見出し画像

「何でもっと早く飲まなかったんだろう。今では生理って何だったっけ?って思います(笑)」

そろそろ生理のことなんて思い出しもしない人生をはじめませんか。
世の中には知っているか知らないかだけで、人生が劇的に変わってしまうことがいくつか存在します。ピルの知識もその一つです。
生理の事を考えない人生。それは誰にでも簡単に、明日から手に入る未来です。
 
 生理痛や過多月経に保険適応で飲めるピル、それがLEP(レップ)製剤です。日本では避妊目的に自費で処方される経口避妊薬OC(オーシー)と区別するためにこの呼び方になっていますが、実は中身は一緒で、女性の性周期を司る2つのホルモン、エストロゲンとプロゲステロンの合剤です。
 頭痛や吐き気、血栓症など、昔の人がピルに対して持っているイメージは、おそらくLEP製剤が認可される前の中用量ピルからきています。現在主に処方されているのはホルモン量を抑えた低用量ピルや超低用量ピルです。あまり知られていないことですが、ニキビの原因となるアンドロゲン(男性ホルモン)活性を抑制し、肌がきれいになる種類のピルもあるんです!ジェネリック薬では3割負担で1シート(1ヶ月分)600円台とお値段リーズナブル。私の外来には処方希望の中高生もたくさん通われています。
 血栓症が怖いとよく言われますが、ざっくり言うとピルを飲んでいる人の血栓症発症リスクは1万人あたり年間6人、ピルを飲んでいない人の年間3人に比べると確かに倍ですが…妊婦さんは1万人あたり年間10人!褥婦さんにいたっては年間50人!!だから産婦人科医は妊婦さん褥婦さんの血栓症にとても気を遣います。事実としてピルをのむことより、妊娠出産の方がはるかに血栓症にはなりやすいのです。
 外来でこんな説明をしてLEP製剤を始めた患者さんからは、何でもっと早くのまなかったんだろうとよく言われます。そういえば生理用ナプキンずっと買ってないなー、ていうか生理って何だったっけ?とおっしゃる方もいて、診察室で大笑いでした。生理は毎月来ないといけないというのも完全な間違いです。あんなものに毎月付き合う必要はありません。あなたを必要とする人はたくさんいて、もっとやるべきことがあるのですから。そろそろ生理のことを考えない人生をはじめませんか。私の知る限り、女医さんや看護師さん、スポーツ選手などプロフェッショナルな仕事をしている女性は、ピルを飲んでいる人が多い印象です。ピルを飲んでいるから大切なことに集中できて仕事で成功するというのももちろんあると思いますが、より良い未来に向けて一歩踏み出せる行動力そのものが、彼女たちをプロフェッショナルにしているという方が正しいのだろうと最近気づきました。

 ちなみに国内のLEP製剤が初めて認可されたのは2008年のことです。つまり何十年もキャリアのあるベテラン先生の中にはLEP製剤をご存知ない場合もあります。実際に生理痛でピルのんでますという患者さんが、なぜか自費でOCを処方されていることが本当によくあります。そんな時は「あっ!いいお薬飲まれてますね〜実は最近もっといいのが出たんですよ〜」と言いながら、そっとLEP製剤に変更させていただいています。病院選びも重要ですが、産婦人科の先生なら誰でもピルの知識がある訳ではないという事実を認識し、自分で調べていって「この薬をください」と言えるくらいがいいですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?