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俺オモイ

先日、横浜市在住の従妹の家に遊びに行った
広い公園の前の新築の賃貸アパートだ
2階建ての1階部分で
リビングの窓から
ちょっとした庭に出られる作りだ

会うのは4年ぶりだったせいか

従兄妹で集まっては
バカやっていたのに
ひとりだけ
大人になったような印象を受けた

そりゃそうだ会わない間に
コイツは結婚し、超高齢出産までしたのだ

しかも、産気づいて生まれるまでに3日間
結局、麻酔が切れた状態で
帝王切開だったもんだから
しばらく体が思うように動かなかったらしい

恐ろしい話だ、割腹したんだぞ
侍がショック死するヤツだ

もう独身だった頃とは
何もかも変わってしまったんだなぁ
と、俺はちょっと寂しい気持ちになった

と、言いたいところだが
やはり、さすがは俺の従妹だ

昼間から旦那に子どもを押しつけ
ふたりで酒飲んで騒いで、ベロッベロ

全然、変わってなかった

見事にふらっふらだ
おっぱいに近づく赤子に

あ、〇〇(子どもの名前)ちゃん
もう酔ったからおっぱいはダメよ

(笑)

結局いつも通り
従妹と俺はつもる話を
ダラダラ口から垂れ流したのだった

そして、ここから本題

あっき(俺の親族間の呼び名)、私ここに
越してきて間もなくさ、、、

従妹は、いつものように
何かマズいものを噛むように
目を平たくして神妙に話し出す

まるでサスペンスのへっぽこ探偵のようだ

子どもがハイハイしだして
前に住んでいた家が手狭になっちゃって
5月にここに引っ越してきたんだけど

梅雨前に
エアコンをはじめて動かしてみたのね
前の家のは古かったから
今回は新品でめっちゃ楽しみにしていたの

なんだなんだこの話先が読めん
心霊現象か?
まさか俺に霊視すれとか言わんだろうな

そうそう、あっき
コレ、知ってる?

従妹は食卓テーブルの隅にあった小物入れから
細かい穴の開いたキャップのようなものを取り出し
俺に渡してきた

何の変哲もない、プラスチックのキャップだ


ん?なんだこれ
サッパリ分からない

すでに酒で出来上がった頭で
このキャップの用途を言い当てろ
ということの方が無理というものだ

鼻の穴に入れるぞ

入らないでしょ
(笑)
私さ、この存在を知らなくて
コレはね

エアコンの排水ホースの先につけるやつなの

ほぉ

ますます話が迷宮入りだ

向かいが公園で川まで流れていて
ここ1階でしょ、虫が多いみたいなの

あ、視えてきた
ヤバいやつだ

1階だって忘れてて
コレ、つけてなかったから

いつの間にかこのホースから
ゴキブリが入ってきていたみたいで
ちょうどのタイミングで
エアコンのスイッチを入れちゃったらしくぅ

送風弁が開いた途端
ゴキブリが落ちてきたのぉぉぉぉぉぉぉぉ!

ぎゃぁぁぁぁぁぁああああああッ!!!
by山ちゃん

従妹の生々しい話し方と
俺の類まれなイマジネーション能力で
後ろにひっくり返りそうになった

従妹は俺が大の虫嫌いだと知っているのだ

従妹はというと
インドだのベトナムだの
オープンチケットで長期滞在してしまう
汚いものに超がつくツワモノだ

まぁ

予想してなかったから
ゴキブリ落ちた時はびっくりしたよね
すぐに見失っちゃったわよ

マジで!?
見失ったの!!?

俺は今更なのに
まわりをブンブン見渡す

(笑)

アッキ、リアクションひとつ残らず予想通り
話して良かったわ

大丈夫だってその日のうち
やっぱりスリッパ、無敵
3連続で仕留めた

それでも3発かよ、と
俺が、ホッと胸をなでおろす

でさ、アッキのところも
エアコンつけたって言ってたじゃない
コレは、排水ホースの先につけて
虫が入ってこないようにするヤツなわけ

そう言って
俺にこのキャップらしきものを
持たせてくれたのだった

そういえば去年、夜中のカメムシで
えらい騒ぎになったことを思い出し

俺は今すぐ帰りたくなった
今すぐ帰って
このキャップをホースにさしたい

さしたい衝動を必死に抑えて

ありがどゔぉぉぉ

従妹の手を取り
あまりある心遣いに泣きながら言った

百均に、あるよ

従妹はうんうんとほくそ笑みながら
俺をなだめたのだった

どの百均でも売ってるようだ

これメーカーの標準装備にすべきではないか!?


ということで
帰ってさっそくつけてみた

似たようなのもあるかと思い
ダイソーとキャン★ドゥで比較してみよう

この青いゴム状のやつは
止逆弁らしい
なーるほど、クモとかも大丈夫そうだ
ダイソーすげぇ


やはり従妹からもらった
↑ダイソーのものが
一番高性能のようだ

やっと、これで安眠できる

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