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初個展を終えて


2023/8/8(火)〜13(日) 恵比寿にある弘重ギャラリーにて初個展「RAISON D'ETRE」を開催した。

開催のきっかけは漠然と抱いている死への恐怖心だと思う。

中学生の頃、おばちゃんを亡くした時からか、死を身近に感じるようになった。

それまでは何となく毎日笑って生きていて、当たり前の日常が続くと思っていたけど、実際そんなことは無かった。

別に大病を患い余命を宣告されている訳では無いし、まだまだ元気に生きていきたいが、テレビで通り魔や交通事故のニュースを見ると次は自分かもしれないなぁーなんて考えてしまう。

明日死んでしまうかもしれないし、死んだら今まで大好きで撮りためた写真も大切な人に伝えたかった想いも届けられず全て無かったことになるかもしれない。

そんな人生が嫌で、自分のやりたいことは可能な限り最短でやろうと思って生きている。
今回の個展もその1つだ。

ここまで読んでいただくと、自分の人生を自由に生きてやるぜ!みたいな性格をした人だと思われるかもしれないが全くそんなことは無い。
現実は見ているつもりで、後悔しないように夢を追いかけたは良いが全然死ななかった時、それもそれで後悔することは理解している。

だから、残業は多いが安定的に収入を得られる会社員生活がやめられずにもいる。

余談はさておき、本業でバタバタしていたので個展に使う備品や資料は全て平日仕事終わりから夜中の2~3時までやって、終わらなければ土日にもやって。。
そんな生活を続けていると体力的にも精神的にも疲弊してしまっていた。
100万円以上かけて開催した個展に誰も来てくれなかったらどうしよう。毎日毎日不安でいっぱいだった。

ギャラリーは人通りが多い場所でもなく、地獄のような坂を登った場所にある僕を知っている人だけが来るような場所。

夏のクソ暑い時期にこのギャラリーを選んで申し訳ない気持ちもあったが、どうしてもこのギャラリーが良かった。

このギャラリーは私が尊敬する写真家 岡田裕介さんが個展を開催した場所。
どうしても憧れの舞台に立ちたかった。

また、会場はB1Fにあるため、階段を下っていく時間で地上から海に潜っていくような印象を与えられるのではないか。なんてことも考えながら人は来ないかもしれないけれど、ここを選んだ。

そして不安を抱えたまま8月8日を迎え、遂に初個展がスタートした。

結論から言うと初個展は大成功だった。
6日間で500人以上の方に足を運んでいただき、平日でもほぼ人が途切れることなく、毎日大好きなイルカとクジラの話を来てくれた方へお話した(2日目から枯れた声で喋ってすみません)

初日から東北や関西、九州など全国様々な地域から足を運んでくれた方がいたり、
フランスから足を運んでくれた方がいたり、
写真を見て涙を流してくれた方がいたり、
中には1人で来た翌日に”どうしても友達に見せたくて”と言いながら、連日足を運んでくれた方がいたり。。
1枚5~10万円程度する作品を何人もの方が購入してくれたり。。

今まであまり実感できていなかったが、多くの人に支えられて生きていることに気づくことができた個展だった。

ご来場いただいた皆様には心より感謝申し上げたい。


今回の写真展のタイトル「RAISON D'ETRE」は自分自信が求める「存在意義」や「生きがい」という意味で、このタイトルの決め手となったのが次の1枚である。

メインビジュアルとなった親子のイルカ。

通常親イルカは子供を人間側に寄せないように泳ぐが、私が脱力していたからか、気持ちよさそうに眠る子を近くで見せてくれた。

子イルカの尾びれは常に親に触れていて安心している様子であった。
そんな子供とは違い、親イルカは緊張感のある鋭い目付きで私を見つめていた。
私がもし何かしたとしても、守れるように常に警戒しているのだろう。
この表情から子への愛が感じられた。
更にこの写真はトップ光~逆光の条件で撮影している。通常であれば表情は暗く写るが、この時は水中にマイクロバブルのような小さな白泡が漂っていた。
その泡に光が当たって拡散し、レフ板のような機能を果たしたことで表情を明るく写しきれた。

素敵な親子との出会いだけでなく、海のコンディションにも恵まれて撮影できた1枚。
”この瞬間を撮るために生きていたんだ!”と
思えるほど幸せな撮影だったので、この写真がタイトルとメインビジュアルになった。

最後に
大好きな海の生き物の最高の瞬間を撮影している時間が楽しくて幸せで、もっと色んな世界を知りたい。
水族館フォトも水族館と野生の両方を知る私だからこそ撮れる写真があると思うので、これからも自分の”好きな瞬間”を表現し続ける。

私の撮った写真が あなたの明日を生きる元気になることを願って。


                                   photographer あき

photo by Laviyさん

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