何度でも言おう、答えはNOだ
友人Yは、変わっていると思う
彼はアウトドアがめちゃくちゃ好きだ
その好き度合いが、MAXなんだと思う
どのくらいMAXかというと
還暦過ぎて
冬はバックカントリー
夏はサップやサーフィンな野郎だ
もともとがプロのボーダーで
(自分では現役だ、といってる)
世界大会まで経験してるから
大自然のガチなヤツだ
ヘリで雪山の山頂あたりを模索して
感覚であの辺に降ろして、といい
滑り降りるらしい
世界各国で活躍した話や
公にはできない
ヤバい話を聞くのは底なしに楽しい
なので、俺は
えー、面白い、羨ましい
風に、月並みなセリフで
ついつい相槌を打ってしまう
すると、Yはガチな仲間を集めて
キャンプをするぞと誘ってくる
言い出しっぺに祭り上げられて
いや無理です、とは言えず同行してみた
ら
ワイルド過ぎて
2度と行かないと誓った
あれからBBQだなんだと
拉致されて懲りたから
何度も何度も誘ってくるが
だいたい答えは、NOと言う
声高らかに、NOと言うのだ
一方、友人Xも変わっている
彼は身の丈190cmを超える
もと社会人ラガーマンだ
俺にはヌリカベにしか見えない
彼はネイチャーガイドをしているので
ラフティングしようよ、と誘ってくる
仕方がない、と付き合いで参加したら
キャニオニングだった
この歳の上に高所恐怖症な俺が
尻すべりで滝つぼジャンプとは
自殺に等しかったので
2度とやらないと誓った
これまた、NOだ
YもXも
俺と話題がまったく合わないことを
熟知しているにも関わらず
遊びにくるし
誘いにくる
YとXと俺で、我が家で飯会をするのだ
図体がデカいのにXはヴィーガンなので
ヴィーガン中心で
しかもYの大好きな煮魚はしっかりおさえて
ボリュームたっぷりに作る
なにせ、彼らは量を喰う
Yは自家菜園からとってきたという
ブドウだの野菜だのを持ってくるのだが
無農薬だけあって虫が大量についてくる
虫だけならまだしも昨年のは
ぢ蜂までついてきて
俺は、恐ろしさのあまり
ひっくり返りそうになった
だけれど、Yは蜂を怖がらない
やっぱりXも、蜂を怖がらない
俺が騒ぐものだから
彼らはぢ蜂を手で掴んで外に逃す
逃すのだが、秋だったため
逃しても逃しても
暖かい室内に戻ってきてしまう
それでも彼らは、ひょーひょーとしている
なんなら、もう面倒だから
このままでいいだろ、くらいの勢いだ
すると、俺は声高らかに
それはNOだ、と言うわけだ
我が家で
ぢ蜂が自由気ままに飛び回るのは
NOなのだから
当たり前だ
誰のせいでぢ蜂が飛び回っていると思うのか
問い詰めるも
山ちゃん、気、に、し、す、ぎ
と、ずぇんずぇん、響いてない
山ちゃんの
ヴィーガンキーマカレーレシピ
(Xはこのモリモリを2皿平らげる)
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
そんなこんなで今年の春先
Xがとある無人島で
3日間のサバイバルツアーを
開催すると言い出した
国内にそんなことしていい無人島が
あること自体驚きだが
もっと驚いたのはこのツアー
所持品に制限がある、ということだ
持ってきていいものは
自分の好きなもの1つだけ
参加者がその1つ1つを出し合い
力を合わせて3日間しのぐというのだ
身の安全は保証されている
とは言ってたが
俺は、Xの刺激に飢えたあの笑顔を
まったく信頼してないので
声高らかに
不参加を表明した
そう答えは、NOだ
記念すべき1回目のサバイバルツアーは
3日とも悪天候で
海藻しか食えなかったらしい
恐
本当に断って良かったと思う
そして
Yからは定期的に
原始人が扱う太鼓や弦楽器のライブに誘われる
地球のリズムを、感じれということか
もちろん、俺は言う
自分は縄文人ではない
弥生人なのだ、と
つまり答えは、NOなのだ
ビートは打ち込みしか興味がない
とまで言ってやる
俺は声高らかに言う
答えは、NOだ
すると、すごく悲しげな笑顔で
そぉ〜かぃ〜?
またねぇ〜
と、Yは言う
でも、こんなに面と向かって
NOを言える友人は貴重だなって思う
俺から誘うことはないにも関わらず
ふたりは会いにきてくれる
すごく、嬉しい
NOと言っても嫌われない関係はいい
だから、その気持ちを飯に変えて
2人をいつも迎えたい
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