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らくがき帳(定期購読マガジン)

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#森の家

【森の家⑨】〜さよならスマホ。の夢〜

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【森の家⑧】〜「遅々として進まず」の必然と必要〜

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【森の家⑦】〜キャベツは通貨崩壊に効く〜

このところ物価上昇が続いている。食料品も、ガソリン代も、光熱費も、これからもっと上がるらしい。鮮魚売り場に行くと「高くなったなぁ」とため息が出る。マヨネーズも、カップ麺も、バターも牛乳も油類も、じわじわと値上げが止まらない。 私たちは今、30年ぶりのインフレを経験している。物価が上がる原因はいろいろあるが、急激な円安もその一つ。10年前、1ドル=101円だったドル円相場は今、1ドル=160円近くまで(5/1現在157.68円)円安ドル高が進み、まだまだ止まる気配もない。要す

【森の家⑥】〜森の脅威とトイレの神様〜

長い助走期間を経て、いよいよ【森の家】が始まった。助走していた間にも地域の人から話を聞いたり、元の持ち主さん(売主)と話し合いを重ねたことで、購入と同時に突然始まったという感じはなく、出入りを繰り返すうちに気づいたら始まっていた、というのが実感だった。 売買契約書を作成する上で、私が唯一こだわった点が「売り主さんの責任で残置物を処理してもらうこと」だった。古家の中に詰まった所持品やゴミなどを撤去した上で物件を明け渡してもらうという意味だ。古い空き家の売買では、「残置物」がよ

【森の家②】〜限界集落に住を求めて〜

八月の昼下がり、古い民家の玄関先に雑種犬が腰をおろしている。犬はくつろいでいるが、その鼻は家の前の森から漂う複雑な匂いを嗅ぎ取っている。その耳は辺りに広がる山々から雑多な音を拾い続ける。日に数回だけ、集落の人や郵便屋さんが近くを通りがかったりすると、首を伸ばし、耳を立て、そちらの様子をじっとうかがう。 犬は時々、どこかへ出かける。近所の森の腐葉土の下に小さな獲物を見つけに行ったか、裏の藪のミツバチの巣箱を巡回ついでに嗅ぎに行ったか、何をしてきたかは本人にしか分からない。犬は

【森の家①】〜観察から実践へ〜

大学院でジャーナリズムを学んでいた頃、あるクラスメイトが質問をした。 「紛争地を取材中に目の前に瀕死の地元民がいたとして、僕たちは取材を続行すべきなのか。それとも取材を止めて、その人を助けるべきなのか」 質問をしたのは、これからジャーナリストを目指そうという取材未経験の学生だった。ベテランジャーナリストの先生は、苦笑いをしてこう言った。 「それはまた古典的な問いだな」 ジャーナリストの仕事は取材・報道であって人道支援ではない。取材対象にいちいち心を奪われて、自らが問題