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医療者の役割・倫理 目的

☆倫理とは? なぜ医療・介護従事者は倫理を学ぶべきなのか?

☆医療・介護従事者と患者・利用者との関係で求められていることとは?

医療における倫理とは・・・

Bioethics/biomedical ethics(生命倫理/生物医学倫理)

⇒医学、保険医療、生物科学において生じる道徳的問題の研究

①臨床倫理(Clinical ethics)

 ⇒患者のケアに関する諸問題

②研究倫理(Resarch ethics)

 ⇒医療分野の研究における被験者保護

③職業倫理(Professional ethics)

 ⇒医師及び医療専門職が負う義務及び責務

 医の倫理(Medical ethics)

⇒主に医療行為から生じる問題

④公共政策倫理

 ⇒生命倫理に関する法律及び規制の立案・解釈

倫理とは? 道徳とは?

「倫理」大辞泉(小学館)

人として守り行うべき道。善悪・聖者の判断において普遍的(広く一般的)な基準となるもの。道徳。モラル。

日本看護協会HPより

○「倫理」とは社会生活を送る上での一般的な決まり事

○倫理と道徳の違いについては、時点上では同義とされており、一般的にもその解釈が用いられているが、道徳が個人や家族の小集団に用いられているのに対し、倫理は個々人の関係から社会に至るまでより広範囲に用いられていることが多いようです。

倫理とは? 道徳とは?

世界医師会「医の倫理マニュアル」

道徳性とは人間の意思決定と行動の価値に関わること。「善い・悪い」「正しい・誤った」「公正な・不正な」
倫理とは道徳性の検討であり、過去、現在、未来を問わず、道徳的な判断と行動について慎重かつ体系的に考察し、分析すること。
道徳性が行為(doing)に関する問題であるのに対し、倫理とは主として知識(knowing)に関する問題である。
これらから定義すると・・・

「道徳」・・・広く一般的に知られている行動基準

       *「これは悪い行動」「この場合はには

       このようにするべきだ」

「倫理」・・・「道徳」に基づいた判断や行動の分析

       *様々な事例において適切であるのかどうか?

例示すると・・・日本看護協会HP「倫理と道徳」

道徳は日常生活における行動の基準にはなっても、医療現場における治療の方向性などの判断基準にはなり得ないことが多いと言われています。

例えば、「真実を伝える」という行為について考えてみましょう。

私という個人は、「真実を伝える」ことが正しい行為であると日常生活の中で考えています。これは、道徳的な判断に基づいていると言うことができます。

では、看護職である私は、「真実を伝える」ことが常に正しい行為であると医療現場で考えるでしょうか。 次のような場合を考えてみましょう。

「家族以外の者には自分の病状を伝えないでほしい」と予め表明している患者がいました。ところが、患者とは会ったこともない遠い親戚が病院を訪ねてきて、患者の病状を尋ねたとします。このような場合、多くの看護職は、「真実を伝える」ことの正しさよりも、「患者の意思を尊重する」ことの正しさを優先するのではないでしょうか。

つまり、道徳的な行為は医療現場においては、必ずしも常に一番正しいとは言えないのです。

倫理はなぜ必要か?

日本国憲法第13条(基本的人権の尊重)

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しないかぎり、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

全ての人が与えられ守られるべき権利

世界的に受け入れられている基本的人権

生命に対する権利
差別・拷問などの非人道的な扱いからの自由
尊厳を傷つけるような扱いからの自由
言論と表現の自由
国内の公的サービスに平等にアクセスする権利
医療を受ける権利
医療・介護に従事する者が倫理を学ぶ必要性

 自らが行う医療・介護における行為が「倫理的」であるのか「非倫理的」であるのかを判断し、個人の尊厳などの基本的人権を擁護するために学ぶ必要性があると考えられる。

 しかしながら、すでに述べたように、生まれ育った環境や文化、宗教的信条や本人の死生観等によって(時には法律に抵触する場合もある)、医療・介護者の間に溝が生じる場合がある。その場合には、医療倫理学における四原則に基づいて判断することが求められている。

①自律性の尊重(respect for autonomy)

 患者・利用者や家族に対して十分な情報を提供し、その上で自ら決定して

 もらい、その意向を尊重すること。

②善行(benficience)

 患者・利用者や家族にとって最良の結果が得られること

③無危害(non-maleficence)

 患者・利用者やかぞくにとって予測される悪い結果(危害・損害・不都合

 等)を可能な限り回避すること

④公平・正義(justice)

 患者・利用者や家族に対して、正しいことを公平に行うこと

【ヘルシンキ宣言 Helsinki declaration】

従来の医の倫理について、世界医師会が、64年に採択した宣言。 周到な計画、自由意思による同意、患者の利益やプライバシーの保護など、臨床研究やヒトの組織を用いる研究で医師が守るべき倫理規定を定めている。

【世界人権宣言】

世界人権宣言は、すべての人間が生まれながらに基本的人権を持っているということを、 初めて公式に認めた宣言である。

1948年12月10日、フランス・パリで開かれた第3回の国際連合総会で、 「あらゆる人と国が達成しなければならない共通の基準」として採択された。 この宣言の中には、「自由権」と「社会権」がともにうたわれている。「自由権」として、身体の自由、拷問・奴隷の禁止、思想や表現の自由、参政権など、 「社会権」として、教育を受ける権利や労働者が団結する権利、人間らしい生活をする権利などがふくまれている。

【リスボン宣言】

患者の権利に関する世界医師会(WMA)リスボン宣言(1995年)

①良質な医療行為を受ける権利 ②選択の自由の権利 ③自己決定の権利 ④情報に対する権利 ⑤秘密保持の権利 ⑥保険教育を受ける権利 ⑦尊厳の権利

【ベルモントレポート】

1974年、米国で臨床研究全般の規制を目指す法律として国家研究法が成立した。ベルモント・レポートは、この法の下に設置された「生物医学および行動学研究の対象者保護のための国家委員会」が1979年4月18日に提出した報告書で、正式には「研究対象者保護のための倫理原則および指針」である。

第1原則 「人格の尊重」

「人格の尊重」は、主として人間の自律性を扱うが、この「尊厳性」には、「命の尊厳と人の尊厳を守る」という思いが込められており、その対象は、生きた人間のみならず、遺体、人体由来の臓器・組織・細胞・蛋白質・DNA・その他の物質、遺伝情報、診療録情報など、個人を識別しうるあらゆる物および情報を包含する。適用:インフォームド・コンセント

第2原則 「恩恵」

なお、第2原則の扱う利益には、被験者への利益のみならず社会への利益も含まれ、研究の科学性・合理性に関する判断は、この第2原則に照らしてなされなければならない。科学的でない研究は、利益とリスクの評価を行うまでもなく却下される。適用:科学性、利益とリスクの評価

第3原則 「正義」

「分配の正義」を意味する。すなわち、被験者が公平に選ばれているか、リスクを背負う者と恩恵に浴する者が異なっていないかということで、これは、米国のマイノリティー差別を念頭に

置いた概念である。適用:対象者の選択、責任ある遂行、結果の発表、利益相反。

【薬剤師倫理規定を理解する】平成9年10月24日 理事会制定承認

前 文

 薬剤師は、国民の信託により、憲法及び法令に基づき、医療の担い手の一員として、人権の中で最も基本的な生命・健康の保持増進に寄与する責務を担っている。この責務の根底には生命への畏敬に発する倫理が存在するが、さらに、調剤をはじめ、医薬品の創製から供給、適正な使用に至るまで、確固たる薬の倫理が求められる。

 薬剤師が人々の信頼に応え、医療の向上及び公共の福祉の増進に貢献し、薬剤師職能を全うするため、ここに薬剤師倫理規定を制定する。

第1条 薬剤師は、個人の尊厳の保持と生命の尊重を旨とし、調剤をはじめ、医薬品の供 給、その他薬事衛生をつかさどることによって公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって人々の健康な生活の確保に努める。(任務)

第3条 薬剤師は、薬剤師法、薬事法、医療法、健康保険法、その他関連法規に精通し、これら法令等を遵守する。 (法令等の遵守)

第4条 薬剤師は、生涯にわたり高い知識と技能の水準を維持するよう積極的に研鑽するとともに、先人の業績を顕彰し、後進の育成に努める。 (生涯研鑽)

第5条 薬剤師は、医療の担い手として、常に同僚及び他の医療関係者と協力し、医療及 び保健、福祉の向上に努め、患者の利益のため職能の最善を尽くす。

(医薬品の安全性等の確保)

第6条 薬剤師は、常に医薬品の品質、有効性及び安全性の確保に努める。また、医薬品 が適正に使用されるよう、調剤及び医薬品の供給に当たり患者等に十分な説明を行う。

(秘密の保持)

患者さんの生活習慣を変えるための行動学的手法の一つとして、Berlin&Fowkesが提唱するLEARNの手法があります。

1)Listen 聞く(傾聴) 病気に対する患者さん自身の考え方や希望を

  解釈モデルなどを用いて明らかにする。

2)Explain 説明する 患者さんの考えや希望を医学的見地から整理して、

  きちんと理解していることを伝える。

3)Acknowledge 認知する お互いの知識を確認し認め合う。

4)Recommend 薦める 患者さんの社会的背景や希望を十分配慮した上で、

  専門家としてよいと思われる方法を薦める。

5)Negotiate 協議する 実行可能な具体的なプランを話し合っていく。

最終的に判断するのは、みなさん自身です。なぜなら、倫理的判断や結論には、まったく疑いの余地のない「正解」はありません。ですが医療現場ではなんらかの「答」を出さなければならないことがあります。真摯な議論こそが「答」を作り上げ、患者・家族も含めた関係者での共有を可能にしていくのではないでしょうか?

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山羊座のあきら
学んだことをアウトプットしていきます。