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「仕事の辞め方」を読んで考えたこと

 3月は、別れや、新たな旅立ちの季節。忙しさの中にも寂しさが入り混じる。 今回は、今月で放送作家業を引退する鈴木おさむ著「仕事の辞め方」(発行所:幻冬舎)の話。

 少し前にYouTubeで、偶然、著者の「仕事の辞め方」のPR的な動画を見て、本書に興味を持ってしまった。 この時はじめて、著者が「SMAP×SMAP」とか、評判の放送作家だと知った。

上手くいってる時こそ

 失敗したり、躓いている時に辞めると、心に傷が残る。
 そんな辞め方は、次の人生に響く。

 起業前に何度も転職したけど、辞める時は「この仕事なら一生続けられる。けど、この仕事以上にやりたい事がある」 そう思えるまで頑張った。

 著者の辞め方が、気になった。

 著者は、たぶん、有名なTV番組の放送作家さんだから、それなりに稼いでいるし、仕事もたくさんあるんだろう。求められる人材。

 そんな人が、突然のように「引退宣言」するのは、なぜなんだろう。
 ・・・不祥事を起こした風でもないし。

 やりたかった仕事に就いた時は、何もかもが新鮮で、ワクワク・ドキドキ。何をやっても、面白くて夢中になれた。
 そうやって20年、30年。仕事のスキルはだいたい身に付く。
 たいがいの事は出来るようになり、いつだってお顧客を満足させることが出来るようになる。 けど、いつの間にか、ワクワク・ドキドキが無くなっている。 そんな風に著者が語っている。
 たしかに。 ・・・何でも出来ちゃうけど、面白くない時ってある。

 著者が引退を考え始めた頃の奥さん(大島美幸)さんの言葉が沁みた。
 「お金に執着するとそういう人生になるんだよな

 「そういう人生」がどういう人生なのか、わからないけど、お金に執着してる、って言われたくない。けど、家族のため、ローン返済のためとか、稼がなきゃならないこともある。
 お金は大事。だけど、お金だけじゃない。
 いや、お金が無ければ何も始まらない。
 自分のため、家族のため、誰かのため。
 ・・・終わりのない、堂々巡り。 難しいな人生は。

 本書を読んで、奥さん(大島美幸)の言葉が一番、沁みた。

老兵は去りゆくのみ

 「老害」と言われたくない、とは誰しも思うこと。
 でも、年を重ねても、現場に居れば、誰だって老害になる。間違いなく。

 本書で面白かったのは、「ソフト老害」

 何もかも卒なくこなせる40代は、ややもすると「ソフト老害」になるから気を付けろ、って言っている。 そうか。
 気付かなかったな、あの頃。やっぱり、一杯いっぱいだったんだ。
 一生懸命だったのは間違いない。

 そこで得た何かを、誰かに継承すべきかどうか。
 技術は伝承されるもの? それとも、新たに創り出される方がイイのか。
継承しつつも、改善改良を重ねて、新しい時代をつくる。それがスマートだけど、簡単じゃぁない。
 だから、年寄は、ついつい、余計なことを言ってしまう・・・ソフト老害

 イイ仕事が出来るうちに、惜しまれつつ引退。 これこそ花道。

 著者の第二の人生が、上手くいきますように。

(敬称略)

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