「スペック」 "34歳から見た30歳の記憶"

つい先日34歳になった。

30歳になる年に「みき三十路式」というイベントを開催した。もうあれから4年になると思えば、時の流れというものは恐ろしい。

そのイベントのために僕は「スペック」という曲を書き下ろした。

今回は「スペック」という曲のお話。

https://youtu.be/Z92YnHCmTMM

変わりゆく街並みと変わっていく周りの人たち、そんな環境に向けての歌だ。そんな中で生きていく僕たちへの応援歌として書いた。

あの頃の僕は音楽活動をしていたけれど、馬鹿にされるのが怖くて恥ずかしくて、表立っては言わなかった。ましてやSNSに名前を晒すことや顔を出すなんてことを避けていた。音楽家なんてさらさら言えなかった。

ただこのイベントでは実行委員長を務めていた為、顔や名前を出さないわけにはいかなかった。それはとても勇気がいることだった。

この曲が僕の音楽活動の方向性を変えた。

そんなこんなでこの曲の歌詞を改めて考察しようと思う。

僕らまだ自由だった頃 道端に咲くサルビア吸ったりして
てかこの花の名前知ったのも つい最近の話なんだけど

この曲を作るために「三木市」のことを調べたってのと昔の僕は何してたっけな?ってことをまず思い浮かべた。ただ「みき三十路式」の歌といえど「三木市」を全面に押し出すのは違って、どこの街にあるような歴史や今、感情を取り入れたかった。

僕はこの曲を作るまであの花がサルビアって名前だと知らなかった。学校の帰り道になんでかよくわかんないけど、蜜を吸ってた赤い花、アレだ。なんとそのサルビアは三木市の推奨花だそうだ。そんなこともあってサルビアが起点としてこの歌は始まる。めちゃくちゃ吸ってたけど名前は知らなかった。大人になってこんなことがキッカケで花の名前を知る。そんなことってあちらこちらにある気はするな。つまりここは僕の話だ。

ねぇ知ってる?
僕らのマドンナはシングルマザーなんだってさ
とか言う僕はまだまだフラフラ 独身貴族を気取ったりしてる

幼い頃にマドンナっていなかった?そんな子と将来結婚するんだ!って夢を誰もが一度は抱いたはず。僕もそのひとりだ。でも結局、そんな夢は叶わなくて、色んな人と出会って、今の奥さんとも出会うのだけれど。独身だったらどんなこと考えるっけな?とか思いながら書いた。三十路式だから同級生とも出会うだろうし、そこから始まる恋もあるだろうしな。澄ました顔しながらも淡い期待を抱きながら行っちゃうだろうなとか思いながら。

行きつけの喫茶店はパチンコ屋にみるみる大変身
この店のおばちゃんは数年前に亡くなっちまった

ここの歌詞はよく疑問に思われる。喫茶店の敷地にパチンコ屋立たなくない!?って。そうだよね。喫茶店ってそこまで大きな敷地の喫茶店ないもんね。

違う!!

通う店が変わったよってことを書きたかったんだと思う。喫茶店では友人との話や将来についての考え事、おばちゃんとの世間話を楽しんでいたけれど、友人も遠くにいっちゃったし、おばちゃんも亡くなっちゃったし、やる事もないから、今を楽しむ術としてパチンコを選んでるんだってことだと思う。

夢って何だっけ?君が失くしていないことを祈る
恋って何だっけ?まだまだ30歳キュンキュンしたい

この何だっけ?てのがこの歌には何度も出てくる。これは誰に向けていってるのだろう?友達なのか、他人なのか、自分なのか。三十路式の開催準備期間中にもここの何だっけの問い先については置かれた状況によって変わっていた。

君がこの駅を去ってから廃線寸前ギリギリもってる
夏祭りや秋祭り それは相変わらずの盛り上がりなんだ

ここの歌詞は非常に悩んだ。三木市のイベントであるにも関わらずここまで書いていいのかどうか。ただこのフレーズは書かずにはいられなかった。なぜだろう?今もまだ残っている鉄道ではあるが、僕の家の近くの駅舎は三十路式数日前に火事でなくなった。皆が騒いでた。悲しんでいた。

コロナ前のことなので祭りが盛んだった。三木といえば祭り!みたいな風潮もある。祭りのことになると目が変わる人がいる。僕は小さい頃から少し外れたところに住んでいたので祭りは参加するものではなく、行って出店を楽しむものと思っていたので、ちょっと離れた目で見ているのだと思う。ただこの2年はコロナで祭りも中止されてしまったので、あの独特の感じがないのは少し寂しいな。

待望のあの通りにやっとこさ橋がかかる
自転車で息を切らす程通った日々を思い出す

ここに橋があればなぁ。そんなことを子供の頃から思っていた。というのも実家から商店街の間に川があるから遠回りしないといけないんだもの!!!ここ橋あればすぐじゃんかぁ!!!って思ってた。そんな橋が出来ました。三木市ありがとうございます。すごい便利です。

友って何だっけ?熱く語るのがバカバカしくなった
今って何だっけ?後戻りしてんのか進んでんのか

結局なんだかんだやってるけれどこれがこの先何に繋がるんだ?って思うことはよくある。それでもやるしかないのだけれど。そんなことに悩むのが30代なのかなぁ。

今更、君がどんなことをしてようとも理解し合える許容は備わった
無駄に歳くったわけじゃないぜ もっともっとあがるぜスペック
まだまだ30 いざゆかん!

ここは僕の友人のことだ。昔からお調子者で喋っては本当か嘘なのかよくわからない、「自分の店を持ちたい」そんな奴が夢を持った。20代の頃の話。そんな奴だからその夢は色んな人から笑われてた。それが悔しかったんだと思う。でもそいつは夢を叶えたし、色んな人から認めてもらえるようになった。20代の頃ってまだまだ学生あがりだし、自分がこう!って思う正しい道から逸れた人には批判的な言葉を浴びせる時期だったんだと思う。そこからいろんな経験を経て、色んな人間がいるよなってなって互いの存在を認められるようになるのが30代なんだと思う。これから40代になる僕はどうなるのかなぁ。

夢ってこれだけ? 情熱もって欲張っていいんだぜ
恋して恋して 手当たり次第 出会っていこうぜ
友よこれまで 忘れんなよ この街と生きてきた
今って何だっけ? 僕ら進んでんだってことを祈る

ここのフレーズには自分で作りながら今なお背中を押されている。僕は音楽家として売れたいし、今後もいろんな曲を作っていきたいが時々やっぱり諦めかける。いつまでやってんだってな自分もいる。そんな時にこの歌が聞こえてくる。今がどうであろうと確かに進んでるんだ。


以上がスペックの歌詞考察でした。


最後にお知らせです。

30歳になる年につくったこの歌を

2022年3月17日にデジタルリリースします!!!

三十路式が行われたのが2018年3月17日、やっぱりこの日は僕にとって忘れられない日になっている。そんな大事な日にこの歌を皆様に改めてお届けさせてください!


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