読書レポート #8 『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』
この本を選んだ背景
この本を選んだ理由は、今後の人生の生き方を見直す指針として参考にしたかったからである。
人生を考察するツールとしていろいろな考え方を見つけた中で、アドラー心理学は特に面白そうだと思った。アドラー心理学は自己啓発の題材としていろいろな本でも取り上げられており、この本はその中でも中心的な本である。
この本を読んで学びを得ていきたいと思ったため、この本を読んでいくことにした。
内容
すべての悩みは対人関係から
アドラー心理学では、自分の性格は自分で変えることができるとしている。
それは、本人が考えるいまここの目的によって性格や行動を変えているからだ。
アドラー心理学では、すべての悩みは対人関係の悩みであるとしている。
対人関係を育む行動ができない根本を探ると「否定されて傷つくことを恐れている」がほとんどである。
アドラーは、「自尊心が傷つくから」などさまざまな口実を設けて人生のタスクを回避しようとすることを「人生の嘘」と名付けた。
自由な生き方の出発点は、承認欲求からの解放
自由な生き方をするためには、他者の期待すなわち承認欲求から解放される必要がある。承認欲求からくるあらゆるコンプレックスから解放されるためには、自己受容が肝要である。
自己受容をする上で、自分は特別な存在ではないことに直面するときがくる。絶世のイケメン(美女)でなかったり、親からタワーマンションの部屋や高級外車を相続されていなかったり、オリンピアンほどの運動能力を授かってないことを99%以上の人が自覚するだろう。
しかし、普通であることは無能ではないことも事実である。普通であることを受け入れられれば、わざわざ自らの優越性を他人に誇示する必要はないからである。普通であることを受け入れ、等身大の中で人生のタスクに立ち向かうことが自由な生き方への第一歩といえる。
自由に生きるためには「嫌われる勇気」が必要である。
他者からの評価を気にかけず、他者から承認されないかもしれないというコストを払わない限り、自分の生き方はできない。
自立し、自分の生き方を確立することで幸せに生きることができるのである。
人生のタスク
人生のタスクとは、社会と調和し自立した生活を送る上で直面する課題のことである。そのタスクは大きく分けて3つある。仕事のタスク・交友のタスク・愛のタスクである。
仕事のタスクは、与えられた仕事をこなすことで生活資金を稼いだり社会を作る役割の一端を担うことである。成果というわかりやすい共通の目標があるため、同僚と多少気が合わなくても協力しあうことができる。
なお、この段階の対人関係でつまづいた場合は引きこもりやニートになる。仕事にありつくまでには、会社に連絡を取って面談を受けたりと手間がかかる。手間をかけても不採用通知という形で拒絶を受けることもしばしばある。彼らはこうした拒絶によって自らの尊厳が傷つくことを嫌がるため、仕事のタスクから逃げることを選択するのである。
交友のタスクとは、自分と相手の相互でそれぞれの性格や事情を尊重しあうことである。
自分のことをわかってもらいたいがために自分のことばかりしゃべって相手の性格や事情を尊重しようとしないことはよくある。自分のことばかりしゃべるのは交友関係を築く上でのアンチパターンだろう。
相手のことをよく理解・共感し、自分のことをしゃべりすぎないことで相互の尊重が生まれる。
愛のタスクとは、相手の良いところ・悪いところから逃げずに向き合うことである。
愛とは相手のために考え続けること・行動し続ける決意である。例えば一緒に住んでいる場合は相手の悪いところもいくつも見えてくる。そういう一面を見てもなお相手を尊重していけることが肝要である。
人生最大の嘘
人生最大の嘘とは「いまここ」を真剣に生きないことである。
誰もが知っているプロスポーツ選手の偉大なキャリアも、一日の練習・一回の腹筋や腕立てから形成されている。彼らは「いまここ」頑張る行為を何万回・何億回と繰り返してきたからこそ偉大なキャリアや素晴らしい戦果をあげているのである。
人生の嘘を言い換えれば「さまざまな口実を設けて人生のタスクを回避しようとする行為」を指す。人生のタスクに向き合うと、自尊心を傷つけられることは必然である。こうしたことから逃げるためにあらゆる理由をつけて避けようとするのは、人生の嘘をついていることになる。
人生の意味は、自ら見出すものである
アドラーは「人生の意味とは何か」という問いに対し「一般的な人生の意味はない。人生の意味は、あなたが自分自身に与えるものだ」と答えた。
性格を自分で変えることができるように、人生の意味も自分で与えることができる。
人生の意味を見つける上で大事なのは「他者貢献」である。
他者貢献を意識し「いまここ」で行動を起こし続けることで、どこかしらに辿り着く。
その場所は事前に考えているより近いかもしれないし、ずっと遠いところかもしれない。
しかし、今いるところより確実に良いところに辿り着くであろう。
学んだこと
この本を読んだ感想としては「否定されて傷つくことを恐れるな」「自分の生き方を確立する過程で、誰かから嫌われることは必然」「『いまここ』にいる相手に何ができるか考えて行動する」という考えをもって行動していきたいということである。
この本は「青年」と「哲人」のふたりの登場人物が対談するという形式で書かれており、「青年」の思考が過去の自分に幾度となく重なって心がしめつけられる場面もあった。
過去の自分は、「人生のタスク」から逃れるために陸上競技に打ち込むという生き方をしていた。競技場では生き生きしていても、そこを離れると幸福を感じる場面がほとんどなく、ゲームで良いスコアを出したり美味しいものを食べても「なんとなく良い感じ」くらいの感情しか湧かなかった。
最近は否が応でも仕事に向き合う必要があるし、人間関係にも向き合う必要が生じた。そのための行動は多少辛いが、思ったほど辛くないことについて不思議に思っていた。
思ったほどつらくないのは、人間関係に向きあうことこそ「人生のタスク」に向き合う行動だからということに妙に納得した。そして「人生のタスク」から逃れているうちは、本当の幸せを感じることはできないと感じた。