見出し画像

カブ旅〜奈井江町飲み〜苫前町農作業

総じて、佳かった旅。
これがしたかったということは、できたし。

1日目
 恐る恐る21歳のスーパーカブ50で奈井江町へ向かう。札幌市内ではエンジンオイルの不完全な循環からくる異臭と白い排気。やべぇ、無理だと思うも乗ってるうちに安定を見せる。4日間、40kmを最高速度にして走りきったわけだが・・・20数年ぶりに乗ったバイク。案外に大丈夫だった。
 難なく奈井江町へ。駅前〝松嶋屋旅館〟清潔な・・・行き届いている・・・TVはない。
 この町に温泉はない。自分がガキの頃であっても旧いと感じるであろう銭湯に入った。1日、何人の来客があるのだろう。
 風呂上がりに1杯やろうと駅前の〝LANTAN〟という小さな店で、しばし。  
 父娘で営んでいるそうな。15年も営んでいると、店の姿は見るだけでわかる。未だ醸成中って感じ。〝慣れ・・・こんなものさ〟って思った瞬間に醸成が止まる。その確認をしに、また行くのだろうな。

 そして、最高の店に出逢うことになる。
 午後6時、奈井江町で単身赴任している常連の御客様2名と。
 彼らが唯一この町で通い詰めるという〝民謡〟という名の焼き鳥屋。
 昭和50年代の・・・自分が父に連れ回された飲食店の風情そのままの。
 すべて美味しく。女将が美しい。68歳なんだそうな。会話の間が自分にとても合う。この店に来るためだけに、この町を再び訪れるだろう。
 その後、砂川市までタクシーに乗って70代の店主が営むバー的な店に行ったけれども書き記すモノがない。

2日目
 旅館で朝食、至って普通の朝飯って感じで浮つく。旅館の主に請われてハイボールに合うウイスキーと、ハイボールの作り方をレクチャー。
 いざ、苫前町に向かう。バイクは快調、勝手知ったる留萌市からの海岸線の道。しかしながら小さなバイク・・・風に揺られ舗装は削れていて・・・難儀した。潮の香りが懐かしいのだが、19の歳から19年間過ごした町に近づくにつれ昔の酷い人間だったことを思い出す。つい最近まで、それすら気づかなかったほどに酷かった。
 この4月に定年退職して第1次産業オタスケマンをしている役所時代の先輩と農地(先輩の実家の農地)で作戦会議。その後まさかの大人数での飲み会。懐かしの店と懐かしの面々。
 役所時代の面々と話すと、未来の話になかなかならない。思い出話になってしまう。
 3時間の飲み会。後輩に隣町の羽幌町まで送ってもらって。
 羽幌町の常宿、唯一親友だと言ってる親友宅(蕎麦屋)の一室で間借人。
 んで、これまた親友の一人だと思っている焼き鳥居酒屋(夏吉)の店主に会いに。
 3人で話していると将来の話になる。昔からそうだった。
 あぁ、これをしに来たんだって思ったし、明日の農作業は全力を挙げようと。

3日目
 朝から農作業。
 ライ麦を栽培するのだ。今年は実証実験。種を増やすための栽培になるだろう。試験的にライ麦パンは作るつもり。
 なにより雑草に覆われてしまっている20年間にわたる休耕の畑であってもライ麦は育つのか否か。農作業などしたことのない飲食店の主であっても農作物を収穫することができるのかどうか。
 ライ麦は、やせた土地でも育ち、肥料を必要とせず、ほったらかし農法でも栽培が可能だと。(やせた土地・・・日本では蕎麦を栽培する)
 育つのであれば来年以降、大規模化。
 ライ麦パン・・・そしてライ麦ウォッカ。なんといってもライ・ウイスキー。
 ライ麦・種の販売。
 この日のために1ヶ月程度ジムで体力作り。太陽の下での作業は、体力の消耗具合が違う。草刈り、掘り起こし、種を蒔き埋め戻す。
 先輩の助けのもと、なんとかなった。
 農作業終了後、先輩はオタスケマンをしに港作業へ赴いた。タフな人だ。
 古い付き合いの地元の有志に会う。表情が豊かになっていた。安心、そして将来の彼自身の明るい希望めいたなにかを感じた。
 とままえ温泉ふわっと。やっと温泉に辿り着いた。かつて毎日のように入浴していた湯、体が悦んでいる。気持ちがいい。
 夕方になって、羽幌町で飲み。
 懐かしの居酒屋〝しまや〟。開業初日に飲んで・・・あれから18年になるという。もと町職員だった女将とは、合併協議会事務局で一緒に仕事をした仲だ。ポテサラが旨し。ホタテの刺身が・・・。堪能して、その後2件。結構飲んだ。

4日目
 カブで帰路200kmに及ぶ。ひたすらカブを40kmで走らせる。
 色々と食材を仕入れたりしながら。あぁ、月形温泉が意外に良かった。
 無事自宅に到着し、ちょっと休んで仕事へ。


 イイ旅だった。
 Super Cub 50cc の新車を調べてみると約30万円。その他125cc/クロスカブ/ハンターカブとラインナップはあるが、ダントツで Super Cub 50 だ。
往復で450kmは走っているのに給油は10Lに満たない。
 この高度消費社会において最高の乗り物だ。
 オレの新たな翼として前向きに検討する。

 ライ麦・・・大いに育つといいな。夢が拡がる感じもあるし。
 あの強烈な雑草の中で、あの程度の作業で育つのであれば。 

 2週間後と4週間後・・・麦踏みに再訪します。無論カブで。
 株でCubを買ってカブを栽培するっていう目標もできたし。

着手前の農地
草刈りのうえ掘り返す
Super Cub 50
35年来の先輩。この御方は仕事しているときが一番カッコイイ。
種を蒔き埋め戻す


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?