見出し画像

ペリカンの知らせ

 そこには四つの群れがあった。最初に訪れた三つの人種から成る群れ。次に訪れた多国籍の群れ。それらを監督するために設立された同人種だけの群れ。最後に破壊を齎した、やはり同人種の群れ。
 私は二つ目の群れに属していた。ペリカンが裏の池に舞い降りた頃、三つ目の群れの存在に気がついた。
 私がこの池のほとりに着いた時、すでにそこには一つ目の群れが存在していた。一つ目の群れにはイタリア人、韓国人、日本人が在籍していた。コントラクターと呼ばれる群れの統括者は韓国人の女性であった。その時期はまだ、私が属する群れは池のほとりには集まっておらず、少し離れた街に居を構えていた。言うなれば私は先遣隊の筆頭であったのだ。程なくして、第二の群れが形成された。香港人、日本人、台湾人、スウェーデン人、フランス人、ベトナム人、覚えているかぎりにおいてもそれだけの異なる国籍を持つ同世代の若者が連日、私たちの部屋の横に入居していった。先んじて戦地に赴き、味方の到着を待つことは最初期こそ心細いが、その心には次第に無根拠な自信と人望を抱かせた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?