英文法授業レシピ 2 時制
「時制」と一口に言っても英語と日本語の捉え方はかなり違います。したがって、和訳で時制を乗り切ることは不可能である、ということをまずは生徒に理解してもらいましょう。
また、文法用語がわかりにくさを助長している節もなくもない、と思います。そこで利便性のために文法用語を用いつつ、ニュアンスやイメージも絡めながら、難解な時制分野を颯爽と駆け抜けていきましょう!
時制の視点。英語は2つ、日本語は1つ。
生徒に伝えなくてもいいけど、先生は知っておくべき時制の大前提として、TenseとAspectという概念をまずは整理しましょう。
Tenseは時を表し、現在・過去・未来があります。
Aspectは相と訳され、進行相と完了相(と単純相)があります。
すなわち、I study English.という英文は、現在・単純相。
I was studying English.は過去・進行相。一般的には過去進行形。
I have studied English.は現在・完了相。一般的には現在完了形。
となります。しかし、日本語にはこの「相(aspect)」に相当する概念がないわけではないですが、英語に比べると少々ぼんやりしています。あるいは、わざわざ言う?という冗長な感じになります。
例えば、「私は(毎日のように)勉強しています。」と「私は(今、この瞬間)勉強しています。」は英語ではそれぞれ、現在形と現在進行形で表しますが、日本語ではかっこの中を除いても通じます。
同様に「雨が(わりと前の時間に)止んだ」と「雨が(ついさっき)止んだ」も、過去形と現在完了形の違いが日本語では表れにくいです。
さらにここに状態動詞と動作動詞の違いも入ってくると、「~している」の和訳も現在形なのか現在進行形なのか判別できません。
と、いうことで、時制指導の第一歩は、「和訳を捨てること」だとしておきましょう。「捨てる」が言いすぎであれば、「頼らない」くらいでもいいんですが、まあ、ある程度センセーショナルな切り口の方が生徒も「お、なんだ?」と食いつきやすいのでね笑
多少話は逸れますが、上記内容に賛同いただける場合、定期考査などの出題で時制問題を「和訳せよ」というのは、相当こだわらないとかなりナンセンスな出題になりえます。というのも、受験生が現在進行形と現在形の違いを理解しているか否かは「~している」という訳語からは判別できないからです。同様に彼らが何を意図して「~した」と訳したのかもわかりません。
それならば、状況や文脈を提示して、適切な時制を選ばせる問題の方が受験生の時制運用能力を幾分正確に捉えることができるでしょう。
さて、それでは次回からしばらく時制の教え方について考察をしていきましょう!今回のTense / Aspectの概念はずーっとつきまとってきます。頑張りましょう!
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