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らくがき帳(定期購読マガジン)

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#大学院

大学院のこと(10) (進学・留学体験談)

香港の大学院でジャーナリズムを専攻した一個人として、4つの簡単な問いに答えを出してみた。 Q、大学院は必要か不要か?(存在意義) A、私は今でも、大学・大学院は、当たり前だが必要だと思っている。学術研究機関としての大学・大学院は、多くの調査や基礎研究を担っている。データ分析、思想の構築、新しいテクノロジーへの貢献など、私たちの生活のベースとなる多くのものを生み出しているからだ。学者が書く論文は、人類の進歩をいろいろな面から支えているし、研究成果に触れることは、刺激的で面白

大学院のこと(9) (進学・留学体験談)

香港大学で大学院生として過ごした日々を振り返るシリーズ『大学院のこと』第9話。今回は大学院生の幼稚化という現象について書いてみたい。 香港大学では大学院生という立場で「一部のクラスメイトの幼稚化」に違和感を覚えたわけだが、加えて、教える側の立場から見た時にも「学生・生徒」の幼稚化という現象が近年では目立ち始めているようである。というのも、仕事(講演など)で学校に行くと、先生たちは次のように口を揃えるからだ。 「今の子は昔に比べると、だいぶ幼い」と。 昔の子に比べると、従

大学院のこと(6) (留学・進学体験談)

大学院での実体験を紹介するシリーズ「大学院のこと(1)(2)(3)(4)(5)」の続き。 不正入学したものの、大学院の授業についていけず悩む学生。自分が学部生なのか院生なのかも答えられず、講堂から追い出されてしまったクラスメイト。学位取得を秘書に堂々と代行させている企業経営者。そうした数々の歪みを「金さえ積めばなんでもOK!」というアカデミックな解釈で黙認し続ける先生たち。大学院とは何か、学位とは何かについて考えざるを得なくなる現実を書き記したのが前編(5)である。 本編

大学院のこと(5)  (留学・進学体験談)

久しぶりに「アカデミア」の世界に戻り、違和感だらけの中でスタートした大学院生活。香港大学の修士課程での体験をご紹介するシリーズ「大学院のこと(1)(2)(3)(4)」の続き。 先生たちのほとんどは「ベテラン」と呼ばれる元ジャーナリストだったが、言い換えればそれは、引退後のじいちゃんばあちゃんたちの再就職先と化した大学院の現状を表していた。取材も編集も配信も、それ以上に報道の意味や概念そのものがデジタル化によって一変しつつあったその最中に、20世紀型のアナログな手法を変えよう

大学院のこと(4) (留学・進学体験談)

香港の大学院でジャーナリズムを学ぶことになった私の個人的な体験談「大学院のこと(1)(2)(3)」の続き。 アジアの名門大学で、欧米人の先生からアジア人の学生が教えを乞うという構図。世界はアメリカを中心に回っており、ジャーナリストとはすなわち欧米リベラリストである、という前提で授業が進められたことに、入学早々にして違和感を覚えた。 というのが前回(3)の話である。 本編では、実際の授業内容や課題への疑問、また大学院において「ベテラン」が意味することなど、入学前には予想で

大学院のこと(2)(進学・留学体験談)

大学院への進学体験談「大学院のこと(1)」の続き。 大学側から合格通知は受け取ったものの、金銭的な理由から一度は入学を辞退。ところがゴネてみたら奨学金(給付型)がもらえることになったため、2016年の5月20日、私は入学辞退を撤回して進学を決めた。 というのが、前回までの流れである。 今回は、学科側へ返事をした日から入学した9月1日までの準備段階で起きたこと、新入生のオリエンテーションで覚えた違和感を順を追って書き進めていく。 アカデミアだから許される詐欺大学院に来る

大学院のこと(1)(進学・留学体験談)

大学院とは何か。海外留学にメリットはあるのか。行く価値はあるのか、ないのか。どれくらいお金がかかり、どんな日々が待っているのか。 私は2017年に香港の大学院を卒業した。9ヶ月という短い在学期間だったが、ジャーナリズムを専攻し修士課程を修了した。結論から言えば、修士課程に進んだことは時間と金のムダだったが、留学生活全体で言えば、まったくのムダだったとも言えない程度に得たものもあった。ただ、私の大学院に対するイメージは、入学前と卒業後とでは、ほぼ180度変化した。 大学院に