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1. 始まりは秋@二十数年前

 本格的に秋と言う季節を感じ始めた早朝、湾岸道路で車を走らせ、千葉方面に向かいました。幕張の高層ビルが朝日の中に、鮮やかに光りだす様子を右手に見ながら、高速道路のインターチェンジを抜けていくと、もやの漂う田園地帯に入り、前後に車がほとんど見えない中で、巡航運転を維持していました。
 千葉方面に向かっている目的は、週の初めに、我妻が、長男の出産を無事終えた状況であるものの、産後の調子が思わしくなく、悪露の吸引処置が行われることとなり、気の休めかも知れませんが、そばに寄り添うためでした。
 産婦人科病院では、吸引処置も無事終了して後、ベッドで休む妻とその横ですやすやと眠る第一子と、不安を抱えながらも初めての対面となりました。なぜかと申しますと、今回の出産では、吸引分娩の処置が行われたと聞いたからです。母子伴に健康という連絡は、受けていたものの、
親としても最初のお産経験であり、知識の無い中で、吸引分娩と言う、全く初めての用語を聞いたことから、分からない不安を抱えていました。

 ネットで調べた結果ですが、分娩を助ける一つの選択肢であり、赤ちゃんがなかなか出てきてくれない場合に、シリコンもしくは金属製のカップを用い、赤ちゃんの頭に、これを付けて、吸引圧をかけて体全体を引き出す方法です。リスクとしては、赤ちゃんの頭に圧力がかかることで、頭に大きなふくらみができて、頭の形が変わったり頭に血が溜まって血腫ができたりする場合があると書かれていました。一方、これらの異常は、その後自然に消えるので心配無いとされていますが、まれに頭蓋骨の中で出血することもあり、その場合に障害や後遺症が出る可能性が、ゼロではないとされています。

この吸引分娩が、我が子の抱える問題、我が家が一生お付き合いする課題を考える際に、幾度と無く立ち返るポイントとなりました。

我が子との初対面の感想は、只々、小さな生命、私たち夫婦のDNAを引き継いだ尊い命が、そこに存在しているということでした。

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