【スピンオフ漫画】THE GUILTY／ギルティ

映画「ギルティ」より、脇役の同僚、隣の席に座るトーベンから見た物語を創作してみました

※元映画：THE GUILTY／ギルティ（デンマーク　2019年）

（読了時間目安：約７分）

ストーリー

緊急通報指令室のオペレーターであるアスガー・ホルム(ヤコブ・セーダーグレン)は、ある事件をきっかけに警察官としての一線を退き、交通事故による緊急搬送を遠隔手配するなど、些細な事件に応対する日々が続いていた。そんなある日、一本の通報を受ける。それは今まさに誘拐されているという女性自身からの通報だった。彼に与えられた事件解決の手段は”電話”だけ。車の発車音、女性の怯える声、犯人の息遣い・・・。微かに聞こえる音だけを手がかりに、“見えない”事件を解決することはできるのか―。
（公式サイトより引用）

漫画について

ここでは本編には無いスピンオフ漫画として
脇役の同僚、隣の席に座るトーベンから見た物語を創作してみました
自身の妄想を形として残したかっただけの、ラフなものですが（汗）
授業中、友だちのノートに書き記した落書きを覗き込むようなあたたかい目で御覧いただければ幸いです

お読みになる前に

・この漫画は映画を元に派生した作者の勝手な妄想による創作作品になりますので、本編には一切の関係がございません
・掲載内容に問題があった場合など、予告なく削除することがあります
・出来るだけネタバレにはならないようにしているつもりですが、映画を見た後にご覧になることをお勧め致します

本編

となりのトーベン

トーベン
　「はい、緊急ダイアルです」
　「はい…はい…」
　「大丈夫ですか？落ち着いて…」
　「すぐにパトカーを向かわせますので、その場で待っていてください」
　「はい、もちろんです、すぐに、はい」

事件に大小などない

緊急ダイヤルにかかってくる電話はすべてが重要だ
もちろん中にはいたずらや酔っぱらいの電話だってある…
しかし先入観を持って対応してはいけない
重要なことを見逃してしまう可能性がある…

俺はこれでも、この”電話番”の仕事にやりがいを感じている…

今日も”自分にできること”を、やる

…それにしても

となりのこいつは…大丈夫か？

何やら問題を起こして
現場から配置転換されて来たらしいが…

頼むからここで面倒な問題を起こさないでくれよ…

俺は、平和を愛する警察官なんだ

ん？…また考え込みだした…

明らかに情緒不安定だ…
カウンセラーに見てもらった方がいい…

トゥルルルー…
トゥルルルー…
トゥルルルー…

…どうした？
早く出ろ…!!　…寝てるのか？？

あ！…お局が気付いた…
また、怒られるぞ…！

バン！

おい、鳴ってるぞ！
早く出ろよ！

アスガー「はい、こちら緊急ダイヤル…」

そうだ、それでいい…

お前にもいろいろな問題はあると思うが
今は目の前の仕事に集中するんだ

ようし…
もう少しで帰れる…

今日の任務も無事終了だ

？…

おいおい…アスガーが
何だかすごく集中しているじゃないか…

…どうした？！
すごい緊張感がこちらまで伝わってくる…

あの、”電話番”なんてまったくやる気のないアスガーが…
あの、”ここは自分の居場所じゃない的なオーラ全開”のアスガーが…

いったいどんな電話を、受けてるんだ…？

き…気になる…

まったく…嫌な予感しかしない…

何か問題があってからでは遅い…
面倒だが、俺から聞いてやるか…

トーベン「何があった？」

アスガー「別に…」

くそ…くそ…！
何なんだ、その反応は…
首を突っ込んだ俺が、バカだった…！

でも、これで割り切れる、俺は自分の仕事に集中すればいい…

もうすぐ交代だ
俺は関わらない、一切！

面倒なことには関わらないぞ…!!

アスガー「トーベン…」

…何か、言ったか？

…知らん、俺はもう知らん
俺に関わるな、巻き込むな…

アスガー「トーベン…？」

トーベン「何だ？」

俺は怒ってるんだぞ…

アスガー
「やぁ…失礼な態度ばかりとって悪かったよ…
まぁ、今日に限ったことじゃないけど…
ここに来てからずっとだ…すまん…悪かった」

アスガー「許して…もらえるかな？」

…どうしたんだ？
電話で誰かに何か言われたのか？

…まぁ、いい…

俺は寛容な男だからな

 ​トーベン「…もちろん！」

アスガー「ありがとう！」

…よかった、よかった！

これで今日は
何事もなく帰れそうだ

アスガー「…質問していいかな？」

？！
…何を聞く気だ…？

アスガー「技術的なことなんだけど…」

ホッ…なんだ…

パソコンだったら、俺に任せろ

アスガー「一度ログアウトして、別の端末で同じ様に電話を受けることはできる？」

トーベン「ああ、もちろんだ…」

トーベン「どこに行く！？」

アスガー「向こうへ」

！…もしかして、さっきの謝罪は
質問をするためのご機嫌とりか？！

席を移って何をする気だ…？
アスガー…

トーベン「あと15分で交代だぞ！」

アスガー「ああ…」

間違いない…
今、アイツが興奮するほどの問題が起きている…

暴走するなよ…大きな問題なら、みんなで話し合おう
他人を信用しろ、受け入れて、頼るんだ…アスガー…

明日になれば現場に戻れるんだろ？
一人で抱え込むんじゃない…

自分の問題にきちんと向き合うんだ…

時間だ…

同僚「トーベン、お疲れ様」

トーベン「お疲れ様」

連れて帰れっていうのか？
…勘弁してくれ

仕方がない…

トーベン「アスガー、時間だぞ交代だ、俺たちはもうあがりだ」

アスガー「ああ、もう少し…」

…おいおい、目が泳いでるぞ…大丈夫か？

トーベン「大丈夫か？」

アスガー「大丈夫…お疲れ様」



トーベン「…明日の幸運を祈る」


アスガー「…」

まるで大丈夫に見えないんだよ…

…しかし、俺ができることはここまでだ

ここはお前にとって、もどかしい場所かもしれない…
居心地の悪い場所かもしれない…

でも、心を閉ざすな…アスガー…
独りになろうとするんじゃない…

シャー…

おいおい…
何するつもりだ…アスガー…

シャー…

アスガー…

君から見れば
俺たちは”不十分”なんだろうな…


でも完璧な人間なんていないんだぞ…

受け入れるんだ…

間違いは誰にだってある…
一人でできることには限界がある…
だから人はみんなで助け合うんだ…

人助けと、贖罪を一緒にするな…

現実と向き合え、アスガー

トーベン「やぁ、今から帰るよ」

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貴重な時間を使って最後までお読みいただきありがとうございます！
映画がとても面白く、勢い余って描いてしまいました

あきらみきと