英文法授業レシピ 2-4 現在完了形
いよいよ難しくなってきます。現在完了形はTense: 現在、 Aspect: 完了相です。現在に言及しつつ、完了している。改めて考えるとどうにも変な名前な気もします。これまでまとめた別の時制表現と対比するとわかりやすくなりますよ!
現在完了形の基本的理解
Form: have + 過去分詞 Meaning:完了、経験、継続の3用法
Use: 過去から現在までの動作や状態を示す
現在完了形を一発で理解できる個人的ベスト英文があるので、その共有から始めます。
次の2人の状況の違いを考えてください。
Mary has never seen snow in her life.
Elsa never saw snow in her life.
Maryは現在完了形ですので、いま、この瞬間まで雪を見たことがありません。Elsaは過去形なので、過去の一時点では雪を見たことがありません。そして、in her lifeという語句も過去形により、過去の一点に集約されることになります。すなわち、Elsaは既に他界していることが推察できます。一方でMaryは現在完了形なので、彼女の人生は今もまだ続いています。
いかがですか?過去形は過去の産物。現在完了形はあくまでも視点は現在にある、という違いがはっきりしませんか?
はっきりしたところで、現在完了形の理解をアップデートしましょう。それは、「完了・継続・経験」の3用法があるのではなく、現在完了形は「過去から現在まで連綿と続く時間の幅を表す」ということです。
継続と経験はなんとなくわかる生徒も多いんです。だけど、続いているのに「完了」って何?と感じる生徒もいます。
以下の例文で考えてみましょう。
Can I watch a TV program? I finished my homework.
Can I watch a TV program? I’ve just finished my homework.
宿題は終わったからテレビを見られるんですよね(終わってなくても見るかもしれませんが笑)。しかし、例えば、昨日宿題が終わったという事実を引き合いにだして、今テレビを見ていいか、という要求は違和感がありませんか?それに比べて、今日の宿題が「今、終わった」からテレビを見ていいかという要求は理解できます。
過去の行為が現在に影響を及ぼしているか否か、で判断するといことです。完了したのは確かに少し前(つまり過去)かもしれませんが、その影響が今の行為につながっている。
次の例文も見てください。
Don’t touch the chair. I painted it.
Don’t touch the chair. I’ve just painted it.
過去形は、芸術作品なのでしょうか。展示品みたいな感じがします。現在完了形は、ペンキを塗ったばかりでまだ乾いていないのでしょうか。塗った行為が今に影響していますね。
ところで、現在形も「昨日も今日も明日も、めったにかわらないこと」という概念で理解しました。少し似ていますね。ここで、Aspectに登場してもらいましょう。現在形は単純相、現在完了形は完了相です。完了相を用いることによって、現在という時点で一区切りつける、という感覚でしょうか。「ここまでのことをまとめますね、これから先も続くかどうかはいったんおいておきましょう。」みたいな。
I study English.はきっと今後も英語学習は続いていく。
I have studied English.はもしかしたら英語学習が一区切りついたかもしれません。例えば、何らかの英語試験に向けて勉強してきましたよ、みたいな。英検合格に向けて英語を勉強してきたときは、現在完了形を使ってもいいかと思います。やめて欲しくはないですが、英検に合格したり、TOEICでいい点数を取ったら英語学習がいったん終わってしまうような場合は、現在完了形を使ってしまう気がします。
さて、これで時制の最難関と言ってもいい現在完了形もすっきりできたのではないでしょうか。この視点を応用していけば過去完了形も乗り越えられます。
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