【女帝】尾身茂分科会会長をシカトした小池都政のコロナ対策【暴走】
昨日も書いたばかりだが、やはり小池知事は政府が求めるレベルを超えた対策を都民に求めてきた。都民は、自分が選んだ知事だから言ってみれば自己責任である。それに巻き込まれる周辺県はたまったものではない。迷惑千万である。
ステイホームを巡る国と都の相反したメッセージ
オミクロン株の感染拡大に伴う「まん延防止等重点措置」を巡り、真っ向から矛盾した二つのメッセージがメディアから流れている。一つは、政府の分科会終了後に行われた尾身茂会長の囲み取材を報じている記事である。
尾身会長は「人流抑制ではなく、人数制限が一つのキーワードになる」と述べて、「ステイホームなんて必要ない」と述べている。これはデルタ株以前とは異なった評価だと言える。
一方、東京都の小池百合子知事は「まん延防止等重点措置」の適用で開催した臨時記者会見で、都民に対して外出自粛を呼びかけた。
つまり、東京都は都民に対してステイホームしろと言っている。
これはあまりにも両者の言い分が食い違っていて、都民からすれば意味が分からないだろう。どちらかが間違ったメッセージを発している。もしくは説明が足りないのだ。
オミクロンに白旗を振りつつ基本に立ち返る
政府の基本的対処方針分科会は、都道府県の一挙手一投足を縛っているわけではない。酒類提供など、細かい取り組みは知事が決める。とはいえ、分科会でまとまった基本的なコンセンサスを無視した行き過ぎた私権制限を事業者や住民に強いることは、リーダーシップではなく、ただの暴走ではないか。
19日午前の分科会終了後、尾身茂分科会会長はマスコミの囲み取材を受けている(実質的には会見だが…)。その模様をテレビ東京だけがノーカットで映像に残していた。
全体は30分以上あるので、冒頭の発言のみ書き起こしてみたい。
非常に明快なコメントだと思う。オミクロン株は、これまでの変異株と違って、潜伏期間が短い、世代時間が短い、感染力が強いといった特徴がある。そういう特徴とは別に、これまでの新型コロナウイルスと同じ特徴も残っている。
オミクロン株は急激に感染が広がるから、コントロールが不可能だと思われるかもしれない。一方で、これまでの新型コロナウイルスと同様、〝3密〟を避けることでリスクを低下させることもできる。だから、改めてコロナ対策の基本に立ち返って、基本的な感染防止対策の徹底を行いながら感染拡大のピークをゆるやかにして、下降傾向に持っていこう。尾身会長はそういうことを言いたいのだと思う。
尾身会長は、こんなことも言っている。
尾身会長は慎重に言葉を選んでいましたが、私がそれを荒っぽく整理するとすれば、こういうことだと思う。
感染力が格段に強いオミクロン株は、少々強い私権制限を行ったところで個々の感染は避けられない。だから、社会全体で医療資源のひっ迫を避けるためにも、一人ひとりがリスクの高い行動や環境を避けて、経済を回しながらできる限り感染者数を減らしていこう。
私は専門家じゃないから、これで正しいかどうか分からないけれど、翻訳するとこんな捉え方で間違っていないと思う。
これはつまり、オミクロン株の感染力の強さに白旗を上げつつも、改めて新型コロナウイルスの基本的な感染防止対策に立ち返って、一人ひとりがリスクを低減させていこうということだ。多大なる犠牲を払って、ウイルスを封じ込めようという従来の方針からは転換している。
尾身会長をシカトして私権制限を強化
では、東京都は尾身会長のコメントを聞いた上で、午後に方針を発表している。言ってみれば、わざと尾身会長をシカトしたのだ。
いきなり都民に対して、外出自粛と都道府県間の移動自粛を求めている。要するに、ステイホームしろと言っている。都庁の官僚がどういう経過でこの方針をまとめたのか分からないが、非常に不可解である。これでは都民はどっちを信用したらいいのか分からない。とりあえず、地元自治体の首長の言うことを聞いたとして、政府の分科会会長がしなくてもいいと言っているステイホームをしている気持ちはいかがなものなのだろうか。
尾身会長は、「メリハリのある効果的な対策を行え」と言っていた。事業者向けの要請を見て、これにメリハリを感じただろうか。私には相変わらず1年前と同様、同じことをルーティンで繰り返しているようにしか見えない。せいぜい、事業者に選択肢を与えたことくらいに変化があるが、そういうあいまいさは、〝自粛警察〟に対して石を投げる余白を与えているようなものではないか。
尾身会長は、店を閉めるという対策はしなくていいから、お客さん一人ひとりがリスクが高まる行動を避けようと言っている。だから、「4人以内」という制限には矛盾はない。だが、時間短縮には根拠がない。昼間であろうが、真夜中であろうが、感染リスクの高い行動を取れば感染するし、深夜にバーのカウンターで一人で静かにグラスを傾けても、感染などしない。一律に店を閉めないで、メリハリのある対策を取ろう。そういう趣旨は、尾身会長のコメントで十分伝わっているはずだ。
小池知事はおそらく、わざと尾身会長をシカトしたのである。また悪い癖が出たのだ。
国がしっかりしないから、私のおかげでオミクロンを収束させた。後でそう誇りたい。それには、国が示した方針より厳しい取り組みを都民や事業者に示さなければならない。科学的な知見より、パフォーマンスや見てくれを優先したのだ。
何度も言わせてもらうが、都民はそれでいい。自分たちが勝手に選んだ知事である。困ったのは、東京都がやれば必然的に周辺県も追随せざるを得ないということだ。
困ったことに、周辺3県のおじさん知事は、緑のたぬきに頭が上がらない。弱みでも握られているのだろうか。首都圏が厳しい私権制限に踏み込めば、全国の大都市も引きずられることになる。尾身会長が何のためにああいうメッセージを発したのか、意味がなくなってしまう。3人のおじさんには、しっかりしていただきたいものだ。
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