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哀しきパラレル・ワールド

高学生の時、家庭教師の先生(理系大生)に
パラレル・ワールドの理論を教えてもらった

この世界はね

同じようで、ちょっとだけ違う世界から
まったく別の世界まで
色鉛筆のグラデーションのように
様々な現実世界が並行に進んでいるんだ

数学の計算式が書かれたノートの端に
先生はボールペンで
何本も何本も直線を引きながら言った

山ちゃんに、AとBの選択肢があったとすると
Aを選択した山ちゃんと
Bを選択した山ちゃんが存在すると考えられるよね
この並行した多くの世界では
そのどっちの山ちゃんも現実として存在している

そんな並行した世界を、我々は選択のたびに
行ったり来たりしている、と考えるのが
パラレル・ワールドなんだよ

数学の勉強で、なぜそんな話になったのか
分からないけれど
ノートに描かれた何本もの直線の間を
先生の持つボールペンの先が
いったり来たりしていたのを覚えている

あの時は、まだまだ脳が未熟で理解できなかった

だけど、面白かったから覚えているよ

俺がプロボクサーの世界もあるってこと?


昨日の夜

いつもよりちょっとだけ夜鍋して
the OAという
米ドラマのシーズン2を見終わった

このドラマはNetflixが手がける
カルトドラマ(こういう言い方もあるんだ)で
2016年にシーズン1
2019年にシーズン2が公開された

制作の総指揮者は、ブラッド・ピッド
(本作に本人は出ていない)

シーズンはどちらも全8話だが
その回ごとに、収録時間がバラバラという
日本では考えられない構成だ

テレビ番組じゃないので時間に縛られることなく
キリのいいところで回を区切られるのは
動画配信サービスのメリットだ

さて、このOAはシーズン5までと言われていたが
シーズン2の配信がはじまる前に

Netflixは、シーズン2で打ち切ると発表した

一部の視聴者には、ウケが良かったが
やはり一般的な内容ではなかったのか
視聴回数が伸び悩み
バッサリと打ち切りが決定したらしい

これを受けて、ファンたちが猛反対
街頭で、打ち切り反対のフラッシュモブをしたり
ハンガーストライキまでした人が出たらしい

OA シーズン1~2 Netflixで配信中


物語は、とある町で失踪した盲目の少女が
7年後、突如、町に帰ってくるところから始まる
それも、別の町の橋の上に現れて
自ら海に落ちていってしまうのだった

救助により、一命をとりとめた少女は、、、
いや、もう7年も経っているので女性か

その女性は、空白の7年間を話そうとしない
奇妙なのは、盲目のはずが
目が見えるようになっていたのだ

こうなると奇跡の女性として
社会から持ち上げられてしまうのだが
彼女はそんなことお構いなしで
密かにある使命を果たそうと行動に出るのだった

シーズン1は、この主人公の女性の不明だった
7年間が、説明されてゆくのだが

どうして目が見えるようになったのか
どうして忽然と橋のど真ん中に現れたのか
その他、もろもろ

色んな伏線が、回収されないまま終了するので
ビックリした人
悶々としてた人
多かったのではないだろうか

【臨死体験と転生】


シーズン1の続き

話の一方で

死後の世界を研究する狂った博士がいて

博士は臨死体験を経験した人たちを拉致監禁し
博士の発明した特殊な装置で
彼らを何度も臨死させていた
時に、本当に死んでしまう者もいた

その拉致監禁されていた被験者の1人が
この7年消息不明だった主人公の女性というわけだ

そして、博士の研究で
主人公の女性は
何度も臨死状態を経験させられてゆくのだが

経験を重ねるうちに
彼女の能力が覚醒してしまうのだった

高次の存在から、メッセージを受け取ったり
難病を治癒したりしだす
また、彼女が『一番はじめの天使』と
呼ばれるようになり
しだいに自分もそうだと名乗りだしてゆく

しかし、博士と彼女は仲たがいし続け

最終的に彼女は荒野に捨てられ
残された被験者の面々の力を使って
博士自身が別次元の世界へ逝くことに
成功してしまうのだった

ここで、シーズン1が終わりで
博士は敵、という位置づけがずっと続く

シーズン2は
突如、主人公の女性と博士が移った
別次元の世界で始まる

Aの世界の主人公が
Bの世界の主人に入り込むのだけど

え?じゃあ、Aの主人公はどうなったの?
Bの主人公の記憶とか人格とかどうなるの?

と、難解に難解を極め
こっそり、2回繰り返し見てしまった

すると、概要だけだが
何となく理解できるようになって

そっか、パラレル・ワールドだ
昔、家庭教師の先生から聞いたあの話だ
と思い出したわけです

この物語で、別次元に転生するためには

死ぬことが前提のようで
そこであの世のような分岐点に行き
また別の並行世界へ放たれる、ということらしい

つまり、Aの世界を死んで離れ
Bの世界の誰かの魂をのっとる
というシステムなのだ

そしてシーズン2では
ソウルメイトの概念も入ってくる

前の次元の話に戻るが
主人公の女性が監禁されていた7年間の間に
同じく監禁されていた被験者の男性と

恋におちるのだ

もちろん、シーズン2の別次元で
ふたりは出会うのだが
いかんせん彼の方が彼女を覚えていない

でも、どこか彼女を気になってしまう

次元を超えてもなお、惹かれ合うのは
ソウルメイト
ということなのだろう

なんだ、この話は幾多の時空を超えても
魂が惹かれ合う壮大なラブストーリーなのか
とシーズン2で気づくのだった

そしてもうひとつ
グループソウルという概念も入ってきた

他の出演陣もまた
別次元から別次元へ、干渉し合うのだ

説明によると、魂はある集団を組み
次元間の転生を繰り返しているとある

離れることができない運命共同体

なるほど、こりゃグループソウルだ

つまり、物語の焦点が

・主人公の女性と博士の転生の物語
・ソウルメイトとの恋愛物語
・グループソウルで次元を干渉し合う物語

の、少なくとも3重構造になっているらしい

たしかにこりゃ、分かりづらい

もし、次元を移動できるのであれば
嫌いな博士のいない次元に移って
主人公の女性と彼でラブラブに暮らせばいいではないか
と思うのだが

この博士と主人公の女性はグループソウルでもあるから
別の次元に逃げたとしても
必ず、博士も一緒にきてしまうってことだ

なーるほど、これじゃこのふたりの愛は
一生報われない

という悲劇が、演出されたわけだ

話は変わるが

パラレル・ワールドを題材にしたドラマで
大ヒットしたものが以前にもあった

フリンジ シーズン1~5


これは、2つの並行宇宙を
行ったり来たりする物語だ

2つしかないので非常に明快で
混乱することなく楽しめた

だからヒットしたのかも

このドラマでは、2つ世界を行き来のための手段は
催眠療法だった

俺が催眠療法を習っていた最中なので
すごく嬉しかったのを覚えている
(しかも再現性がめちゃ高かった)

だが、どんどん話が現実離れして
最後は惰性で見ていた感はあった

それでもラストにふさわしい完結だった

と、比べて
theOAは、突如として終了だ

Netflixは、theOAシーズン2がはじまる前に
打ち切りが決定していたのなら

せめてそれなりに話がまとまるよう
脚本を作り直してほしかったではないか

シーズン1の伏線が何もかも回収されず
シーズン2でますます話を広げ
博士と縁を切れず
ソウルメイトとも結ばれず
グループソウルとも会えず

ブツッ

と、最終回を迎えた

そんなことあるか(笑)
おさまりが悪すぎるだろ

そんなことだから
視聴者がハンガーストライキ起こすんだ

がしかし

すごい潔さ、というか
物語も何もあったもんじゃない
市場主義でサッパリしすぎているな

アメリカ

作製スタッフ、役者陣は
どんな気持ちで断念したんだろう、ね


あれ?

あれれ

あれあれあれぇー、もしかして

ブツッと打ち切られるドラマが
存在する世界だってあるだよっていう

っていう話か?

伏線なんて、無意味
物語の続きはあなたが勝手にどうぞ

てこと?

そんな並行世界もあるで、しょ?

これこそまさに
俺が選んだ

、、、

、、、、、、、

、、、、、、、、、、、

パラレル・ワールド?


ドラマをブツッて打ち切る並行宇宙の話だったわけ?



ドラマの完結を見たまた別の次元の俺も
どこかにいるわけね(笑)

わかった
わかりました

無限の並行世界があるって言うんだから
何でもアリってことですね


※ 撮影が復活する場合が稀にあるんだそうです

じゃあねぇ

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