マガジンのカバー画像

らくがき帳(定期購読マガジン)

身の回りの出来事や思いついたこと、読み終えた本の感想などを書いていきます。毎月最低1回、できれば数回更新します。購読期間中はマガジン内のすべての記事をご覧いただけます。
¥1,000 / 月
運営しているクリエイター

2023年12月の記事一覧

【氷河期世代(最終話)】〜現世からの離脱〜

日本経済の長い低迷に10代〜30代を奪われた就職氷河期世代。とりわけ1975〜83年ごろに生まれた「どん底」と言われる世代は、2023年現在40代となり不安定な中年期を迎えている。もう若くはなく、人生を挽回するには、気力、体力、能力などが不足し、これからもそれらの力は低下していくことから手遅れを実感し始める年齢である。 社会はかつての「人余り」から「人手不足」へと急速に変化し、低賃金重労働の現場を中心に仕事はずっと見つけやすくなっているが、少子高齢化による労働者不足は、同

大学院のこと(4) (留学・進学体験談)

香港の大学院でジャーナリズムを学ぶことになった私の個人的な体験談「大学院のこと(1)(2)(3)」の続き。 アジアの名門大学で、欧米人の先生からアジア人の学生が教えを乞うという構図。世界はアメリカを中心に回っており、ジャーナリストとはすなわち欧米リベラリストである、という前提で授業が進められたことに、入学早々にして違和感を覚えた。 というのが前回(3)の話である。 本編では、実際の授業内容や課題への疑問、また大学院において「ベテラン」が意味することなど、入学前には予想で

遊園地化する世界と失われる旅の余白(後編)

* 本編は『遊園地化する世界と失われる旅の余白(前編)(中編)』の続きです。 観光と旅、二つの旅行スタイルについて、それぞれ中国での観光とジブチでの旅を実例として取り上げ考察してきた。観光とは客が価格に見合うサービス、提供された愉しみを享受する行為であり、一方で旅は、人が自分の責任において体験したことを、自分なりの解釈をして、自ら変化していく行為と書いた。 日本の観光産業には大きなポテンシャルがあり、インバンドはこれから柱となっていく産業の一つとされている。そうした中で、

遊園地化する世界と失われる旅の余白(中編)

* 本編は『遊園地化する世界と失われる旅の余白(前編)』の続きです。 前編では、観光とはどんなものか、観光地はどのようにして観光地となったのかについて書いた。本編では、「客として観光地を訪れる」という旅行スタイルとは真逆の行為としての「人として旅をする」ことについて、アフリカ旅行中の実例を用いて考えてみたいと思う。 旅的要素と観光的要素 私自身は20代の半ばになるまで、旅らしい旅をしたことはなく、観光地に行くことがすなわち旅行だと思っていた。それが旅をするようになって、