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ぜんぜんふざけた内容ではない

2023/08/23(水)

 起床した瞬間から疲れた……
 目覚めてたちまち内容は忘れてしまったけど、誰かと誰かのあいだを取り持つことをした気がする。それがとても大変だった。もう少し夢のある夢を見てくれないか、私。

 暑すぎると思ったら、明治初期に気温の観測を初めて以来、史上最高の暑さだったらしい。夕方に用事が終わるや否や、日が沈む前からビールやワインを飲み始めてしまっても仕方がないと思う。

 いまネットで話題の小説がある。
 題名は『大谷翔平にポケモンカードで負けたら自殺するしかない』
 主人公がポケモンカードの大会の予選に行ったらなぜか対戦相手が大谷翔平だったというお話です。
 大谷は野球第一で派手に遊び歩くタイプではなく、わずかな余暇はマンガを読んだり動画を見たりしているそうなので、カードゲームをやっていてもおかしくはない。でもなんで地方の小さなカードショップに?
 自分より全てが優れた人間に、自分の唯一の特技ですら負けてしまったら……そういうお話。
 ぜんぜんふざけた内容ではない。
 読んで胸を打たれた人が続出している。
 3,000字ちょっと……文庫本で6、7ページくらいの分量なので、スキマ時間に読めます。ふだんそんなに小説を読まない人も、難しい文章じゃないし、読み慣れた人も確かな筆力に唸ると思う。ぜひ見てみてください。

2023/08/24(木)

 引き続き暑い。
 暑すぎて普通に暮らしてるだけで「ととのって」きた。

 健康診断の結果が出た。診断されたときに言われたとおり、胃に傷んでいる個所があり、今すぐどうこうという話ではないけど要観察とのこと。昔からストレスが胃に来るタイプなので仕方がない。気をつけつつ、飲酒をしながら健康に暮らすことを飲酒する作家の友だちと誓い合っている。

2023/08/25(金)

 2、3日前から「作家に、本をブックオフや図書館で読んだことを直接伝えるのはいけないことか」という議論がTwitter上で白熱している。白熱というとかっこよすぎるか。ものすごい泥仕合と化している。
 この日記を読んでくれている人は本好きが多いから事情はだいたいわかるかもしれないけど、なんで議論になっているのかを箇条書きで説明します。

・ブックオフで本を買っても、出版社や作者の収入にならない。正式な「売り上げ」にカウントされないので、作者の実績にはならない
・昔からある古本屋も同じっちゃ同じなんだけど、ブックオフは大規模なチェーン店で、新しめの本を中心に扱っているので、現役作家へのそういう影響が大きい
・図書館も同様。もっと売れるはずの本が図書館で無料で貸し出すせいで売れないという人もいる。そんなことはないというデータもある
・「ブックオフで買って読みました」と言われると「定価で買う価値はなかったか……」と作家が微妙な気持ちになることがある。別に気にしないという作家もいる
・明らかに「定価で買うほどの作家じゃないよ、あなたは」という意味を篭めて「ブックオフの100円の棚で買いましたw」みたいに言ってくる嫌な人も少なからず存在する
・しかし、ブックオフや図書館で読んで面白かった作家の本を、次からは定価で買ってくれる人もいる。目先の損得にこだわらず「読書好き」を増やすことのほうが大事だという考え方もある
・だから、利用するのは自由だけど、作家に直接言うのは悪意と取られても仕方ないからやめたほうがいいという意見が多い

 私は以下のような意見です。

 先輩作家ともこの話題で少し話したのですが、出版業界マニアかつ作家に憎しみを持っていて「作家に入るはずの収入を損ねてでもブックオフで買ってやるぜ~」という強い意志を持って利用している情熱的な人は少数派で、大抵の人は「合法的に安く買えるところがある。だから利用する」というだけだと思うんですよね。
 それだけのことに作家が傷つきすぎじゃないか、と。

 ブックオフユーザーは少なくとも「紙の本を買いたい」という気持ちがある。でも、いまはネット小説もあるし、マンガの期間限定の全巻無料公開もよくやっているじゃないですか。それらしか読まない人もいる。
「無料公開はブックオフや図書館と違って、出版社が宣伝になると思って自主的にやることだから問題ない」という話ではなく、その環境に慣れた人がこれからいつか「本にお金を出す」という発想を持ってくれるだろうか、と思ったりもする。

 あと、2000年代ならともかく、いまのブックオフは出版界を脅かす店ではないんじゃないかとも思う。
 上記の無料公開や、電子書籍のセールなどが定着して、安く本を読める環境が増えたせいもあり、ブックオフ内での本の扱いはどんどん縮小しています。いまはポケモンカードや遊戯王カード、ONE PIECEや呪術廻戦のフィギュアなどがお店のいちばんいい場所に並んでいる。
 本も高くなりました。新刊は2割しか安くない。1,600円の小説の単行本が1,280円です。これが中古なら新品を買うか……そのほうが作者への応援にもなるし、となった人もけっこういるんじゃないか。
 それでも少しでも安く買いたい、月のお小遣いが限られているし、という人ももちろんいましょう。その上で、いまの値付けをしているのだと思う。そこは商売だからブックオフがいちばん考えているだろう。

 マンガや小説はなくならないだろうけど、本という商品がいまのまま続くかどうかはわからない。映画だってビデオからDVDになり、サブスクになり、TSUTAYAがレンタルをやめる時代になった。音楽もCDが廃れて、アメリカではレコードのほうがCDより売れているそうじゃないですか。
 どうなるんでしょうね。
 私は本と本屋というものが好きなので、残ってほしいと思う。

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