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薬物相互作用で問題になる「たんぱく結合率が高く結合力の強い・弱い薬物」

薬物相互作用で問題になる「たんぱく結合率が高く結合力の強い・弱い薬物」

血漿タンパク質との親和性が高い薬剤が併用されると、結合の弱い薬物は血漿タンパク質から追い出され、血中濃度の上昇をきたし作用部位への吸収を増加させるため、効果の増加、あるいは副作用発現の原因ともなる。

 血液中での分布状態が変わると細胞内外の分布状態も変化するので、実際にはこれほど単純ではないが、少なくとも効果が強くなることが予想される。

 臨床的にたんぱく結合に注意する必要がある薬物のほとんどは酸性薬物である。酸性薬物は血中で解離し負の電荷をもつようになる(塩基性薬物は正の電荷を持つ)。血液中で薬物とのたんぱく結合に関係する主なたんぱくはアルブミンとα1-酸性糖タンパクである。アルブミンの等電点は4.7、α1-酸性糖タンパクの等電点は2.7である。血液のpHは7.4なのでアルブミンとα1-酸性糖タンパクは負電荷の状態が多い、ただしα1-酸性糖タンパクは等電点が小さいのでアルブミンに比較し圧倒的に負電荷状態が多い。よって塩基性薬物は血中で正電荷を持つと、ほぼすべてα1-酸性糖タンパクと結合し、これが問題となることは少ない。問題となるのは酸性薬物が負の電荷を持った場合で「血中の少ない正電荷状態のアルブミン」と結合している。これが問題となりやすい

1.血漿タンパク質との結合が弱い薬剤
〈薬剤〉
 ①ワルファリン(ワーファリン)
 ②糖尿病治療剤(第1世代)
   トルプタミド(ラスチノン)
   クロルプロパミド(ダイアビニーズ,メリトスC)
   トラザミド(トリナ一ゼ)
   アセトヘキサニド(ジメリン)
   グリクラジド(グリミクロン)など
 ③抗悪性腫瘍剤(血液,肝臓,腎臓,消化器系にさまざまな副作用を発現)
  ・メソトレキセート
 ④抗てんかん剤
   フェニトイン(アレビアチン)血中濃度の上昇(薬物血中濃度測定;TDMの必要性大)

2.血漿タンパク質との結合が強い薬剤
く薬剤〉
 ①酸性の非ステロイド性消炎鎮痛剤
  (NSAID)のほとんどすべてその他として;サリチル酸系:アスピリンダイアルミネート(バファリン)、ジフルニサル(ドロビッド),ピラゾロン系(フェニルブタゾン)
②尿酸排泄促進剤
   スルフィンピラゾン(アンツーラン)
 ③高コレステロール血症治療剤
   フェノフィブラート(リピディル)、クロフィブラート(アモトリール)、シンフィブラート(コレソルビン),ベザフィブラート(ベザトールSR)など
 ④サルファ剤
   ST合剤(バクタ)など

【例外】血漿タンパク質の追い出し(置換)がおこり,遊離型薬剤の血中濃度の上昇が逆に薬効の低下をおこす相互作用が一部存在する。
(例)サリチル酸系=アスピリンダイアルミネート(バファリン)とNSAID
  NSAIDはサリチル酸系より血漿タンパク質との結合が弱いため,NSAIDが血中に追い出され,遊離型の濃度は上昇し,そ
 の作用は増強さる。しかしこの場合、腎での排泄が遊離型〉結合型であるため,かえって効果の減弱がみられることがある。

学んだことをアウトプットしていきます。