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 だいぶ寒くなってきた。寒くなってくると鍋の話題が出てくる。大学生の頃,これぐらいの時期になると誰かの家で鍋パをしたものだ。何回もやったはずなのにあんまり記憶にない。それだけ時が経ったのか,私の妄想だったのか。
 友達の家で開催されることが常で,我が家で開催したことはない。単純に部屋が散らかっているからだ。食材は買っていったのか,みんなで買いに行ったのか。何を入れたのかもよく覚えていない。肉と白菜とマロニーは入っていたと思う。それから,酒を買った。
 友達の家は何がどこにあるのかだとか,独自のルールだとか,勝手がわからない。指示されたこと以外は,適当に話して,火を見守るぐらい。酒が入って,しょうもないことを話して,それからどうしたっけ。
 気がつくと日付は変わり,酒と適当に買ってきたつまみの時間になっている。1人眠り出す。そして,もう1人。起きている人が私ともう1人になって,何かをずっと話していた。さらりとした梅酒をほぼ1人で飲み切ったのが懐かしいな。
 なんだかんだで気がつけば朝。いつの間にか私も眠っていたようだ。片付けをして,家主に謝り,帰路につく。彼もこうなることぐらいはわかっている。お互い初めからわかっている。
 帰り道,神社では何かが行われている。そこは伏見稲荷大社。全国の伏見稲荷の総本山。見慣れない装束の神職たちは何かの儀式を行っている。

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