アキラの「上京物語」第4話

1996年4月、無事に一張羅の準備も完了し、
文化服装学院スタイリスト課(スタ課)での日々がスタート。

スタ課といえども一年生はまず洋服作りの基本から学びます。
いきなりスタイリストとは?みたいなことは教えないんですねぇ
うん、流石文化、ちゃんとしてます。
19才のアキラ少年、これがとにかく楽しかった!

というかこの洋服作り体験がその後の人生を大きく左右するとは…
勿論思いもよらずとにかく夢中で授業を受け、パターン(型紙)を引き、
生地を裁断し、ミシンを踏む。全て初めてのことだらけなのに、
どんどん脳と身体に入って行く。

今でこそいっぱしの大人になっちゃったアキラさんだけど
実は新しい事に潜在意識が抵抗をするようにもなっちゃった…
悲しいかなそれが現実…でもそれをブッ壊したくてこの物語を
書くことにしたんだ!

話しを戻して、服作りをスポンジのごとく吸収しまくるアキラ少年、
夏休みに入る頃には、学校だけじゃなくて家でもオリジナルの服を作り
始めるようになってた。自分にはクリエイティブなことなんて出来ない
って思ってたのがだんだんと消えて、オレにも出来る、てかやってみたい!
に変わって行く瞬間の連続がこの時期には溢れていた。

真っ赤なツンツンヘアーはいつの間にかピンクのモヒカンに進化を遂げ、
古着屋で買った黒が褪せてチャコールグレーと茶色の間くらいの色になった
チャンピオンのリバースウィーブを上下セットアップで着てた。サイズは
上がXLで下がLって今と変わってね~(笑)。わりと珍しいショッキングピンクのカレッジプリントがたまらなく好きだった。

「写ルンです」で写真を撮り、現像した生写真をハサミで切ってコピー用紙に貼ってキャプションを書く。食い入るように見てた雑誌アサヤンの連載、
藤原ヒロシさん、高橋盾さん、NIGOさんの「LAST ORGY Ⅲ」」の真似事。
何でも良かった、自分を表現したかった、それしか方法を知らなかった。
自作自演の新聞、小冊子、フリーペーパー、ZINE、呼び方すらも考えたことなかった。今思えばSNSみたいなことを求めていたのかなぁって…

あのアナログな時代が懐かしい。ある意味での郷愁。
自らの目で見、耳で聞き、足を運ぶ。単純明快。シンプル。
だからこそ見える景色。
分かるかい?そこに今の時代に感じ辛くなった「本質」ってのが
在ったのかも知れない…
オレはゆく。
この時代だからこそ見つけたい。手にしたい。
本物を。

次回に続く…



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