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年間6.8万人の衝撃 〜「孤独死」の参考値が初めて明らかに〜【2024.5.13.衆決算委質疑録】

○長妻分科員 立憲民主党の長妻昭でございます。よろしくお願いをいたします。
まず、今、配付資料をお配りしておりますけれども、この一ページ目は警察庁からいただいた資料でございます。これについて、警察庁の方から資料の説明をお願いします。

警察取扱死体のうち自宅で死亡した一人暮らしの者(配布資料1ページ )

○親家政府参考人 今御指摘ありました資料につきましては、警察庁から委員に提出したものでございます。令和六年一月から三月までの間に警察が取り扱った死体のうち、自宅において死亡した独り暮らしの方の数を年齢階層別にお示ししたものでございます。
その内容について簡単に申し上げますと、令和六年一月から三月までの間に警察が取り扱った死体は、暫定値になりますけれども、六万四百六十六体でありまして、そのうち、自宅において死亡した独り暮らしの方は二万一千七百十六体となっておるところでございます。
○長妻分科員 六十五歳以上の方というのは何人でございますか。
○親家政府参考人 お答えいたします。
先ほど申し上げました自宅において死亡した独り暮らしの方二万一千七百十六体について、年齢別に見ますと、六十五歳以上は一万七千三十四体となっております。
○長妻分科員 これは三か月分ということだと思うんですけれども、仮に一年というふうに推計をすると何人に、六十五歳以上で自宅において死亡した独り暮らしの方、警察取扱死体というふうになりますか。
○親家政府参考人 お答えいたします。
警察が取り扱う月ごとの死体の数につきまして
は、季節によって変動が見られるところでありますけれども、先ほどお答えした一月から三月までの三か月間の暫定値を年間分ということで単純に四倍いたしますと、約六万八千体となるところでございます。
○長妻分科員 この資料は、どういうところに役立てようとして調査されたのでございましょうか。
○親家政府参考人 お答えいたします。
警察庁といたしましては、こういった数値については、様々な政府内での検討の場あるいは議論の場等で役立てていただければいいなということで集計したところでございます。
○長妻分科員 特に様々な検討の部門というのは、具体的にどのワーキンググループですか。
○親家政府参考人 お答えいたします。
内閣府の「孤独死・孤立死」の実態把握に関するワーキンググループなどが挙げられるというふうに認識しております。
○長妻分科員 これは「警察取扱死体のうち」というふうに書いてあるんですが、この警察取扱死体というのはどういうものなのか。つまり、多分、警察取扱死体と警察が取り扱わない死体と二つに分けるとしたら、どのような違いがあるんでしょうか。
○親家政府参考人 お答えいたします。
警察が取り扱うのは、不自然な死を遂げたおそれのある死体でございます。具体的には、例えば、御家族や救急隊等からの通報を受け認知した死体や、医師から異状死の届出がなされた死体等について、その死が犯罪に起因するかどうかなどを判断するため、医師と連携し、死体の状況を確認するなどしているところでございます。
他方で、例えば、病院でお亡くなりになり、医師から異状死の届出がなされないような死体につきましては、警察が取り扱うこととはならないものと承知しております。
○長妻分科員 この六十五歳以上に注目したいんですが、六十五歳以上の方々の警察取扱死体のうち自宅において死亡した独り暮らしの方というのが年間推計六万八千人ということでございますが、この中に自殺も含まれますか。
○親家政府参考人 お答えいたします。
お示しした数には自殺の方も含まれております。
○長妻分科員 そして次に、今日は内閣府から滝澤さんも来られておられて、滝澤さんは孤独・孤立対策推進室室長代理ということでございまして、この中に、先ほど答弁いただいた「孤独死・孤立死」の実態把握に関するワーキンググループというのが設置されたわけですね。
そもそも、なぜ設置されたのかといいますと、私の方で、配付資料の八ページ(*下記参照)にございますが、ちょうど二年前の五月に予算委員会で岸田首相に、日本は孤独・孤立担当大臣がいるのに、孤独死の数もさっぱり分かりません、こんなことじゃ駄目なんじゃないの、お隣の韓国では法律ができて、毎年毎年孤独死の人数を公表して対策を講じているのに、全てのデータのベースにあるものが私は孤立死の総数の調査だと思っているんですが、それを岸田首相に強く申し上げたところ、岸田首相が、それを明らかにしていきたい、進めていきたいという御答弁を受けてワーキンググループをつくっていただいて、そこで議論をしているわけでございます。
その中で、ワーキンググループには警察もオブザーバーで出ているので、資する資料ということで今の資料が出てきたというふうに承知をしておりますが、もう一回警察にお伺いしますが、この資料というのは初めて出てきたわけですか、この委員会で。

孤独死数の調査を迫る 2022.5.予算委(配布資料8ページ)

○親家政府参考人 お答えいたします。
今回お示ししたような数につきましては、これまで警察庁で集計はしておらず、今回初めて集計したところでございます。
○長妻分科員 発表はここの場で、ここが初めてですか、今が。
○親家政府参考人 お答えいたします。
特に広報等をしておりませんので、この場で御説明させていただいたのが初めてだと考えております。
○長妻分科員 今年一月から初めてこういう調査を警察がしていただいたというのは、これはありがたいことだというふうに思います。
そこで、これは年内も、今後も続けていただくと聞いておりますので、そうですよね。
○親家政府参考人 お答えいたします。
引き続き、この数字は集計していきたいというふうに考えております。
○長妻分科員 内閣府にお伺いしますけれども、この今警察から説明があった数字というのは、これは孤独死、孤立死の総数を出す意味で参考にな
る数字というふうに考えてよろしいんですか。
○滝澤政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の警察庁の調査は、警察が取り扱った死体のうち自宅において死亡した独り暮らしの者を把握するものでありまして、孤独死としてのデータの把握を意図したものではないと承知しておりますが、「孤独死・孤立死」の実態把握に関するワーキンググループにおいて検討を進めている孤立死の実態把握に当たりまして、参考になり得るものと考えております。
○長妻分科員 この集計は、具体的には内閣府の方から依頼したわけですか。「孤独死・孤立死」の実態把握に関するワーキンググループが依頼した、こういう位置づけでよろしいんですか。
○親家政府参考人 お答えいたします。
先ほどお答えした数値については、警察庁の方で集約はしていなかったわけでありますけれども、内閣府のワーキンググループなどにおいて、孤独死、孤立死といったことで実態把握をどうするかといった議論が行われている中で、警察庁としても、現場の負担を考えながら、集約できる数値はないだろうかということで考えて集約したところでございます。
○長妻分科員 非常に一歩前進だと思います。感謝申し上げるところでありますけれども、これは恐らく、ここの数字からいろいろちょっと調整は必要になるんじゃないかと思うんですね。
つまり、若い方の中には、例えば、独り暮らしで普通に会社に勤めておられる方が、例えば連休の初め頃に御自宅で急に脳梗塞とか脳卒中とかそういう形で突然お亡くなりになられた、こういうものもこの中に恐らく含まれると思うんですね。ですから、そういうものを除外したり、いろいろなことが想定されると思いますけれども。
そうすると、六十五歳以上であると、お仕事も就いておられる方ももちろんおられますけれども、そうでない方もおられるということで、そこの推計が一万七千三十四人、年間では六万八千人ということなんですが、今後、孤独、孤立死の総計を出すときに、ここで言われている数字というのが、これが最大限の数字になるという理解でよろしいんですか。
○滝澤政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の警察庁の調査は、警察での取扱い、自宅での死亡、独り暮らしといった一定の条件の下での数値であり、先ほども申し上げましたとおり、必ずしも孤立死としてのデータの把握を意図したものではないと承知しております。例えば、かかりつけ医にかかっていた方が御自宅で亡くなられた場合は、警察での取扱いがないため、今回の集計の対象外とされているものと承知しております。
ワーキンググループにおいては、孤立死の概念的定義としまして、当面、誰にもみとられることなく死亡し、かつ、その遺体が一定期間の経過後に発見されるような死亡の態様と仮置きした段階です。
こうした中で、御指摘の警察庁のデータが孤立死の最大値かとの御質問については、今後精査する必要があると考えてございます。
○長妻分科員 定義が今仮置きということなんですね。ですから、御夫婦がお二人でも孤立死になり得るという今の仮置きの定義だと思うんですが、ワーキンググループの中でも議論が相当あるわけで、やはり、そこまで広げると非常に焦点がぼやけるという議論もあります。
そういう意味では、例えば独り暮らしに限定をすると、では、例えば六十五歳以上に限ると、年間六万八千人という数字が出ましたけれども、これが上限なのかどうか。ただ、今のお話だと、かかりつけ医にかかっておられる場合は警察の取扱死体ではないから、そういう意味では、これは定義いかんによりますが、独り暮らしに限定したとしても、この年間六万八千人という人数が増えることもあるし減ることもある、両方に振れる可能性があると考えてよろしいんですか。
○滝澤政府参考人 お答え申し上げます。
ただいまワーキンググループにおきましては、孤独死の概念的定義として、先ほど申し上げたような定義を仮置きした段階でございますけれども、まだまだ議論が途中でございます。そのような基準がない中で、増える、減るということにつきましては、なかなか言い難いものだというふうに考えてございます。
○長妻分科員 先ほど一つの参考値になるとおっしゃいましたから、精査を続けていただきたいんですが、三ページ目(*下記)でございますけれども、これは、もう皆さんよく御存じのニッセイ基礎研が、シンクタンクが出した推計値、全国の孤立死者推計。年間二万六千八百二十一人ということで、私、これを見たときもびっくりしました。年間の自殺
者よりもはるかに多いわけでございます。
今回も、六十五歳以上でいうと、警察庁のデータでありますが、六万八千人ということで、非常にこれも大きな数字でありまして、早く、このワーキンググループ、二年前に私が依頼をして、ワーキンググループはまだ四回しか開かれていないということでございますが、これは、もう今年中には孤立、孤独死の死者数、死者総数、これを把握する、そして発表するということでよろしいんですか。

孤立死推計 ニッセイ基礎研
(配布資料3ページ)

○滝澤政府参考人 お答え申し上げます。
孤立死に関しましては、有識者及び関係省庁から構成されます先ほど来のワーキンググループを設置しまして、実態把握のために必要な用語の定義や把握方法等について、様々な研究事例や死亡に関する統計データ等を参考にして検討を行っておりまして、本年一月には中間論点整理が公表されているところでございます。
この中間論点整理におきましては、孤立死の概念的定義として、当面、誰にもみとられることなく死亡し、かつ、その遺体が一定期間の経過後に発見されるような死亡の態様と仮置きした上で、統計を作成する上でどのような定義を置けば孤立死の実態を把握可能であるのかの議論を先行すること、今後の検討の方向性として、既存のデータや新たなデータの利活用、統計の整備等に向けた検討、推計の精緻化に向けた検討を行うこととされております。
このワーキンググループにつきましては本年度も継続して設置することとしており、内閣府としましては、ワーキンググループの議論がまとまりました段階で、速やかに実態把握に着手したいと考えております。
○長妻分科員 遅くとも年内には総数を出していただけるんですね、これ、お約束いただければ。
何らかの、まあ、こういうことはないと思いますけれども、いろいろな話が漏れ聞こえてきますけれども、これは別に、純粋に政策としてやっていただきたいと思うわけで、年内、これをめどということでよろしいですね。
○滝澤政府参考人 お答え申し上げます。
内閣府としては、ワーキンググループの議論がまとまり次第、速やかに実態把握に着手したいと考えております。
一方で、このワーキンググループの議論がまとまる時期については、例えば、これまで明確な定義すらなかった中、実態把握の手法の具体化に向けた議論にどの程度時間がかかるか等によるため、現時点において、取りまとめの具体的な時期を申し上げることは困難でございます。
したがいまして、お尋ねの人数がいつ頃分かるのかにつきましても、現時点で申し上げることは困難であることを御理解賜ればと存じております。
○長妻分科員 ちょっと理解できないですね。もう機は熟していると思いますし、来年はちょうど昭和百年、昭和に換算するとですね、七十五歳以上の方々、団塊の世代の方が全て入るというようなことで、基礎的な資料となる重要なデータですので、是非お願いをします。
武見大臣、これまでのやり取りを聞いていただいたわけでございますが、厚労省は引きこもり対策も取り組んでおられるわけで、介護ももちろん厚労省の所管ですけれども、この引きこもりと孤独死との関係性というのは、大臣はどういうふうに認識しておられますか。
○武見国務大臣 引きこもりについて、おおよそ百四十六万人ほど、これは推測で、数がございます。こうした引きこもりの数というものの大きさに鑑みまして、しかも現実に高齢者の単独世帯がどんどん今増え始めてきている中で、先生御指摘のような孤独死という確率は、確実にこれから社会的に高まるわけであります。
したがって、こうした問題に対しては真正面からきちんと取り組んでいくことが厚生労働省としても重要な課題であって、現実に、地域包括ケアあるいは在宅介護、こうしたことを通じて、我々、ある程度の対応はしてきているわけでありますが、今後さらに、こうした問題意識を持ってきちんと取り組んでいくべき課題だと私は思います。
○長妻分科員 武見大臣、NHKのラジオのひきこもりラジオとか、あるいは映画、「PLAN7575」という映画、これは御覧になったことはありますか。
○武見国務大臣 先生からの御質問の資料を見させていただいて、それで初めて知りました。
○長妻分科員 今、本当に世の中、大変な状況でございまして、武見大臣も若干、今、一端を御答弁いただきましたけれども、非常に孤立、孤独問題、これは非常に広がりが広うございまして、その方々だけに着目するんじゃなくて、むしろ、社
会がそういうことを生み出しているという観点から、社会を改善するということに取り組んでいただきたいんですが。
もう一つ、この孤独死の問題で気になりますのは、私もいろいろな方のお話をお伺いしましたけれども、やはりセルフネグレクト、こういうケースが非常に多いんですね。ほとんどとは言いませんけれども、自己放任とも言われておりますが。私は、いろいろな方のお話を聞いていると、消極的自殺ということもあり得るのではないのかと。
自分は体がかなり悪いようだけれども、お金もないので、あえて医者に行かない、それで死ぬのなら仕方がないとか、あるいは、なかなか食費もままならないので、食事をなかなか取らずにそのままお亡くなりになるとか、そういう非常に深刻な、消極的自殺というようなことも私は感じるのでございますが、武見大臣はいかがですか。
○武見国務大臣 独居高齢者の中で、孤立をして、そしてそれが一つの自殺の背景要因になってくるということについては、これは想定されますので、十分に、そうした事態にならないように、そして孤立化させないように、社会的にいかにその支援をするかということは極めて重要な課題である、こう思います。
○長妻分科員 是非、広がりがありますので、よろしくお願いをします、実態把握ですね。(このテーマ了)

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