アキラの「上京物語」第9話

地元でのバイト生活の間、月に一回は大阪心斎橋にあるセレクトショップ
ロンディスに通った。オレの実家からはDOOR TO DOORで3時間以上かかるにも関わらず、楽しみで楽しくて。その当時UNDERCOVERやAPE、Goodenoughを手に入れられるお店自体が全国でも相当限られており、
限定数しか作られない服や小物たちは非常にレアで常に争奪戦が繰り広げられ、ゆえにそれを手にした時の感動は狂気の沙汰かと思う程に熱狂に変わり、まさにある意味狂乱と狂騒のファッションカルチャーであったと今振り返ってもあらゆる感情が蘇って来るほどなのだ!

ファッション業界で20年以上のキャリアを積んだ今なら分かるが、20代の若者が自己資金のみでブランド運営をする。少額資本、小さなメゾンの小さな規模間で自分達の出来得る範囲で少ない型数のMDと予算を組み、そして小ロットで生産を回して行くスタイル。自然と限定数になる。規模が小さいゆえの強みとしてはコアな層に向かって拘りぬいた商品を提案出来ること。

そうなのだ。裏原のカリスマ達は身の丈に合った等身大のクリエイティブをしていたのだ!彼らがとても広告宣伝に長けていたのは確かに彼らの爆上げをものすごい力で後押ししていたのは紛れもない事実だか、やはりオレが思うに「今出来る事で得られる成果を最大化する」能力がとてつもなく優れていたのだと現代風に言わざるを得ない。

アキラの「上京物語」、今回は相当に脱線したがどうしてもあの熱狂を伝えたかった。あっという間に季節はめぐり、バイト先のコンビニへいつもの原付に乗って行くには凍えるような寒さの2月を迎えていた。バッジやワッペンを付けまくってカスタマイズした軍物のM51シェルパーカー。グッドイナフのモッズコートを模倣した。気温3℃の寒い冬の夜、モッズコートでスクーターをカッ飛ばす自分をさらば青春の光とばかりにカッコイイと信じて疑わなかった思わず赤面もののそれこそ甘酸っぱいマイメモリーズ。

さてあと残り1か月で、いよいよ憧れの花の都大東京へ上京する!
あんなにも胸弾み、心躍っていたことって…

次回に続く…


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