エモいンゴ

盆のはじまり 自室にて

 目をこすりながら弱々しく体操
 スタンプもらい 今日がはじまる

 軒先の 壁をのぼった 兵が
 夏を鳴らして 見下ろす抜け殻

 寒いよと コアラやカンガルーの写真
 海を渡った 暑中見舞い

 夏は夜 サンダルパタパタ ワクワクで
 灯す花火のころはさらなり

 花火より あなたのほうが 美しい
 言えたらよかった 家路の後悔


 今回は短歌を5首考えてみました。お分かりのように、テーマは「夏」ということにしました。
 といっても短歌や俳句などをたしなんでいるわけではなく、こんな形で歌を考えたのは今回が初めてなので素人も甚だしいのですが、まあここは私の好きなようにやるnoteなのでこういうのもアリでしょう。

 しかし短歌や俳句を考えるというのはなかなかに心地よい活動だということが分かりました。2020年、なにかと大変なご時世となりましたが、これからの人生を豊かにしてくれる素晴らしい発見をしたものです。古来から日本文化として継承されているのも納得です。日本古典では「もののあはれ」や「をかし」といった美的感覚がありますが、現代風に言えば「エモいンゴ」といったところでしょうか。エモいンゴなんて、もしフォーマルな場で発言したらその場は失笑すら起きないだろうというくらいにふざけた言葉に聞こえますが、1000年後の学生は必死になって「エモいンゴ」とオレンジペンで書いて赤シートで隠してテスト勉強に励んでいることでしょう。

 では、最後に歌の説明をしてこのnoteを締めたいと思います。かなりハマったのでこれからもぼちぼちやっていこうと思います。同じく素人仲間の方、素養のある玄人の方、ぜひ貴重な批評・ご指導お待ちしております。


目をこすりながら弱々しく体操 スタンプもらい 今日がはじまる

 小学生の夏休みのラジオ体操です。毎朝6時30分に近所の公園に集合していたことを思い出します。私はわりと熱心に通っていました。その公園は今はもう壊されて道路になってしまいました。そもそも、公園のあるなしに関わらず、最近は夏休みのラジオ体操なんてやっているのでしょうか。

軒先の 壁をのぼった 兵が 夏を鳴らして 見下ろす抜け殻

 セミのことを兵(つわもの)だと感じるのは私だけでしょうか。家の外壁のコンクリートや近くの電柱に抜け殻をしばしば見つけます。木と違ってツルツルした人工物には止まりにくいでしょうが、なんとか羽化して夏の到来を知らせてくれます。

寒いよと コアラやカンガルーの写真 海を渡った 暑中見舞い

 留学先としてオーストラリアやニュージーランドの人気は絶大です。私もオーストラリアには数週間程度ですが、一応留学のようなものをしたことがあります。友人や知人でも短期から長期まで様々に、留学した人がたくさんいます。あそこは日本と季節こそ真逆ですが、時差があまりないので、留学中も日本の家族や知人と連絡をとるときに都合が良いですね。

夏は夜 サンダルパタパタ ワクワクで 灯す花火のころはさらなり

 「夏は夜 月のころはさらなり」と見事に論じたのは「をかし」の『枕草子』(清少納言)ですが、現代の私としては月は秋のイメージですね。しかし夏は夜が良いというところについては、心底賛成です。夏の夜といえば花火。夏祭りで打ち上げられる大きな花火も、友達と集まって灯しあう手持ち花火も、どちらも違った良さがあって、色とりどりの花火とともに輝く夏休みの思い出となります。まさにエモいンゴ。

花火より あなたのほうが 美しい 言えたらよかった 家路の後悔

 後悔ばかりではないですが、楽しかったイベントのあとにひとりで家路についている時というのはなんとも寂しいものです。そして、通り道のコンビニに寄って大して食べたくもないアイスかチキンかを買ってしまうというわけです。やがて家について、アイスかチキンかを食べてYouTubeを見ているうちに夜もふけて、また日常がいつも通りの顔をしてやってくるのです。


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