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GDPに関連して、考えたこと

今週、気になったネットニュースは、国内メジャーな新聞・TV関係等が一斉に発信していた、「日本の名目GDP世界ランクが、ドイツに抜かれて4位に転落することが、ほぼ確実で、」という主旨のもの。

 GDP( Gross Domestic Product:国内総生産)は、「国内で生産されたモノやサービスの付加価値を示す総生産額」のこと。
 ただし、GDPには、「名目GDP」と「実質GDP]がある。実質GDPは、物価変動率を差し引いた額になっているので、経済の実態を表すなら「名目GDP」、経済力を表すなら「実質GDP」。

 GDPの計算式は、①民需+②公的需要+③貿易収支
    ①民需  :日本人の消費金額+国内企業の投資額の合計
    ②公的需要:政府最終消費支出+公的固定資本形成
       
政府最終消費支出:政府の一般的な活動や社会保障など
       公的固定資本形成:公共事業
    ③貿易収支:輸出額-輸入額

 
 つまり、人が多い国ほど、GDP額は大きくなる。だから、人口の多いアメリカや中国が1、2トップ。日本は、これまで3位だったけど、ドイツに抜かれ、ネットニュースになったわけだ。
 もっとも人口ランキングでは、世界No.1はインド。2023年度に中国を抜いて一位になった。インドの名目GDPランキングは5位で、日本やドイツが頑張ったのか、それとも、インドが国内消費以上に人口が激増したのか。
中国の台頭を考えると、たぶん、インドのGDPランキングは、早晩、日本やドイツを抜いていくんだろうな。
 インドだけでなく、インドネシア、ナイジェリアやブラジルなんかも、人口は日本の倍くらい。これらの国々も、人口は爆発的に増えているけど、社会経済基盤が整ってないので、国内消費は伸び悩んでいる。けど、それも5年、10年単位で、ある程度解決するので、日本やドイツ等々の先進国の名目GDPランキングは下がる一方。
 でも、人口規模と相関性の高いGDPってヤツ、何者なんだろう。
 どうせ報じるなら、物価変動率を差し引いた実質GDPにも触れるべきだろうし、人口ランキングとの関係も示した方がいい。
 なんて思ってたら、どこかのネットニュースでは、人口の影響を排除した「一人当たり」のGDPについても触れていた。なるほど、そうだよな。

実態を特徴付ける「インデックス」は、実態じゃない

 個々人の学力を知るにはどうすれば良いのか。
 どうすりゃいいのか、分からないので、一定基準でお試しする。それが学力テスト。
 確かに、学力テストは、集団としての一定の傾向値を得られる。けれど、個々人の学力を知るには、もう少し慎重な分析が必要だ。ホントは。
 テストに弱い人も、強い人もいる。誰もが知っていること。だけど、世の中、テストの結果が大事になってしまっている。残念なことに。

 GDPも、学力テスト結果と同じようなもの。一定の計算式に合う情報を集めた結果で、ホントにその国の経済力を表しているのかどうか。
 そもそも、世界には、いろんな国や人々がいる。日本人みたいに几帳面に統計情報がつくられているんだろうか。いや、そもそも日本だって、統計情報を信じていいのかどうか。 「仕方ない」と使ってるに過ぎないのでは?

 それでも、官僚や政治家が「日本の経済力を強くする政策」を考える時とか、大企業が「どこの国に投資したらいいか」なんて考えるには、GDPは、効果的なインデックスの1つであることは間違いない。ただし、あくまでインデックス(指標)で、「実態経済」についての考察が不可欠。

新聞やTVに期待すること

 あれこれ考えてみると、3位から「4位に転落」したことがニュースじゃなくて、人口減少だとか、急成長する国があるとか、その背景等々に言及する方が、価値がありそうだけど・・・。
 でも、プレスリリースされた情報の裏取りをして、正しい情報を、正確で、迅速に発信することが新聞・TVの役割で、プレスリリースを巡る背景とか、影響、変化の行方等々を調査・分析するのは、学者やアナリストたちの役割なのかな。

 昔は、役人や政治家、企業等々が、プレス発表なんかを行っていて、この情報を得た新聞やTV等が、裏取りした上で取捨選択しながら、正確、迅速、詳細に情報を発信していた。
 今も、この側面が色濃く残っているものの、新聞やTV等だけでなく、いろんなニュース媒体がある。 プレス発表したい人たちは、新聞やTV等に情報発信すると共に、いろんなニュース媒体に直接プレスレターを送る。その上、自らも、SNSで情報発信する。

 あれもこれも情報を発信する時代になれば、単に正確・迅速・詳細というだけでは差別化できないので、メディアの特性が必要になってくるかもしれない。
 関連情報を含めた包括性や社会的な考察等々の学者やアナリスト等がやっていることも、その特色のひとつになってくるかも。
 正確性や迅速性は、今後ますますデジタル化していくだろうし、そんな情報が増えてくれば、関連する情報を集めて簡易的に分析・取りまとめするくらいは、AIで出来るのかも知れない。
 残されたものは、人による分析や考察で、それは、取材している人達であったり、学者やアナリストたちであろう、と期待したい。

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