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でき太くん三澤のひとりごと その50

投稿 その50

昨日は実践教室で算数に対してかなり苦手意識のある小学6年生のお子さんの個別指導をしていました。

そのお子さんは、私が「でき太くんは毎日学習しましょう」とアドバイスすると、その日から休むことなくコツコツと学習を進めるような性格的にはとても真面目なお子さんです。

その努力の甲斐もあって、最近では少しずつ「できる!わかる!」と感じられることが増えてきました。

小学1年生の中盤くらいからずっと「できない、わからない」という経験しかしてこなかった子なので、「できる!わかる!」と感じられるときには本当にうれしそうな顔をします。

やはり子どもにとっては、「できる!わかる!」という成功体験はうれしいものなのですね。


そのお子さんは、最近ちょっとだけ難度が高い内容を学習し始めています。

ある程度取りこぼしが整理され、少しずつ現学年に近い内容になっているためです。

もちろん学習する内容はかなりスモールステップにしてありますが、それでもこれまで学習してきた内容よりむずかしくなってきます。

昨日、その内容を学習するときの様子を見ていると、その子の「目」に変化がありました。

どこか怯えたような、少し不安げな目に変わっていきました。


私はそのとき、その子の中で「できない自分、ダメな自分」がフラッシュバックしていると感じました。


強い劣等感がある子は、ちょっとでもできない問題、わからない問題が出てくると過去のできなかった自分のイメージや、侮辱されたときの気持ち、できないことで恥をかいた経験などが蘇ってきて、思考が停止してしまいます。

昨日はまさにその状況となりました。

1問がまったくわからず、数分間思考が停止しています。

時間が経てば経つほどその子の目、顔つきは不安でいっぱいになります。

その子は5年近くこの経験をしてきていますので、フラッシュバックも相当なものだと思います。

これを放置すると、その子は「やっぱり私は算数ができない子だったんだ」という経験をして、さらに劣等感を強く持つようになります。


そこで私はすかさず、あっけらかんと、「この問題で悩んでいるの?だいじょうぶだよ、◯◯ちゃん。この問題はさ、ここの例題を参考にすればいいんだよ。ほら、見てごらん」

(私はこのあっけらかんとした態度がとても重要だと考えています。その子はこれまでわからないことやできないことがあると、たいてい「なんでこんな問題もわからないの?」とか「さっきも説明したように。。。」というように、さも◯◯ちゃんの能力に問題があるかのような「大事」として対応されてきたからです。そこをあえてあっけらかんと対応することで、わからないことがあることはそれほど問題ではないのだという認識を伝えていくのです)


すると、その子は「あ、そうか。それでいいんだ」と言いました。


「そうそう、それでいいんだよ。◯◯ちゃんは、今日までコツコツと学習してきて、もう算数はできるようになってきているのだから、だいじょうぶだよ」

そしてしばらくすると、


「これであっているかな?」

といって、数分間思考停止していた問題を持ってきました。

もちろん、正解できていました。


「ほら、できるじゃない!やっぱりできたね!すごいね、◯◯ちゃん!」


「◯◯ちゃんは、本当にちからをつけてきたね!この調子でつぎの問題もといてごらん。きっと◯◯ちゃんならできるから」

そして、つぎの問題も解き、それもしっかり正解すると、


「よかった!できた!」


と、ちょっと安心したような言葉をいいました。


◯◯ちゃんの「目」に変化が起きたとき、◯◯ちゃんは何も言葉を発していませんでしたが、目や顔つきなどからその子が今何を感じていて、心の中にどのような気持ちがあるのかを感じることは、私たちのような実践教室で学習をサポートする人には必要なことだと思います。

ただわからないことを教えたり、学習材を最適化させるだけが私たちの役割ではないということを改めて認識したひとコマでした。


追記:すでにご存知の方もいるかもしれませんが、「でき太くん」には公式Instagramがあります。でき太くんでの日常の様子や、日々感じたことなどをアップしています。「でき太くん」で検索していただければすぐにわかると思います。

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