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「海外から学ぶ」ためには日本のことを知っておかなきゃ学びが深まらないという話

ここ5年で
・アメリカ(NY、ボストン、LA、SF)
・メキシコ
・イングランド
・スコットランド
・オランダ(×2回)
・スウェーデン
・フィンランド
に視察に行った。

以前「日本人は視察しすぎ、相手の時間を無駄にしている」みたいな記事をチラッと見た記憶があるのだけど、良いのでは?と思っている。持ちつ持たれつ。

最近は海外からの視察者が増えて、自分が視察に行った時によくしてもらったことを、Pay Forwardしている。私は学びを得たい人に対して寛容であれるよう、余裕を持っていたいし、自分もそれを学びの機会としたい。

今日もとある国からの視察を受け入れ、「他国から学ぶ」ことについて帰りの電車で考えたので記しておく。
(今日は受け入れたのに私たちの方が質問多かったぐらいかも、、、次の視察先候補。「是非来て!」だって!障害のある方と学生のグループホームを作ってるんだって。学生は無料で住める。見たい!)

よく講演や研修をすると、「海外のインクルーシブ教育で進んでいるところはどこですか?」「アメリカの障害児教育と日本の障害児教育ってどっちが進んでいますか?」という質問を受ける。

なんとなく、「海外の方が進んでいそう」みたいなイメージがあるのだろう。
私は散々アメリカの障害児教育について博士論文で研究をしたけれど、なにを軸にして「進んでいる」と評価するかによる。そして、歴史や文脈が全然違うから、同じ軸で比較しづらい。その中でももちろんお互い参考になることはたくさんあるのだけど。

そして、「インクルーシブ教育」なんて超理想的な教育だから、実現できている国なんてない、と伝える。

いろんな国に行ったけれど、どの国もその歴史や文脈の中で、福祉も教育も発展していて、当然課題を持っている。どこでも予算は足りていないし、専門家は足りない。現状で満足している現場の人に出会ったことなんてない。

そのため、例えば海外の教育から学びたいのであれば、自分が考える「良い教育」はどんな教育で、それが日本で実現できていない理由はなぜか?を知らないと、海外視察に行ってもうすーい学びにしかならない。もったいない。ただ、「なんか海外すごい!」で終わる。それでいいなら、それでいいんだけど。

よくいろんな方に「教育を変えたいんです!」と言われて、その想いはとても素晴らしいと思うのだけど、なにを具体的にどう変えたいのか?それがいま実現できていない理由はなぜなのか?実現するためにはなにをどう変えたらいいのか?を考えたり調べたりすると素敵。もったいない。アツい思いを持ってて、エネルギーがあるんだから、ぜひ実現してほしい。そのためにも、知ってほしい。

以前オランダの特別支援学校に行った時、日本の特別支援学校と似通った内容であったにもかかわらず、同行されていた方々が「すごい」と言っていて、違和感満載だった。ちなみにオランダの特別支援学校の在籍者パーセンテージは日本のそれより高い。その事実を知らずに「オランダはインクルーシブ教育が進んでる」と言っちゃったら私はシャーって威嚇しちゃう。

教育を変えたいのであれば、日本のことをまずよく知ってほしい。現場に行って、現場の先生たちの話を聞いてほしい。そして、どんな歴史があってここまでのシステムが出来上がったのか、ぜひ知ってほしい。

そして、海外の切り取った実践だけを見るのではなく、歴史や文脈を含めた、全体を見てほしい。クリティカルに見るのはとても楽しいし学びになる。その上で参考になることはもちろんたくさんある。そして、日本のことも客観的にクリティカルにみれたりする。

「海外は進んでるよねー」「だから日本は、、、」と私に話しかけたら威嚇しちゃうと思う、、、

どの国も、もちろん日本も、課題は山積みだ。そしてそれは待っていても「だれか」が勝手に解決してくれるものでもなかったりする。折り合いをつけるもひとつだし、解決のためにできる行動をするのも一つ。

こうやって説教くさくなってくのかな、、、

写真はニューヨーク、タイムズスクエア。

#海外視察 #教育 #インクルーシブ教育

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