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「道しるべ」は人生の道しるべ

「道しるべ」は、スウェーデン出身の第二代 国連事務総長 ダグ・ハマーショルドが書き綴った心の日記です。ハマーショルドは1961年にコンゴでの和平ミッション遂行中、搭乗機が墜落して事故死するまで国連事務総長を務め、後にノーベル平和賞を受賞しています。ライフネット生命創業者で、立命館アジア太平洋大学学長でもある出口治明さんも紹介されています

国連事務総長という表舞台の陰で、彼は孤独に包まれながら、この日記の中で自分の見つめ、悩み、苦しみ、そして、自身と対話をしています。この本は、私たちに、彼の高貴な精神にふれさせてくれるだけでなく、彼が私たちと同じように、日々、自信を無くし、他人に嫉妬し、うなだれる様子も垣間見せてくれます。

私はこの先、毎年、必ずこの本を開き、自分の人生の「道しるべ」として何度も読み返すことになると思います。文語調の翻訳も素晴らしく、読書のすばらしさを再認識させてくれる一冊です。

なぜ、そうでなければならないのか。おまえは、おまえのなりうる者になっているか、それとも、ほかの人たちと同様に、おまえのなりうる者になっていないか、いずれかなのだ

われわれはいつでも人生に背を向けることができる。ところが、人生がわれわれの願望を叶えてくれないと、われわれは子どものように不平をこぼすのである。

讃辞を得たい、あるいは、裁きたい、と思うときには、あの鏡に映ったおまえの姿を見るがよい。絶望に陥らずにそうするがよい。

朝の爽やかな光が消えて真昼の倦怠がたちこめるとき、張りつめた脚の筋肉がぴりぴり痙攣するとき、道が果てしなく感じられ、しかも突然、なにもかもが期待どおりに運ばなくなるとき、そのようなときこそ、おまえは立ち止まってはならないのである。

不安、不安、不安。なぜならば、創造する可能性を、したがってそうする義務を有する立場にありながら、おまえはその日その日、一瞬一瞬の要求に応ずるだけで甘んじているからである。

夜も更けて、
眠れぬままに、問い、また問う。
私は正しくふるまったのか?
なぜ、まさしくあの仕方で
私はふるまったのか?
同じ歩みを踏み直し、
同じことばを口にしてみるのだが
いっかな、答えはこない。


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