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転入生について

自分の小説に登場する転入生の特徴はワンパタである。

・背が高い
・黒髪のストレート
・色白
・切れ長の瞳
・頭がいい
・クール
・要するに美人


これは、あれですよ。


吉祥天女(吉田秋生)の叶小夜子かのうさよこ。転入生=異世界から来た者=ミステリアス、な叶小夜子のイメージが強くて、どうしても彼女に寄せてしまう。80年代の漫画の美少女というとパチパチおめめに星が飛んでるのが普通だったなか、吉田秋生の絵柄は衝撃的でした。アメコミ風でもあり日本画みたいでもあり、カッコよかった。

叶小夜子は、まんま、私の好みですねえ…。彼女は間接的に何人か殺してますけどね。おおこわ。

叶小夜子のほかに、私に転入生のイメージを焼きつけた人物がおりました。高校一年の時に転入してきたSさんです。彼女も頭がよく、美人であった。
美人というより可愛い系。安達祐実に似てました。で、お父さんが医者。親が医者ときくと金持ちのお嬢様と決めつけるのは一般庶民の悲しい性ですな。

実際、彼女は理数系が得意で、某国立大の医学部へ行かはりました。で! この子に価値観を覆された出来事があったのです。ある日数人で喋っていて、おじいちゃん・おばあちゃんの話になりました。Sさんは言うのです。

「私、おばあちゃんが大嫌い」

それまで私は、おじいちゃん・おばあちゃんとは無条件に孫を愛する存在で、孫の方もおじいちゃん・おばあちゃんによくなつき固い絆で結ばれているもの、と思っていたのです。私の同居する祖父・祖母がそうでしたし、祖母はかなりキツイ性格ではありましたが、孫の私と姉は可愛がってくれました。両親が離婚し父がいなかったので、不憫に思いよくしてくれた部分もあったと思います。

Sさんの説明によると

「(父親の母で、同居している)おばあちゃんはすっごいワガママで、気に入らない事があったらすぐ仮病で倒れて救急車呼ぶねん。ほんまに迷惑きわまりない。私もお母さんもおばあちゃんが大っ嫌いやねん」

いやー、この発言には驚かされました。お父さんが嫌い、お母さんが嫌い、は耳にしたことがあっても、「おばあちゃんが嫌い」は初めて知った価値観でした。にしても医者の母親が仮病で救急車呼ぶのはあかんよね。

と思っていたら大学で出会った同級生()も「(父方の)おじいちゃんもおばあちゃんも嫌い。可愛がってもらったことないから」と。

Sさんにしても、同級生()にしても、私は彼女たちの意見しか聞けません。相手には相手の言い分がありましょう。揉め事は一方だけが100%悪いなんてありえませんからね。若かったからこその発言であり、大人になり色々経験した後の彼女たちなら、また違うことを言いそうです。

…いやあどうかなあ…子供時分の家族間のいがみあいというのは非常に強烈に記憶に残るもので、嫌な感情はそう簡単に人生から拭えないもの。また拭わなくていいとも思います。裕福で幸せそうに外からはみえても、他人の家はわからない。それぞれの悩みがあるものだなと、当時の私は強く思ったものでした。

しかし。妻と娘が自分の母親と仲違いしている、という辛い立場であるお父さんはどういう感じだったのか、ちょっと興味あるな。あの時、Sさんにもっと詳しく訊いておけばよかったな、小説に活かせるのに。なんて考えるのは非常に下世話ですなあ。

…転入生の話からいささか脱線してしまいました。