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音楽サブスクの夢

”教科書には載ってないサブスクリプションの秘密”というイベントを、”日本の定額制動画配信サービス市場を徹底的に解説します”が話題の柿元さんと"全アーティストのための音楽ストリーミング基礎講座"がバズった松島さんと一緒に開催することになった。

かくいう私も、ずいぶん最近はサブスクな人という認識を持たれているが(それはそれで悪い気はしない)、そもそもは、サブスクが好きというよりは、音楽業界に夢があるということにしたいから、サブスクを全力で推さなきゃと思ってる。

今日のファーストソングは、いつも夢を応援してくれるこの曲。

音楽の聴き方として、少なくとも現在においては、ストリーミングという形態がファイナルアンサーではないか。技術の進化で音楽を聴くフォーマットがこれ以上変化することはしばらくないだろう。今までのフィジカルビジネスは一回購入したら一生その音楽を聴く権利を得られるという一回払いであった故に、邦楽シングルCDだったらば1,000円、ダウンロードとしても250円という金額だった。これに対してストリーミングは、所有する形ではなく聴きたいときに聴いてその分の対価を(間接的に)払う、分割払いであるといえる。ストリーミングの単価は、広告収入(無料サブスクリプション)型か有料会員収入(有料サブスクリプション)型かで異なるものの、分かりやすく再生単価1円と仮定しよう。分割払いといったけど、シングルA面B面2曲聴いたとして、一括払いのシングルCDに対して、500回分割払い、ダウンロードに対しても1曲250回払いってことになる。いくら好きな曲でも1生のうち500回聴くってことはさすがにないんじゃない。そもそも500回払いなんて40年ものローン設定となるわけで、アーティストにしてみたらそりゃいくらなんでも分割払いすぎませんか、と思う単価だ。

Spotifyに在籍してるときも、かっこいいこと言ってるけど本当にアーティストが食っていけるんかな、と自分に対して疑問に思うことはあった。そりゃ、あいみょんや髭男は1曲でも1億再生を達成して、1億円の収入がレーベルにはあるわけだ。でもそんなアーティストはトップ中のトップ。だがしかし、ストリーミングの価値は再生数よりも違うところにあるってことを、アーティストに気づかされた。

Spotifyのユーザーがそこそこ増えてくるとよく感謝されたのは、ライブの動員が伸びました!っていうこと。プレイリストを通じて、リスナーが増えて、その中からフォロワーがついて、さらにその中からファンになってライブに行きたいという人が生まれている。ファンとつながることができるサービス、それがストリーミングサービスなんだ、と気づいた。

新人にもかかわらず、りんご音楽祭でステージに立ったら、想像もしないくらいのオーディエンスが走って集まってきてくれて、そしてみんな一緒に歌ってくれた。これは、ストリーミングで聴いてくれた人たちなんだろうなー。そんな話。

SNSやYouTube(やSpotify Free)でファンと出会って、ストリーミングサービスで好きになってもらったら、ライブに来てもらう、そしてさらにはグッズも購入してくれるファンが増えてくると少し収入面も安定してくるはず。(グッズが一番原価率が低い(笑))

海外ではストリーム数よりもリスナー数やフォロワー数を重要視をしているようですし、例えばロイヤリティーの高い100人のファンをつくること、そして客単価をあげることを目標にすべきだというような論調が生まれてきている。

この記事では、フリーリスナーからパトロンに、さらに高価購入してくれるユーザー、サブスクライバーへと転換していくことが語られている。1,000人の年間$100払ってくれるTrue Fanより、年間$1,000払ってくれる(月1万円弱)さらなるTrue Fanに支えてもらうというモデル。いくつか近い業界での参考事例も語られていて、Podcast番組 This might get wiredは、月額$5, $15のエクスクルーシブ番組が聞けるパトロン制の上に$69の サブスクライバーを募集してる。$69払えば毎月30分のライブストリームにアクセスできたり、プレゼントが届くというような仕組みだ。

ここ日本の音楽業界においては、すでにファンクラブという優れたサブスクリプションモデルがあるではないか!これは日本独自のビジネス文化だそうで、今海外がそれに似たモデルを試行錯誤はじめているという状況に見える。

まずは、サブスクリプションを通じてファン候補生と出会えなければそのさきのモデルなんて何もないわけで、まずはここを地道に積み重ねていくことが重要だと思う。もちろん、いい作品が一番。その作品を聴いてくれる人を増やすためには何ができるかを考えること。

そんなことを今度のmeet upイベントでも話せればいいな。また実際にサブスクでの収入はいまんとこどんなもんなのか、ってことを検証してみたいと思う。

夢って何?自分にとっては、新しいことやってるねと思ってもらえること、自分が関わったアーティストライブでのファンの歓声、そしてお金も(笑)。


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