見出し画像

【#ざっくりレビュー】2019 J1リーグ戦第21節 清水エスパルス戦

akira(@akiras21_)です。
その節は大変お世話になりました。

【前節の振り返り】

・芝がとにかくスベる。VIPのVIがとにかくバテる
・エジガル、まさかの負傷退場(後にブラジル帰国、全治3ヶ月)
・チアゴ、まさかの一発退場。伊藤槙人がJ1デビュー

ついでにリーグ3連勝、7月公式戦全勝となりました。間にシティ戦を挟んでたせいですっかり忘れてたけど、狙うはこのままリーグ4連勝や。

【vs清水 前回対戦の振り返り】

・チアゴ、まさかのアクシデントでハーフタイムに交代
・一度追いつかれながらも勝ち越し…が、クリリンがやらかしてしまい退場
ラスト10分 攻めるべきか?守るべきか?

実は前回対戦時も直近リーグ戦3連勝で、このまま勢いに乗りたいところで大きな課題を突きつけられた試合でした。半ばトラウマ化したよね、うん…

いやいやあの頃とは違うんじゃ!シティともやり合ったワシらが攻撃を教えちゃる!ということで、ちゃぶる気満々で臨んだ今節のメンバーは以下。

[4-2-1-3]
GK:朴一圭
DF:広瀬陸斗、伊藤槙人、畠中槙之輔、ティーラトン
MF:喜田拓也、扇原貴宏、マルコス・ジュニオール
FW:仲川輝人、大津祐樹、遠藤渓太

[SUB]
杉本大地、ドゥシャン、和田拓也、山田康太、中川風希、三好康児、泉澤仁

前節・神戸戦でチアゴの代役を務めた伊藤槙人に加え、大津が先発復帰。さらに、サブメンバーにはシティ戦でも存在感を見せた中川と新戦力・泉澤が名を連ねました。

ほいじゃ参りまっせ!

堅いブロック守備セレッソ風 〜チート級FWとマンマークを添えて〜

清水の基本的なプランは、パスコースを切るポジショニング(カバーシャドウ)→サイドに追い込んでのボール狩り→カウンター。ボールを当てときゃなんとかなるチート級外国人FWドウグラスがいれば誰しもが最初に考える、シンプルにして即効性の高いやり方だと思います。

そして、清水のブロック守備はピッチ中央に枚数を多く割く方式。CBがボールを持ったところで斜めのパスコースはとりあえず現れるあたりはfeat.セレッソ大阪じゃないかなと思います。そうだよね、あの試合はとにかく何にもできなかったもの。

ただ、マリノスだってあれから何にも進歩がないわけじゃありません。サイドに付いてくる清水のマークの習性を利用して、遠藤と扇原で清水の中盤ラインの注意を惹きつつ、その後ろへフラフラと寄ってきたクリリンにつながる縦のパスコースを確保。畠中がバツッと通してプレーエリアを押し上げる…といった動きも見せたりしました。

とはいえ、この先になかなかつながらなかったんですよね。それもそのはずで、とにかく寄せが早い。そのためのブロック守備+サイド寄せですね。あとヘナト・アウグストがひたすらクリリンについてくる。くっつき虫かっちゅーぐらい。

ちょっぴり気になった清水のビルドアップ

あと個人的に気になったのが、9分50秒ごろに見られたプレー。清水がスローインから攻撃をスタートするも、マリノスの早い寄せに遭ったためバックパス。そしてボールがGK西部洋平に渡ったところで前線にフィードしました。

狙ったのはマリノスから見て右サイドで、西澤健太をターゲットにしていたように見えますが、その前段階として松原后がちょっぴり前目に位置取り、広瀬の注意を惹いていました。そうすると当然広瀬の裏が空くので、西澤はそのエリアに走っていったわけです。この対応に走るのが喜田と伊藤なんですが、同時にパギも上がってきていました。

パギは大分トリニータ戦(18節)あたりから飛び出してのクリアするプレースタイルが顕著になってきているのでままある光景なのですが、清水はこの習性に加えて、伊藤のマリノスでの出場経験の浅さを利用したのではないでしょうか。というのも、9分58秒ごろで映像を止めると西澤1人に対して喜田、伊藤、パギの1対3となっていたからです。

無事クリアできたので事なきを得たものの、そこそこにヒヤッとさせられた場面でした。清水にしてみれば、マリノスのラインを下げさせるための効果的な駆け引きだったと思います。

狙われたマリノス右サイド

さて、清水による15分27秒ごろからの一連の攻撃の流れで、マリノスはピンチを迎えます。

クリリンが裏を狙ったボールをGK西部がキャッチし、素早くスローインするところから始まりますが、ここで狙ったのは広瀬のいるマリノス側右サイド。なぜかと言われれば、例のごとく広瀬が1レーン内側にポジショニングを取っていたこと、そしてそれによってサイドハーフの西澤まで一気に通せたからでした。

その後竹内涼→吉本一謙→エウシーニョと素早くつないでサイドチェンジを敢行し、エウシーニョ〜金子翔太のパス交換を経て、右サイドに寄ってきた河井陽介が畠中を背負いつつ、金子へとボールを受け渡してタッチライン際を突破。清水のチャンスになります。

なぜ突破されてしまったのかをじっくり見てみると、

①金子に寄せていったティーラトンがあっさりかわされてしまった
②金子の裏に縦へのコースおよびスペースができてしまった
③河井がボールを受けに行ったので、そのまま畠中がコースを消しに行こうとした
④河井は真正面にボールを受けに行かず、一旦バックステップを挟んだことで、逆に畠中にプレスを掛けに行くようにしてボールを受けていた
⑤河井がポジショニングを取る裏で、エウシーニョとのワンツーで金子が裏を狙うスプリントを敢行

という5段階を踏んでいたことが分かります。このあと金子はドリブルで持ち上がり、ドウグラス目掛けてグラウンダーのクロスを選択。ボールはわずかにドウグラスに合わず、パギがキャッチして決定機は免れました。そう、やっぱり最後はドウグラスなんですよね。

ちなみに、ドウグラスのマークに就いていたのは伊藤でした。やはりチアゴ枠か。

何もできなくて…ハーフタイム

その後、ドウグラスの足下に当ててボールを受け取った河井にボックス内でサイクロンをかまされるなどなかなか危ないピンチを迎えつつ、マリノスもなんとか来たる反撃の機を窺います。が、ちょーどいい感じに出せそうで出せないようなポジショニングでゾーンディフェンスを見せる清水を前になかなか前へ運べず。

そうなったらどうするかってカラダノムキや足捌きなどの個人技になるわけで、なんとか一時的に剥がすことはできるんですが、清水もまー戻りが早かったり、剥がしてそのまま走ってった先ですでに待ち構えていたりと、なにやらどことなーくうまくいかない展開。もどかしさてんこ盛りな中で遠藤が畠中からドンピシャな縦パスを受けたものの、あと一歩のところで吉本にカットされてしまいます。むむむ。

ついでに清水はセットプレーでもガンガン枚数を掛けることで、マリノスの枚数を後ろ後ろへと引っ張ってカウンターの芽を潰します。そらそうだ、たくさん来てたらたくさんで守りたくなるし、そしたら残ってる枚数少なくなるし。「人を掛ければ人がついてくる」という松下幸之助あたりが言いそうな名言めいた表現に収まりますがその実とてもシンプル、単純明快。

マリノスはマリノスでビルドアップの時にダブルボランチを両方とも残して、サイドバックを巻き込んだ3バック形成からの攻撃を試みたりもするんですが、そうしたところでボランチ2人が清水の選手4人に囲まれるだけ、みたいな具合で根本的な解決にはつながらず。いいとこなしで前半を終えました。

お願い!ドウグラス

さて後半開始。すると清水は早々に「お願い!ドウグラス」ことロングボールで仕掛けてきました。結局夏です悪いのは。LOVE微炭酸です。

ていうかLOVE微炭酸って何やねん!

閑話休題。周りが見えてたドウグラスはオフサイドになることなくハイボールを弾き、それと同時に周りに清水の選手がそれなりにたくさんいたんですが、よくよく見返してみればキックオフの段階で左側に多めの人員配置がなされていました。もう初めっから狙い通りだったわけですね。スクランブル交差点目がテン君に一目惚れ、だなんてそんなことはなかったわけです。知らんけど。

じわじわとマリノスを追い込む清水のやり方って大学生の恋愛っぽいよね

まーそういった仕掛けをなんとかかわして、いつも通りのスペース広めな配置に戻すためにセンターバック間のパス交換でじっくりビルドアップ開始。こういうことしてると相手によっては食いついてくるもんなんですが、清水はそれよりもパスコースを消すことを優先。また、マリノス両サイドバックの「偽サイドバック化」の制限も同時に行いました。45分51秒ごろをご覧いただければなんとなーく分かると思います。

内側エリアを塞がれるということは、両サイドバックはライン際に張るしかありません。なのでボールを受けたティーラトンの位置も当然ライン際。映像には映ってないんですが、ティーラトンへとボールが向かうのと同時に、遠藤にもマークが付いてたんじゃないかと思います。金子の動き方がボールを奪いに行くというよりもパスコースを消しに行くようなもの(45分56秒ごろ)でしたし、カメラの画角が寄りから引きに戻った45分57秒ごろを見てみると、遠藤はピッタリとマークに付かれていました。

といったところでティーラトンからパスを受けたのはクリリンだったんですが、おそらく清水はあえてクリリンをほっといてたんじゃないかと思うんです。ほっといてたというよりも、その先の展開を防ぐといいますか。アタッカー陣へのマークは足りてたし、なんなら1枚余らせてどうにでも対応できるようになってたし。ちなみにこの場面では結局遠藤にボールが渡って、そこからクロスを入れるんだけど大津は合わせられず、っていう結末でした。

逆に、直後の46分15秒あたりのような密集地帯でのプレーになると、今度はヘナト・アウグストがクリリンをマーク。このシーンではヘナトのカットが及ばず、クリリンがフリーでボールを受けますが、ミドルシュートは軌道が上向いて枠を大きく外れていくという結果に。清水の最終ラインが高かったんで、単純に下げさせたかったのかもですけどね。

いやいや、実は清水の包囲網を突破できてたんですよ

こんなふうに書くと「なんやマリノスは清水の思い通りにガッツリやられてるやん」という印象になるかと思いますが、一方で惜しかった場面もありました。47分5秒ごろから見てみましょう。

スローインから始まり、クリリンとのワンツーパスでボールを運ぶティーラトン。エウシーニョを背負いながらもポジションを維持していた遠藤にボールが渡ると、ティーラトンは遠藤と入れ替わるようにしてオーバーラップし、遠藤は金子を背負いながらクリリンにバックパスします。

清水は例によって金子、ヘナト・アウグストの2枚でパスコースを塞ごうとしますが、その間を通すようにダイレクトでティーラトンにパス。このとき遠藤についていた金子のマークが外れたので、遠藤はスプリントを敢行します。

ティーラトンにはエウシーニョがチェックが行くも、カラダノムキでボールを保持。そして駆け上がってきた遠藤に通してタッチライン際の包囲網を突破します。

この後遠藤は中央レーンにいた仲川を目掛けてグラウンダーのクロスを選択しますが、わちゃわちゃした結果シュートまでは至らず。逆にカウンターを食らってドウグラスがポスト直撃のシュートを放つといった展開になりましたが、サイドに寄せられても抜け出せる動きはできていたということを気に留めておきたいところですね。

ていうかこの場面も「お願い!ドウグラス」だったんやな。ただ、チアゴなら絶対追いついてた。この日おらんかったから知らんけど。

1失点目:伊藤槙人の適応能力が結果的には仇に

はい、なんとなーく糸口が見えたところで失点してしまいました。ただ、これもチャレンジの結果だったということは覚えておきたいところです。誰がチャレンジしたかといえば、何を隠そう伊藤槙人だったんです。49分ごろから見てみましょう。

清水によるセットプレーからの速いリスタートでマリノスはビルドアップを開始します。両センターバックとパギで横パスを回しながら全体の上がりを待ち、伊藤が喜田と縦方向のパス交換を経て、前方スペースに走り込もうとしていたクリリンを発見。そのまま縦パスを入れました。こーやってサラッと書いてますが、この伊藤の縦パスは畠中並みのスピードボール。しかも弾道を低めに抑えた、いかにもマリノス仕様な縦パスだったんです。

ただ、クリリンがトラップするまでに何度かバウンドを繰り返していたほか、例によってヘナト・アウグストがくっついてきてたためか、クリリンはボールを足下に収めきれずロスト。こぼれ球を拾った河井が素早く西澤へと供給し、そのままドリブルで運んでシュートを放ちます。ここでパギは意地でボールに触るも止めるには至らず、そのままあえなくネットへと吸い込まれていきました。

「いやいや伊藤が西澤についてれば解決だったやんか」と思いたいところですが、クリリンにボールが渡った段階で伊藤の視界にいたのはドウグラス。西澤はむしろ扇原の近くにいたんですが、伊藤と畠中の間に生まれていたスペースに向かってフラフラと動き始めていました。その上、ドウグラスはあたかもボールを受けに行くような素振りで伊藤の注意を惹き、西澤に向かわせまいとしていたんです。

これはかなり設計された動きだったのでは…!と思いつつ、やりたいようにやらせてしまったなという悔しさが残りました。ぐぬぬ。

ここからの30分余、いったい何が起こっていたのか

そして直後にもドウグラスにボールが渡るカウンターという展開を与えてしまうわけですが、マリノスがやられる時ってほぼほぼ自分たちのミスパスなんですよね。

ここまでマリノスを見てきた方なら何を今更と思われてるかもですが、ビルドアップの段階でミスパスが起こるなんてことは想定していないんです。対策ができてないんじゃなくて、そもそもしようとしていない。なぜかといえば相手をハーフコートに押し込めて、そこからひたすら殴り続ける攻撃がしたいからです。現に、調子がいい時のマリノスはだいたいこういった展開になってますよね。

で、失点した後ほど「この状況に持っていかないと…」とついつい焦ってピンチを招いたり、場合によっては失点を重ねてしまうわけです。失点に関してはだいぶ減ったほうですが、昨季は1年を通してよく見た流れでした。

この日のマリノスはそこで前のめりになることを避け、52分ごろにはゆったりとしたビルドアップに切り替えられていました。が、落ち着きを求めたからか、今度はサイドを使ったパス回しが目立ち始めます。

ここで申し上げておきますが、サイドを使うこと自体は悪手でもなんでもありません。基本的に前後左右と4つあるプレーの方向性がひとつ減るだけでプレー選択がしやすくなり、それによって前に運びやすくなるという利点があるからです。

ただ、それは相手にとっても同じ条件です。前に運びやすいということは相手の前を塞ぎやすいということでもあります。なので、清水に限らず多くのチームが相手をサイドに押し込めて奪おうとするのです。

こうした状況を打開するために、相手が人数を掛けてきているところにわざと自分たちも人数を掛けて、反対サイドにボールの逃しどころを作る、いわゆるアイソレーション(孤立)の状態に持っていくのが定石のひとつとなっています。

たとえばティーラトンの周辺が渋滞するシーンがありましたが、その反対側では広瀬が比較的フリーの状態で待ち構えていました。なので、この広瀬になるべく速くボールを渡せれば、縦に速い攻撃とともに中央での攻撃を実現することができたかもしれません。

ただ、1点リードを得た清水はバッチリと割り切っていて、反対サイドに人員をスライドさせるのではなく、ゴールにつながりやすいピッチ中央、特にバイタルエリアと呼ばれるあたりを中心にブロックを敷いてきたのです。そして、マリノスの攻撃が落ち着いたところでじわじわとサイドに追いやっていき、奪っても縦には急がず、キーパーまで戻してドウグラスにハイボールを供給する、と。

マリノスが得意とするトランジション合戦を避けるための、いわゆる「ドン引き」状態をベースとしたやり方なんですが、まだ30分以上時間が残ってる段階でここまで徹底してやるのか…と、僕のほうがドン引きしてしまいました。きっと清水の選手たちも決死の覚悟だったことでしょう。

いろいろ攻めてはみたけれど

この後の展開はだいたい前述した通り。そんな中でもマリノスは、

◎扇原に代えて三好を投入してシステムを4-1-2-3に変更
◎広瀬が中央に、喜田が左ハーフレーンにポジションを取って清水の守備陣を撹乱
◎ティーラトンの縦パス→大津のフリック→遠藤のダイレクトシュートが惜しくも不発
◎三好がスペースからスペースへといい具合に上がりつつも最後のボレーシュートだけが浮いてしまう
◎大津に代えて中川風希を投入、クリリンを1トップにスライド

などあらゆる手を試みる一方、清水は途中から5-4-1に変更して重心を下げ、吉本のアクシデントに対応するため、ドウグラス→鄭大世の交代を諦めて中村慶太の投入に切り替えたりしていましたが、カウンターよりもブロック形成を優先する基本線は変えずに継続。そのままマリノスがゴールネットを揺らすことはなく、タイムアップのホイッスルを聞くこととなりました。ぐぬぬ。

おわりに:リメンバー清水戦、そして「ガンガンいこうぜ」

主力メンバーの不足、ピッチコンディションなど言い訳しようと思えばいくらでもできると思います。ただ、清水も清水で得点からタイムアップまでかなり長い間耐え忍ぶ時間が続いたにもかかわらず、あそこまでやりきったのは敵ながらあっぱれですし、相手のこうした対策に沈むのは今回が初めてではないだけに、個人的にはかなり悔しさが残っています。

運びやすいからといってサイドに偏重していけば相手としたら一層中央を固めやすくもなりますし、それを防ぐためにもあえて真ん中で仕掛ける勇気を見せてほしかったというのが本音です。そして、いくらブロックを敷かれてパスコースを消されたところで「空中」という選択肢は残っている事実をうまく活用してほしかった、というのもまた然り。

1週間前のシティ戦であれだけ強度が高い中でやれてたのになんでここでいつも通りに戻っちゃうんだ、とか他にもいろいろありますが砕いて言います。ビビったら負けです。いくらやりようがあったって最終的にはそこです。次の対戦相手である鹿島アントラーズは、そうしたスキを一瞬でも見せればあっという間にガシガシと突いてくる相手なので、この清水戦を糧にする、というか絶対に繰り返さないようにしてほしいなと思います。

ちょっといろいろあって鹿島戦はもう明日なんだけどね!連敗しないことが何よりも大事なので、いい試合を期待しましょう!

みなさんパスポートの準備をお忘れなく!アディオス!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?