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ドワーフ語をAIに創造してもらった話。

 先日公開した「ChatGPT - ステップバイステップで生成!あなただけの人工言語の使用方法と所感を書きます。

 作成した筆者自身、まだ使い倒しているわけではないので現時点で分かっていることだけ書きます。

目次
1:動機
2:「
ステップバイステップで生成!あなただけの人工言語」の使用法
3:出力結果の感想
4:ドワーフ語の例文


1:動機


 
架空の言語をGPTに作らせようと思い立ったのは数カ月前のことです。筆者は「ロードオブザリング」が好きです。作者のトールキンは言語学者でもあり、作中に登場するエルフ語は彼が生み出したものです。単語も英文法も整備されているため学習できます。Wikipediaによれば、トールキンはこのエルフ語の基本構造を古ケルト語等に準じたとあります。

 筆者は思いました。CHatGPTは数多くの言語をカバーしているのだから、そこから人工言語(のようなもの)を創造できるのでは、と。

 こうした遊び心からChatGPTに人工言語を作らせはじめたのです。何度かプロンプトを試す内に、文構造とおおまかな雰囲気を指定するだけで短い文を作ってくれるのを知りました。もちろん、ChatGPTは人間のように意味や言語理論を「理解」してはいないでしょう。それでも「なんとなく言語っぽいもの」を作成してくれることは分かりました。

 そして11月7日のアップデートを機に、ごくごく初歩的な人工言語作成ChatGPTを作成しました。今回紹介しているのはその改定版です。

2,「ステップバイステップで生成!あなただけの人工言語」の使用法

 ・このChatGPTは、はじめに言語の全体像を指定した上で、代名詞、動詞、名詞、形容詞、副詞等の品詞を段階を踏んで出力してもらいます。およそ80語程度単語を生成したところで例文を10作成します。その後さらに時制表現、態(能動態、受動態、中動態)を生成してくれるはずです。

 ・ユーザーは最初に言語の大枠を指定すれば、あとはChatGPTのガイドに従うだけです。各ステップごとに「つづけて」とか「了承しました」と入力すればいいだけです。

 ・ステップの途中で独自に注文を出すこともできますが、その場合、その先どうなるかは筆者にもよく分かりません。

3,出力結果の感想

  筆者がはじめに出した注文は以下の通りです。

User
ドワーフの言語を作成してください。ドワーフ語は力強く、荒荒しく、雄々しい言語です。ドワーフは地下で生活し鉱物を掘って生活します。文法はシンプルです。

 詳しいことは後回しにして、結論から書きます。

 1:ドイツ語と英語そしてスウェーデン語を連想させる単語が目につく。謎の単語もちらほら。ロマンス諸語の影は薄いか。

 2:こうなった理由について筆者は「ドワーフ」というワードがこれらの言語圏と縁が深いから、と考えている。ドワーフはドイツや北欧の伝承に登場するようだし、英語圏にはなんといってもトールキンの「ロード・オブ・ザ・リング」(とそれに影響を受けたカルチャー)がある。

 3:出力された例文を見るとSVO型が支配的。

 4:助動詞の生成結果は納得のいかないものだった。たまたまか。

 5:例文中に自然言語にはありそうにない同音異義語が登場する(例:英語の前置詞"by"と"from"が両方とも"av"という表記になっている。)

 まとめると、とりあえず言語らしきものができたが、整然とした、文句のつけようのない言語を生成するのは難しそう。

 とはいえ、10分から15分で言語らしきものがでてくるのは面白かった。出力される単語がどこからきたのか調べるのは意外と楽しい。遊びとして十分楽しめる。

4:ドワーフ語の例文

 最後に例文と筆者のコメントを書きます。

1:ドワーフ語: "Ja gron rok i krag."

英語訳: "I dig ore in the mountain."
意味:
Ja: 私 (I)
gron: 掘る (dig)
rok: 鉱石 (ore)
i: の中で (in)
krag: 山 (mountain)

 S+V+O+前置詞+名詞の形。ドイツ語の影響を受けてるのに名詞に男性、女性、中性の区別がないとか、冠詞がないとかは置いてといて、大枠は言語の形になっているように思えます。細部は別途作成するしかなさそう。

 ちなみに、山がなぜ"Krag"なのかは謎。こんな単語あったかな。

2:ドワーフ語: "Barak gör vapen av rok."

英語訳: "We make weapons from ore."
意味:
Barak: 私たち (We)
gör: 作る (make)
vapen: 武器 (weapons)
av: の (from)
rok: 鉱石 (ore)

 動詞を生成した時点では"make"は”farg"でした。この例文では”gör:”になっています。この点は、ドワーフ語には「作る」のいろんな表現があるんだろうと脳内補完してスルー。個人的にはこの例文、トールキンテイストのドワーフが言いそうで好き。それにしても、英語の"rock"(岩石)に近い"rok"が「鉱石」を意味するのはモヤモヤする。鉱石含んでない岩石もあるだろうに、とつい思ってしまう。

3:ドワーフ語: "Hem i terra är stark och säker."

英語訳: "Home in the earth is strong and safe."

意味:
Hem: 家 (Home)
i: の中で (in)
terra: 大地 (earth)
är: です (is)
stark: 強い (strong)
och: そして (and)
säker: 安全な (safe)

  be動詞に相当する語をつくってくれました。"terra"はラテン語そのまんまか。ちなみに"och"はスウェーデン語の「そして」。ただ"Home in the earth"はどういうことだろうか。ググると大地に半分以上埋まった家がでてきた。確かにドワーフの家っぽい。


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