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【ことばの赤い糸展寄稿】ゲストエピソード公開します。

7月、ことばの赤い糸展に行ってきた。

7月の三連休で開催された、ことばの赤い糸展 。
とても素敵な企画にお声がけいただき、「日頃からことばを大切にする一人」として、今の私に導いてくれた大切なことばのエピソードを紡ぎ、寄稿させていただいた。

初日、会場に行ってみると、会場は多くの人で賑わっていた。企画全体に筋が通っていて、選択式で進んでいく没入体験も、自ら出会いに行ったことばも、あらゆるコンテンツに愛が込められていて、素晴らしい体験だった。

オリジナルドリンクもめっちゃ美味しかったなぁ。

あの人とことばの赤い糸〜ゲストエピソード〜

寄稿させていただいたゲストエピソードエリア。

「あの人のことばの赤い糸~ゲストエピソード展示~」では、自由丁オーナーの小山将平氏をはじめとする、日頃から言葉を大切にしている4人のゲストの「大切なことばに関するエピソード」を展示。その他のゲストはオア明奈氏、5歳氏、田中泰延氏。

切り口もテイストも4者4様なのがとても面白くて、ことばのプロな御三方と並べていただけたことも光栄だった。

エピソード寄稿のご依頼はこんな感じだった。

「赤い糸で結ばれていたと思う、忘れたくないことば」にまつわるエピソード。「他の人にも伝えたい」「人生のターニングポイントになった」「お守りのように大事にしている」など ポジティブな変化のあったことばを1つご選定いただき、当時のエピソードや振り返ってのお気持ちなどを書いていただけますと幸いです。

無事展示後のコンテンツも含めて全て終了したとのことなので、展示のために想いを込めて紡いだエピソード、せっかくなのでnoteで公開させていただこうと思う。

ぜひ展示に行っていない方も、読んでいただけたら嬉しい。


 「今は好きな映画を二度見るような旅より、見たことのないものを。」


ある人からのそのことばに後押しされて、私は旅の行き先を変更した。

コロナ前は毎年長期で海外を旅するような生活をしていたが、ここ3年パタリと途絶えた。でも昨年末シンガポール出張した時に「そろそろタイミングだな。」と自分の中で確信めいたものが生まれて、2023年2月から仕事をストップしてしばらく一人旅することに決めた。

旅に出る。私のそれは紛れもなく自分に飽きているサインだ。

当時、自分の中の当たり前が凝り固まってきていることに気づいていた。そしてそんな自分に飽きていた。小さな箱に自らおさめてしまう自分が、失敗を恐れて正解を置きにいく自分が、ハレーションを起こさないようにうまく立ち回る自分が、時々とんでもなくつまらなくなる。

だから2020年にロックダウンになるギリギリまで3ヶ月間暮らした大好きなニュージーランドへ再度行く予定にしていた。またあの時みたいに新しい自分に出会いに行こう、と。

「今のあなたは、好きな映画を二度見るような旅より、見たことないものを見に行ったほうがいいね。」

ある日、これからについて相談をしていた人にそんなことを言われた。不思議とその一言が沁み渡って、その夜、行き先を変更することにした。とても自然な流れだった。薄々感じていたのかもしれない。背中を押して欲しかったのかもしれなかった。

その2週間後、私が向かったのはインドだった。

学生時代にも勇気がなくていけなかったインドに、まさか37歳にしていくことになるとは。直前に申請したビザと到着日から2日間だけ宿を予約して片道切符でバタバタと出発。いつ帰るかも旅程も特に決めず、まずはインドの理想郷と呼ばれる世界最大のエコビレッジ、オーロヴィルへ向かうことにした。3年ぶりに背負ったバックパックはずっしり重たかった。

きっと私にとって一人旅は、自分で自分を解放して、枠を外す通例儀式みたいなものなんだと思う。

知らなかったことを知り、トラブルを乗り越え安堵したり、新しい出会いを楽しんだり、不安になったり、孤独で寂しくなったりしながら旅をする。ひとりぼっちの自分が世界とちゃんと繋がっている感触を確かめて、自分が生きているのは世界のほんの一部なのだと気付いて笑えてくる。そんな旅での経験、見たもの感じたものがアイデアになり、仕事になり、血肉になり、私という個性として人生に反映されていく。それがたまらなく楽しい。それが私の生き方。

思えば5年前、イスラエルとパレスチナを旅した時にも自分の当たり前がガラガラと崩れる音がした。宗教、異文化、匂い、感覚、見るもの全てが新しくて、猛烈に思考と感情が刷新された。今回もあの時みたいな旅をしたくなった。刺激的で冒険的で、それでいて自分と深く繋がるような。それにはきっとインドは最高の行き先だと思えてならなかった。

2023年2月10日に日本を出発。東へ西へ、南へ北へ。結局1ヶ月インドを駆け巡り、その後スリランカに渡ってさらに1ヶ月旅をした。刺激的でカオスで濃密な毎日だった。たった10ルピー(約15円)で飲めるチャイの美味しさも。一日中鳴り続けるクラクションは警告ではなく優しさの合図であることも。トイレに紙はなく基本的に便座も床も水でびちゃびちゃなことも。「NO SPICYで!」とお願いしてはじめてちょっと辛い程度のカレーが登場することも。こっちを見るといいよと勝手に案内されて最後にちゃっかりお金を要求されるということも。明け方から街に鳴り響くマントラの音がとても心地よいことも。私はそこに行くまで知らなかった。

多様な宗教観と日本とは全く違う文化に触れて、自分の中に育った価値観や常識が溶けていき、同時に自分の内側からこんこんと水が湧き上がるようなそんな新しい感覚に出会った。心が向くもの、選びたい言葉、生み出したいことが、少し前の自分とは全く違っていることにも驚いた。このタイミングで来るべくして来て、この土地に呼ばれていたとしか思えないようなご縁にも恵まれた。現地でこれまで見たことのない景色が、音が、匂いが飛び込んでくる度に何度もあのことばを思い出していた。


「今は好きな映画を二度見るような旅より、見たことないものを。」


そのことばをくれたのは、ちょっと不思議な人。私のことをなにも知らないのに、とってもよく知っている。そしてそのことばに導かれ、見たことないものを見に行った先で出会ったのは、「新しい自分」じゃなくて「本来の自分」だった。なんだか2回くらい転生してまた自分に還ってきたようで「本来の私、おかえり。」思わずそんなことばを自分に贈りたくなるような旅だった。

また違った世界の見え方が生まれた今、本来の自分が行きたがっている方向へ進むことにした。ここからはじまる新しい人生がちょっぴり怖くもあり、とっても楽しみで仕方ない。

人生を祝うプロデューサー
オア明奈



今回の企画、私に声をかけてくれたのは、ライフログスクール修了生でオンラインサロンONDOのメンバーでもあるフミちゃん

送ってくれた嬉しいメッセージも最後に載せておく。

#ことばの赤い糸展 でゲストに寄稿をお願いしようとなった時、真っ先に明奈さんにお願いしたい!と思いました。 選択を重ね、自らことばに会いに行く体験は、明奈さんが主宰されているライフログスクールやONDOでの振り返りなど「人生の節目を自分でつくる」こととすごく近いものを感じて。 クラファンの応援コメントからエピソードの寄稿、そして今日ご来場いただくまでに、明奈さんのことばに何度も勇気をもらい、また大切なことばが増えました。 本当に本当にありがとうございます。

今回このエピソードを書いて、この展示に行って、改めて"ことばの力"を感じることができた。きっかけをくれてありがとね!


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