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「ライフピボット」を読みながら三足の草鞋のキャリアを振り返ってみた

『ライフピボット』という本を黒田悠介さんが出されました。実は大学時代にキャリアカウンセラーでお世話になったというご縁もあり、ずっと気になっていたこの本を手に取ってみたところ、とても示唆に富みました。ついつい、何度か読み返してしまいました。

今回は、本で挙げられていて特に私に刺さった3つのポイントと自分のキャリアを紐づけて、書いてみたいと思います。感想文のようで恐縮ですがぜひ。

1.人的ネットワークやコミュニティの重要性 -「初めて人と会う際の2つの諦め」から始めてみる

この本の中では随所に「人と会う」ことの重要性が(マッチングアプリ、コミュニティの参画など)触れられています。実は私にとって一番耳が痛いところです。内向的な私は、知り合いがいる場などではまだしも、初めて人と会うことは大の苦手で、緊張し、話題もふれず、沈黙も怖いです。

そこで、私の場合は、「対面(Face to Face)で初見の人と会うことの諦め」からスタートしてみました。初めて会う人は「文章」から開始したのです。文章なら時間をかけて、考えて話すことができますし、SNS上では無限に行うことができます。気になる人たちがいたら、まずは一晩練ってコメントやメッセージを送り、自分からも発信してみました。Likeがつかなかったり、無視されることもありましたが、たまに反響がありました。
そこからいざ会う、となっても「初見」ではないことから人見知りが発動されません。これだ、と私は思いました。

そして文章を書いているうちにある日、この延長線上にある本を書くことを目標にしてみよう、と決意しました。ハードルは高いですが、幸いずっとディベートの面白さを人に伝えたいという熱意だけはあったので、数年前から色々な人にアドバイスをもらうことにしました。ここでもFace to Faceではない形も組み合わせ、出版社に勤めている友人や、海外で本を出している人に相談を重ね、運よくあさ出版に拾っていただきました。本を書いて実感したのは、本の内容という共通の話題からスタートできるので、私が話すことができる領域から雑談ができることです。あたふたすることもぐっと減りました。

そしてやっとこういった積み重ねから人と会うことが徐々に慣れてきたところで、最近もう一つ意識しているのは、「アポは断られるものという諦め」です。自分の内向性の一要因は、相手に断られたらどうしよう、連絡がとれなかったらどうしよう、という不安からきているのだなと思い、「まあ返信がこなくても今とほとんど変わらない」「連絡がくればラッキー」と思えればよいのでは、と感じるようになったのです。というのは、私が尊敬する仕事の上司の一人も、「会ってみたいという人がいたら連絡はしてみて、80%くらいは断られるけどたまに返信がくるもんなんですよ。」とおっしゃっておりました。これですっと楽になりました(余談ですが、最近は東大生の「名刺アタック」も話題になっていますね。)

2.「隣接」を考える「ハニカムマップ」のためには、とにかく数をこなし「弱い隣接」まで拾う

本では、下記のように書かれています。

ライフピボットとは、経験の蓄積(Dots)と偶然によってキャリアの転換を実現させること

中でも「ハニカムマップ」が秀逸でした。人生はある種「マス」にあり、そこから360度、どの方向に伸ばすことができるというコンセプトはまさに!というものです。

この「ハニカムマップ」の方法論は本でかなり紹介されていますが、私の場合は数をこなす、すなわち、隣接するキーワードを多く挙げられるか、を意識していました。私の場合は、無意識のうちに即興型ディベートのハニカムマップをつくっていたのだと思います。即興型ディベートは、世界的には実はそうでもない(文系学生が主導するイベントとしては世界最大級の世界大会が行われ、テレビでディベート番組が報道されることもある)のですが、日本では知名度が低いのが実情です。一方で、想いとして社会との結節点などもあるはずだ、というのはぼんやりと思っていたので、他の人に「どのようなときにディベートが役立ったと感じましたか?」「ディベートって聞いてどこで役立つと思いますか?」と聞きまくることからスタートしました。分かりやすい「ロジカルシンキング」や「プレゼンテーション」等以外では、実は議論の論点を整理する、その後に立論や反論をするという性質をしっかり分けると、「ディスカッション」、「アカデミックライティング」も近いという結論になりました。多くの社会問題を扱うというところから「SDGs」との掛け合わせも出てきましたし、「これとこれは一緒と考える癖がついた」というコメントから「アナロジー思考」、人に伝える、もしくはどういう反応がくるのか脳内でディベートをするという意味での「マーケティング」、短い時間で人と話すという「ピッチ」、賛成反対含め色々な観点から考える「イノベーション」で活きてくるという声もあがりました。ほかには実は「構図はEスポーツと一緒なんじゃない」、という「それは思いつかなかった」というものも出てきました。そしてこれは数が勝負だと思っており、このような「隣接」のキーワードを人に共有すると、ひょんなことから、講義や登壇の依頼が連想ゲームでされやすくなったり、「そういえば前関心あったよね?」と記事や人を紹介してくれたりすることに繋がりました。私の場合、会社員以外の研究者や教育実践者というキャリアはこういった「弱い隣接」からスタートしました。隣接の度合いは強いものから弱いものまであり、すぐに活きるものもあれば、将来のアイデアのストックもありますが、「弱い隣接」にもあえて手を広げてみるのが「ピボット先」が広がるチャンスなのではないでしょうか。

3.ライフピボットの三つの欠如―スヌーピーやイチローの名言から勇気をもらう

また、ライフピボットの阻害要因である「三つの欠如」では、お金、理解、時間の3つが「ない」ものだとよくされます。どれも凄く共感します。

特にライフピボットを行おうとすると、勇気がいります。(ありがたいことに応援してくださる人がたまたま多かったのですが)周りから「中途半端なやつだ」とか言われることも怖かったです。そこで、私が行ったのは「名言」を味方にし、自分に言い聞かせることでした。

例えば、私が尊敬してやまない人にイチロー元選手がいます。ヒットをあれだけ打ったまさに伝説のプロ野球選手の名言に、「小さな積み重ねを大切にすることが、とんでもないところへ行くただ一つの道」があります。本業にしろ、副業にしろ、成果が出ないときもありますが、一歩一歩進み、バッターボックスに立ち続ける勇気をもらいました。

また、スヌーピーの名言の「自分のことを嫌いな人に構っている暇はない。自分を好きでいてくれる人に時間を使うのに忙しすぎるから。」も心に響きました。きっと批判する人や快く思わない人も出てくると思います。ですが、「自分を好きでいてくれる人」のことを見続ける、というのが時間も少ない中では味噌なのかもしれません。

そして、この本でも名言はたくさんありましたが、特に心に響いたのは「時間の使い方とは自分の命の使い方と同じ意味を持つ」でした。そう思うと、何をするべきなのか、毎日、なんなら毎時間、自分に問いかけることになるかと思います。


もっと他にもこの本の良いところは山のようにあるのですが、あえてこの3つに限定して書いてみました。どこかでこの感想も含め、皆様と一緒にお話しする機会などがあればうれしいです。

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