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アジャイル初心者が、アジャイルの本をいろいろ読んでみたはなし。(ブックリスト)

なんでアジャイルの本を読もうと思ったのか

ひさしぶりの新しいブックリストです。ただし、今回は自分の専門分野じゃないので一部を除き本の内容についてわかったような解説はしません(できません)。おすすめというよりも自分が読んだ本、これから読もうと思ってる本を並べていきます。本の詳しい内容や解説はご専門の方が書評を書いていらっしゃると思うので、そちらを参考にしてください。
IT分野のデザイナーは、すでにアジャイル開発の仕組みの中で仕事をしている方も多いと思うので、もう知ってる、それ常識です、と言う方には必要ないリストだと思います(マジで)。

そんな言い訳をしながら、なんでアジャイルの本のリストを作ろうと思ったのか、そもそも現場のデザイナーでもないのになんでアジャイルの本を読もうと思ったのか、きっかけはDesignship Do 第一期(2021)の計画時点まで遡ります。 僕は、全体監修という立場で運営のメンバーと一緒にプログラムを考え、各コース監修や講師のみなさんと打ち合わせをしていったのですが、僕以外の運営メンバーはほぼ全員がIT分野で仕事をしている若手デザイナーで、すでにアジャイル・ネイティブなひとたちでした。いっしょに教育プログラムを作るプロセスのあちこちでその「アジャイルな」考え方ややり方が顔を出します。はじめのころは、なんでこんなやり方をするんだろう?と戸惑いを感じることがありましたが、最近はだいぶ慣れてきました(まだたまに自分の中の旧いOSが起動してしまい、鋭意アップデート中)

そんなわけで、デジタルプロダクトの現場にはいないけれども、開発の経験もないけれども、せめて本ぐらい読んでアジャイルを理解しようと思い立ち、お勧めの本はなんですかとひとに聞きながら関連書籍を読みました。 読んでみると「チーム」の意味もよくわかり、「仮説-検証」が本当に示すところも理解でき、 以前、印象で書いたnoteの示すところも納得感が得られました。まだ学びは続いていますが読みきれていない本も含めて、今回のリストにまとめてみました。

と、 このノートを書いている途中に知人のデザイナーが書いた以下のnoteが出ました。もうこれでいいんじゃないかと思うほどの内容なので、 スクラム開発の現場の実践知を知りたい方はこちらをどうぞ。

ブックリストに付き合ってあげてもいいぞと言う方は以下順にいきます。

アジャイル開発、スクラム

まず、おすすめの本はなに?と聞いて初めに読んだ本です。ソフトウェア開発の前提を共有できていなくリアルに現場の状況を想像できないこともあり、理解するのに苦労しました。それでもかつてソフトウェア開発部門で主流だったいわゆるウォーターフォール型の開発との違いは歴然で、ずいぶんちがうということは強く印象に残りました。(インハウスデザイナーだったころにソフトウエア部門と協業したことがあります)

その後に読んだ「スクラム」の本です。上記の1冊目で、 アジャイルの基本的な考え方を知り、特有の用語にも少し慣れていたので、理解しやすかったです。

ビジネスの文脈でアジャイルを語っている本。著者は、企業に対して経営手法としての「アジャイル」の導入(アジャイル・トランスフォーメーション)を支援するコンサルタント。

いろいろ調べていくうちに、アジャイルの源流をたどると経営学の「竹内・野中論文」にたどり着くというのを知って「え、そこなのか?」と驚いて慌てて手に入れて読みました。
竹内先生・野中先生の論文が「スクラム」の源流と知って改めて本を読むと、MBAの講義や講演で何度も話を聞いていたけれど実感が持ててなかった「SECIモデル」が、あーこういうことなのかとやっと腑に落ちたり(遅い)。

上記の本で言及、解説されている竹内・野中論文のオリジナルです。(DeepLのお世話になりつつ読みました)
The New New Product Development Game by Hirotaka Takeuchi and Ikujiro Nonaka (1986)

プロダクトマネジメント

Designship Doで講師をお願いしている曽根原さんの講義を(運営として)お聞きして、プロダクトマネジメントの本も読みました。

組織とアジャイル

「正しいものを正しくつくる」の著者の本をもう一冊読みました。DX、組織変革とアジャイル
「デジタルトランスフォーメーションジャーニー」の4つの段階、業務のデジタル化→スキルのトランスフォーメーション→ビジネスのトランスフォーメーション→組織のトランスフォーメーション。
そのすべてのプロセスにおいて「アジャイル」の考え方が通底しており、著者はこれを企業文化の新たな基本OSであると述べています。

開発者だけでなく組織全体で取り組むアジャイル(未読)

こちらは最近出たばかり。(未読)

アジャイルとUX

たぶんこれも有名な本ですね。

英語版は3rd Edition が出ました(翻訳出るかな?)
LeanUX 3rd Edition(未読)

追記:Lean UX 3rd Editionの日本語版が出ます。(2022年8月29日 予定)

リーンスタートアップ

基本だと思いますが、むかし読んだ記録は残ってるけどちっとも理解できてなかったみたい(記憶に残ってない)ので再読予定。

こちらは未読。

OKR

以前買って積んであった本が、関係してるとわかったのでちゃんと読みたいと思います。(未読)

スプリント

個別の手法としては知っていましたが、アジャイルとつながってる、というか包含されているということがいまさらわかって、理解の解像度が急に上がりました。
ついでにアジャイル開発についていろいろわかってくると、なぜ「デザイン思考」がIDEOやd.schoolを起点としてこんなに流行ったのかもわかりました。みんな「つながってる」のですね。 
そう思うと、そもそもアジャイルと無縁な組織や現場にデザイン思考やスプリントという手法だけをいきなり入れても、なかなかうまく行かないだろうというのは想像できます(納得感)。

まとまってないけど まとめ

専門分野ではないので体系的に整理したりまとめたりできず、煩雑なリストをそのまま公開せざるを得ませんがひとまずこのへんで。きっと他にも基本的なもの、重要なものがあると思うので専門の方に聞いてください。(教えてください)

ITサービスでは、ソフトウエア開発とデザインの関係はより密になってきていますし、「チームでデザインする」ことのベースにはアジャイルがあるはずです。そしてデザインは組織のあり方とも無関係ではいられません。開発プロセスや組織のかたちに合わせて、デザインの位置付けやデザイナーの仕事のやり方ももちろん変わってくるでしょう。
アジャイル万歳とか万能だとか言えるような知識もなく言う立場でもありませんが、さまざまな理由があっていまの「アジャイル」があると思います。デザインという行為を載せるOSがアップデートされ書き換わりつつあるということだと理解して、このあともウォッチしていきたいと思います。

参考リンク(随時追加)

初学者には、アジャイル特有の用語(カタカナや略語多め)がとっつきにくかったりするのでこういうの助かります。

良い本が出たので1冊追加します。(2022.11.6)
プロダクトの開発にあたって、イテレーテブなアプローチは重要で大切であるものの、ビジョンを伴わなければローカルマキシマム(局所的な最適化)に陥る、グローバルマキシマム(全体的な最適化)を目指すためには「ビジョン駆動型のアプローチ」が重要だと説いています。

更新履歴:
2022.6.29 公開
2022.7.2 参考リンク追加
2022.8.19 Lean UX 第3版(日本語版)のリンクを追加
2022.11.6 ラディカル・プロダクト・シンキング を追加


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大学を辞めたのでいわゆる研究室やゼミはなくなってますが、以前の「ゼミ」のページの看板だけいまの興味に合わせて付け替えてみました。いずれなにかのかたちで活動しようと思いますが現状は何も決まっていません。

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