですか。恋人が出来ればいつでも会いたいし、やれる事は何でもしたい。でも女の子は全員が全員そうじゃないみたいなんですよね。別にエロい事とか興味無いし、自分からガッついて行く気もない。でも相手のことはちゃんと好きだし、この関係には凄く満足してる。

そういう、あるクラスメイトの何でもない発言から膨らませた、僕の空想上の女の子を描きました。でも描いてる内に、「私はそういうの興味無いから、あなたが興味を引き出させてよ。」という方向性も付与されました。やっぱ男としては、そういう救いが欲しくなっちゃいますよね〜。

男性と女性の欲求の違いというか、お互いが恋愛に見出す本質の違いを、草食動物と肉食動物に例えて、比較的キャッチーに描けたのかなぁと思います。お気に入りです。

ちなみに2番サビの

今はまだ儀式のように会って 上面の仲だって
凍てつくこのムードで密かに満たされる

『獲物』より

というフレーズは仕事中に思い付いて、その場で裏紙にメモしてたら上司に見られて「ミュージシャンは大変やなぁ」と笑われました。

女性の方はもしかしたら「こんな女いねぇよ!」って思うかもしれませんが、その時はまぁこういう女の子がいたらカッコいいよなっていう一人の男の妄想として、楽しんでいただけたらと思います。


おわりに


長くなりました!スンマセン!!


『獲物』は音も歌詞も凄く気に入っていて、久し振りに自分で心から好きだと言える音楽が作れたなぁと満足しています。

使ってる音源のクオリティとか、ミキシングとか、課題はたくさんあると思うので、これからも更に格好良い音楽作れるように精進していこうと思います。最後まで読んでくださってありがとうございました。

今からもう一回聴いてみる『獲物』は、また違って聴こえるかもしれませんよ?


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