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映画感想文 さがす

あらすじ

懸賞金付きの連続殺人犯を見かけたという父。相手にもしない娘。しかし、次の日、父が忽然と姿を消してしまう。娘は教師や警察などオトナを頼るが手掛かりすら掴めない。父親の派遣先の現場を尋ねると、そこには全くの別人が。しかし、よく見ると、連続殺人犯その人。そこから追跡し、足取りを掴むが…

感想1 誰が何を探すのか

物語の前半は明らかでした。娘が失踪した父を探しています。しかし、半分過ぎたあたりでがらっと話が変わります。言うなればB面がスタートしたような。そこでは探している主体は明らかに父です。では、父は何を探していたのか。素直に解釈すれば殺人犯なのでしょうが、もう少し別の視点もありそうな気がします。
それは妻の愛し方だったり、自分の存在意義だったり、あるいは言い訳だったり。もしかしたら単純にお金だったり。父が探しているものを探すために再度視聴する価値があると感じました。

感想2 俳優陣の怪演

真っ先に挙げるべきは佐藤二朗さん。おそらく最も複雑な役どころである本作の父。物語冒頭では、20円足りなくて万引きしたり、くっちゃくっちゃごはん食べたり、もうまじで最悪の父親。その後、全然出てこなくなるし。
でも、中盤の奥さんとのシーンは言葉がない。これは視聴者である私が言葉を失っただけでなく、言葉らしい言葉がない演技、あえて無音にしている演技、それでもごちゃまぜな感情が画面いっぱいに広がる狂気。
終盤でのおどおどした直後のぎらついた目つき。権威ある立場の人たちへのへりくだり。弱い立場の人たちを獲物のように見る目つき。様々な様相がころころと入れ替わる。
そして、娘役の伊東蒼さんとムクドリ役の森田望智さん。この2人の女優さんがいなければ物語に深さがでなかったのではないだろうか。この2人が演じる人物はきっと聡明なんだと思う。あるいは相手をよく見て、相手のことを理解しようとする懐の深さがあるのかも。彼女たちのお陰で救いのない物語が完結したような気がする。
あまりの語彙力のなさに絶望を感じるほど、説明ができていない。

感想3 辻褄が合わない気もするが、どうでもよし!

多くの方が亡くなるが、その死亡(というか殺害)の仕方が、「え、ずさんじゃね?」と疑問に思う。
妻はALSというだんだん筋肉が動かなくなる病気。自立も不可能なほど病状は進行。その妻の殺され方が適当すぎる。絶対に自殺に見えないから、警察が介入するだろうし、そんな悠長に葬式もできないだろうし、なにより娘がその程度のしょんぼりでおさまるとは思えない。
ムクドリさんと父との関係性だって、防犯カメラとか見ればすぐにわかるはず。警察の捜査がそんなに適当だとは思えない。

でも、そんなことはどうでもよくなるくらいの演技です。
暴力的なシーンや性的なシーンもあるので、万人にはお勧めできませんが、背筋がヒヤッとするような映画を見たい方は候補の1つにしてもいいかもしれません。

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