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東京 #NHK短歌どっちを詠む? 投稿作

 就職活動で初めて東京に行った。資生堂。説明会は銀座本社にて十二時からなのに、十二時前に着いたのはなぜか新宿。
 あちゃー。今から行っても遅刻だし、そもそも資生堂みたいな大企業に受かるはずがない。ちょうど今、アルタで笑っていいともを放送している。もういいや、ここで芸能人の出待ちをしよう。
 ……と思ったが、わざわざ高い新幹線代を払ってやってきたのだ。気を取り直し銀座に向かい、三十分の遅刻で中に入れて貰えた。
 説明会後の試験はたいそう難しかった。もちろん不合格。行きの車内から、パキッとした青空を背景にした、絵のように美しい富士山を見れたのが救いであった。

どこででも関西弁をまき散らす不届き者の一人かわたし


NHK短歌には「読者はどっちを読む?」という読者のお便りコーナーがあります。その月のテーマに沿った300字程度のエッセイに、それに合う短歌を添えます。

テーマ「東京と大阪」で出したお便りが没ったので、お亡くなりになったお便りをここにアップし弔うことといたします。


表題は画像ACさんのものです。大阪梅田の地下街は迷路のよう、と言われているようですが、私にとっては東京の方がよっぽどわからなかったです。銀座は東京駅のすぐ傍なので、どこにも行かずじっとしていりゃよかったのに、日帰りだし、物見遊山であちこち見物に行ったんですね。で、肝心の説明会に遅刻した。

資生堂の受付の方はそりゃあさすが、お綺麗でした。ですが遅れて来た私へのまなざしは冷たかった。「この子、バカじゃない?」的な……(笑)、まあ私が悪いんでしょうがないです。四半世紀前のことなので、今はもっと愛想のよい受付さんになってることと思います。

試験は国数理英社の5教科あり、公務員試験並みに難しかった。ちょうどいま共通テストの問題が新聞に出てますけど、本気で身震いします。「試験」と名のつくものには二度と近寄りたくないです。


本当にこんな富士山でした

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