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元気じゃなくてもいいので

2023/07/11

 シャンプーや洗剤の詰め替えが下手だ。
 今朝もお風呂場で苦心した。
 パックからボトルにうまく注げずにこぼしたり、ボトルを倒したりする。パックを細かく折りたたんで中身を最後まで絞り切ることもうまくできない。注ぎ口を手で切るタイプだと、きれいにちぎり取れなくて、かけらがピロピロとくっついたままになったりする。
 ……ここまで書いて、なんかこう、ダメ人間なのを強調してかわいこぶっているような出だしの日記になってしまったと思いました。『ちいかわ』のモモンガみたいじゃない? 恥ずかしい。

 大人があんまりダメアピールするのもどうかなぁ、と思っている。
 SNSでやりがちだけどね。社会が怖いとか、人間が難しいとか……それはウケ狙いだけの嘘じゃ決してないし、誰だって気を張って生きている部分はあるから飾らない本音に共感もしてもらえるだろうし、必要以上に恥ずかしがる必要はないのかもしれないけど、それでも。
 ふつうのことができるのに越したことはない。
 それで失われる繊細さや「尖り」なら、もともと守るほどではない弱い個性なのだ。
 面白い人って、基本的にはちゃんとしてるのに、楽しく話を重ねているとオカしいところがどうしようもなく出てしまう。それがチャーミングなんだよね。私もできれば、そういうチャーミングさをいくらかでも備えた人でありたいけど、できているかどうかは自分ではわからない。他人が教えてくれることです。
 だから友だちや仲間は大事にしよう。
 なんだこの結論。

 今日はラーメンの日だった。
 一般社団法人日本ラーメン協会が2017年に制定した、実はすごく新しい記念日だ。いちおう(いちおうとかいったら失礼か。でもさぁ……)7をレンゲ、11を箸に見立てたというのと、水戸光圀が日本で初めてラーメンを食べた人だという説があり、その黄門さまの誕生日が今日だから、という理由があるらしい。
 昨年は札幌駅のラーメン共和国(駅ビルの上にある、道内の有名店の支店を一ヶ所に集めたレストラン街)で、函館ラーメンの「あじさい」の塩ラーメンを食べたのを覚えている。
 今日は終日用事があってお店に足を運べないので、コンビニのレンジで温めるラーメンを夜に食べて、今年の私のラーメンの日とした。

 ラーメンは好きです。年に100食も200食も食べるようなマニアではないけど、少なくても月に2、3度はお店で食べているんじゃないか。
 ただ、ラーメンというものがこの世から概念ごと消滅したら、それはそれで気持ちがさっぱりするし、健康にいいような気はする。
 カレーは不思議とそう思わない。絶対に消滅してほしくない。ラーメンには複雑な感情がある。何なんでしょうね。


2023/07/12

 朝から蒸し暑い。
 気温は23℃くらいなんだけど、雨が降ったりやんだりして湿度が高い。身体がべたつく。洗濯物が乾かないし、困ったもんだ……などと思っていたら、本州の人たちがTwitterで30℃とか35℃とか言っていて激しく反省しました。すいません。
 とはいえ、自分にとって不快な天気で身体がだるく切れがないことは事実なので、夕方に急遽お風呂に入ってリフレッシュした。

 この「他人と比べれば大したことないけど、自分にとってはつらい」という事象の扱い方って、難しくないですか。
 今は「比べなくていい、本人にとってつらいものはつらい」という思想がだんだん根付いてきて、昔より楽になったんじゃないかと思う。とてもいいことだ。
 ただ、私のような仕事だと、その思想に甘えてばかりもいられない。
 私よりさまざまな雑事をこなし、心労を抱え、それでも時間と体力を削って削って、倒れるような思いをして(ときどき実際に倒れて)大量の原稿を書いている作家がいるわけです。
 そうやって揃えた原稿がある、という事実は、先進的で正しい思想を鮮やかに吹き飛ばす。尊ばれるのはそういう作家です。無理したから、ではなく、原稿があるから。
 私はずいぶん、編集者や読者に待ってもらっている幸福な立場です。それに甘えていてはいけないな、と、友だちの作家たちの努力と活躍と自分のそれらを比べて思う。

 そんな友だちからとてもここには書けないようなせちがらい話を聞かせてもらって悲しくなり、早めに外で晩酌した。
 飲むのかよ。だって蒸し暑いんです。本州と比べれば涼しいけど暑いんです。早めかつ控えめに済ませたのでゆるしてください。

 帰ってきて、この日記をアップしたり、メールを送ったりする。
 芸能人の急逝で世間が騒然となっている。
 私の印象では、自分らしく生きられる方向に進んでいたような人だったけど……人の心の内はわからない。くたくたになって魔が差す瞬間は誰にでも訪れる可能性がある。
 この先にプラスの出来事が待っていてもこれまで累積したマイナスは埋まらないなら、いまゼロにしても同じではないか、と思ってしまう瞬間が。
 私の大切な人たち、みんな元気でいてほしい。
 元気じゃなくてもいいので、いてください。

 

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