精神科訪問看護はじめます〜訪問看護との違い、やる理由、看護師募集の話をゆるりと〜
LIC訪問看護リハビリステーションでは、12月から精神科訪問看護がスタートしました。そこで改めて8月に収録した内容をnoteにまとめてみよう!ということで書いています。一気に書けないので、今日は途中まで。
このnoteの音声ver.はこちら。
かすや:今日はですねawai FA初の3人収録です。さっきまで会議をしてまして、何の会議したかというと、うちの訪問看護ステーションで精神科訪問看護をはじめるということで会議をしていました。2015年に立ち上げてから2年くらいは東京都の指定を受けていたのですが、専門的に従事できる看護師が退職したこともあったので、その後は行っていませんでした。
去年の、とあるマルシェをきっかけに出会った看護師さんがいまして、その方がうちに入ってくれたんです。彼は元々、精神科領域で長くやっていた経験もあり、去年までは精神科訪問看護に特化した訪問看護ステーションの運営に関わっていたんです。ということで、うちでも精神科訪問看護には興味があったので、色々と議論を重ねてきた結果、改めて指定を取ろうという話になったわけです。今回のお話を聞いていただき、興味ある!と思った看護師さん。問い合わせお待ちしてます。精神科領域の経験は不問で、経験がない方でも大歓迎です!
今日は僕以外に、いつも通り黒沢さんがいます。
黒沢:こんばんは。あるいは、おはようございます。黒沢です。宜しくお願いします。
かすや:で、もう1人は精神科訪問看護をやられてきた谷川さんです。
谷川:谷川寛郎(たにかわひろお)でございます。宜しくお願いします。
かすや:黒さん。早速ですが、何でうちが精神科訪問看護をやろうとしているのかをお話してもらっても良いですか?
黒沢:さっそく切り込んできますね。端的に。僕が訪問看護に関わって丸6年で7年目になったんですけど、最初全く見えてなかったことですが、訪問看護に行っている利用者さんと利用者さんの家族の悩みだったりとかは、継続して介入し続ける中で、刻々と変わってくるじゃないですか。そこでね、やっぱ辛くなる時期ってすごくあるんじゃないかなと思ってて。そこに支援の必要性というのがあるんじゃないかなって思ったのは事実ですね。
特に僕たちのステーションでそういうのを感じる症例の方っていうか利用者さんの方は、やっぱり神経難病の方とその家族そこの支援ってやっぱりまだまだ細かではないなって感じるときはありますよね。
かすや:確かにね。うちの家もそうですね。母はALSで実家でケアを受けながら暮らしているんですね。シンクハピネス全体で言うと、FLAT STANDや「たまれ」をやっていたりすると色んな方と出会う機会があって、そこで精神的なサポートが必要な方とも出会ってきました。その人たちに対して専門職としてというよりは、地域で暮らす1人の人としてのサポートはできるけど、専門的にはできなかった。出会ってきた中には、サポートが入っている方もいるんだろうけど、サービスが入っていない人のほうが圧倒的に多いような印象はある。
これは、僕が訪問看護を立ち上げた理由の1つでもあるんだけれど、現状のサービスの質って正直どうなんだろうって疑問はある。うちがやった方が良いんじゃないかって思いはある。天狗になっているとかではなくて自信があるから。ただ、うちが出来ないことは、もちろん他に振る。僕らの目的は目の前の人とまちのしあわせをつくることだから。元々、FLAT STANDはまちのことを知るためにつくった意味もあったので、やっていく中で、このような出会いがあって気づきをもらえてっていうのはやっぱり大きい。精神領域にしても小児領域にしても。うちのミッションとして掲げている「わたしとここで暮らす人と医療と福祉がいい感じになってる社会」に向けては、いま僕らがやっている医療保険や介護保険での身体的な領域だけでは叶わなくて、こころの部分も必要という思いが出てきました。
黒沢:なるほど。身体が整わないと心が整わないなって思う反面、心が整わないと体調も整わないと思うんで、どっちがみたいな感じだと思うんですね。どっちが整ったほうがいいとかではなくて相互作用ですからね。インタラクティブに行き来しているという相互性で。すごく影響し合ってるんで、そこは家族看護の考え方と結構似てて、お医者さんは1人じゃなくてやっぱ環境だったりとか逆の環境に依存している。
かすや:谷川さんにも喋ってもらおうと思うんですけど、僕の母がALSの診断を受けた時はLICをはじめてから1年経たないぐらいだったんですよね。息子であるお前が責任持ってみろよって言われていると思いました。今回の精神科訪問看護についても同じで、父がアルコール依存症なんですよ。もう10年以上続いていて、家族だけではどうしようもなくなってきていて、そこに谷川さんが来てくれたのは、運命的なものを感じます。だから、今回の精神科訪問看護も会社としてやる理由はもちろんあるけれど、自分のためっていうのも大きいです。
では、谷川さんお待たせしました。自己紹介お願いしても良いですか?
谷川:わたくし、谷川寛郎(たにかわひろお)と言います。看護師歴20年ぐらい。はじめのうちは身体領域に関わって、その後15年ぐらい精神領域を専門に見ています。最初、精神科は絶対嫌だと思ってたんですけど、一生行かないって思ってたんですが、気づいたら15年ですね。めちゃくちゃはまりました。それでも、最初の5年間は本気で辞めようと思っていました。ずっと辞めようと思って、病院で働いていました。ただ途中からこれは子育てに繋がるって、人を見るっていうことの根本なんだなとか、あと相互成長なんですよね。
教育とかというよりも、自分も育つし、相手も成長するという認識になってからは、すごいはまった。病院のあとは、6年間、精神科訪問看護をやっていたんですけど、そこで精神科関連の面白さというのに気づいて、僕がそこで得た知識とか技術を自分の中に留めてとおくのはもったいないと思ったんです。
その時は世田谷、杉並あたりで働いてたんですけど、住んでいるのが府中なので、自分のまちに還元しないまま一生やってんのかなって疑問に思った時に、さっき話のあったマルシェで出会ったんです。多磨霊園駅の近所にすげえ面白い人が集まる場所があるよって聞いて、それをきっかけに顔を出して、今につながっています。
かすや:多磨駅の近くのマルシェですよね。たまいまマルシェ。元々うちで看護師として働いていて、今は「たまれ」に銅版画のアトリエを構えているHi PRESSの平田さんがマルシェでお店を出していたところに、谷川さんが現れました。
谷川:側から見たらナンパしているようにしかなかったらしいですよ。家族に怒られちゃう。
かすや:その出会いから、何度もFLAT STANDに来てくれたんだけど、空いていなかったんですよね。
谷川:出会ったのが6月ぐらいなんですけど、FLAT STANDに来れたのが10月で。1ヶ月に2回ぐらい来たんですけどシャッターが閉まっていて。もしかしたらガセネタ掴まされたかもって思いました笑。
かすや:あれ、谷川さん2月からでしたっけ?もう入って半年になるんですね。
谷川:精神15年やってましたけど、今は精神以外をやってるってことですね。16年ぶりに浣腸しました。
かすや:今、精神じゃない分野を見ていてしんどいですか?笑
谷川:しんどいのかな。しんどいしんどくないかって言われたら、やっぱりしんどいかもしれないですよ。例えて言うなら、同じ格闘技なんだけどみんなボクシングやったのに僕だけ相撲とってるっていうような感じですね。だけど同じ格闘技だからやれるよね、っていうそういう感覚。やれないことはない、同じ格闘技だから、確かに張り手やってたしなとか。若い頃、いろんな格闘技やっていて、僕は相撲いきましたけどみたいな。
黒沢:これ、伝わらないですね。笑。でも嫌いじゃないです。
谷川:何を言いたいかというと、やっぱ精神って特殊性がかなり高い。技術もそうなんですけど知識もやっぱり必要。まあ、どの社会でもそうなんですけど、その技術っていうのは例えばなんて言うんでしょうね。何かをつなげるとか、オペ出しだったら、何の器具を選んで出すとかっていうことよりも、コミュニケーションが主なので、本を読んでできるものではなくて、本を読んだことがスタートでそれを常に訓練しないとやっぱり難しいというのがある。かなり特殊性は高い。
糟谷:実際何をするんですか?精神科訪問看護は。
谷川:よくぞ聞いてくれました。行動レベルで言うと、ただお話しするだけなんですけど。何をするかっていうと、病気っていうかは、疾患を持ちながらどうやって生活を組み立てるのかっていうお手伝いをするのが精神科訪問看護ですね。
糟谷:今までやってきたLICの訪問看護は何をするんですか?
黒沢:今やってる訪問看護は一緒ですよ。基本的に自立支援だったり、セルフケアの部分っていうのは、そこの目指す部分は変わらない。
谷川:例えばがん末期で、じゃあどうやってその自分らしく生きていくのかっていうところとか、例えば精神疾患で統合失調症の人が幻覚妄想とか持ちながら、どうやって日常生活を組み立てるかっていう部分ではほぼ変わらない。
そこで自立支援になってくるので、本人が社会資源を使いながら 自立していくっていうのは、本人だけが自分1人で頑張るのではなくて、社会資源を使いながら自立していくのをお手伝いするっていうところです。
糟谷:例えば、統合失調症を持ってます。さらに癌があります。胃がんで、ステージ3ぐらいです。そこで、自宅療養が必要になってますみたいな感じだと、普通の訪問看護と精神科訪問看護では介入の仕方の違いがあるんですか?
黒沢:まあ身体的な側面と心理的な側面と社会的な側面って、3つに分けてなんとなくカテゴライズしながら見ているかなと思うんですけど。やっぱりその苦痛を緩和するとか、取り除くっていうところでは、少し身体的な部分と心的な部分ですね。そこは結構重要かなとは思っています。痛みがあるかないかと、24時間どうやって苦痛を生じて過ごしているかどうか、身体的な苦痛もそうだと思うんですけど、例えば動けないとか、食べられないとかそういった苦痛も多分感じてらっしゃる。
一番最初に、どういう苦痛が生じているかっていうのはモニタリングする部分じゃないかなっていうふうには、がんの人っていうところなので、在宅で過ごしている中で1番重要なのは予防とか治療がどういう状況かっていうのは一緒に考えたりとか、同じ方向を向くっていうのは合意形成を取っていく上ですごい大切だなあっていうふうには思います。
糟谷:ちょっと話変わっちゃうかもしれないけど、じゃあがんの人に在宅の訪問看護ってどんな風に入っているのって、結構聞かれることがあって、そういうのもせっかくなんでみんなに伝えてもらった方がいいかなと思いました。
黒沢:ありがとうございます。「家に居る」っていうことの意味付けかなってすごい思ってて。がんの人に限らないと思うんですけど。その方が家にいて、病気としてそのがんっていうものを患っている、あるいは治療中であるっていう時に、訪問看護が必要な状況って、ある程度医療的な視点だったりとか、アドバイスだったりとか、何か生活する中でできないことをひとりではなかなか今までできてたけど、病気により一時的に障害されている、あるいはなかなか難しいと言ったところに専門職として入ったりとかするのかな。
家にいるって、そこは大きな意味づけがあるんじゃないかっていう風に思います。まあそういう状況だと、家で過ごし続けるとか、家族と一緒にいるとか、病院などの医療機関ではなくて、地域にいる、家にいるというのは明らかにしていったほうが良いのかなと感じます。
糟谷:がんの心理的な苦痛というところにも精神科訪問看護として入るんですか?
続く〜〜。
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