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きれいな紺色の空の下

2023/07/26

 無気力。
 時間ができたらあれもしよう、これもやらなきゃと思っていたのに、いざ少し時間ができると茫然としてしまう。
 ただの怠惰なのか、それとも心が疲れているのか……ただの怠惰だね、きっと私の場合は。

 それでも、予約していた美容院には行った。
 変なシャツを着て、炎天下を往く。今年買ったシャツで、着て出会った人全員に(今日の美容師さんにも)「面白いシャツですね」と言及されたので、本当に変なのだと思う。いつか見ることがあったら変かどうか判定してください。
 美容室は冷房が効いていて涼しく、その落差で寝落ちしかけた。
 かなり昔から同じ美容師さんにお願いしているのだが(お店が変われば私もそのお店に鞍替えしてきた)なんと、私が小説を書いて本を出したことは今の今まで言っていない。
 何をやっているのかよくわからない客だと思われているだろうな。

 夜も無気力だけど、さすがにこのまま1日を終えるわけにはいかないので、できることからひとつずつやっていく……


2023/07/27

 世の中にたくさんいる寝つきが悪くて不眠ぎみの人たちと比べると、私はコトンと寝てしまうほうなんだけど、それでも妙に目が冴えて眠れないときはある。
 昨夜がそうで、寝つけないまま何やかや考えているうちに窓の外がうっすら青くなってきて、ふらふらと外に出た。
 夜明けなのにもうじっとりと暑かった。
 きれいな紺色の空の下を歩いて、薄青い世界の中で看板を光らせている24時間営業の丼屋さんに入り、うな重を食べた。他にもぽつぽつとお客さんがいた。仕事帰りなのか、これから仕事に行くのか。
 帰ったら眠気が差してきたので、少し寝た。

 夏日。
 換気をしようと窓を開け放ったら熱風がゴンゴン吹きこんできて、家がトロピカル空間になってしまった。
 アイスティを淹れてごくごくと飲みながら、いろいろな価値観って正しいとか違うとか簡単に言えないけど、少なくとも創作物の内部においては「古い」ということはあるかもしれない、などと考える。
 それは、価値観そのもの以上に書き方の問題かもしれない。
 極端な例を上げれば、いま、小説の登場人物が「女の幸せは結婚だ」なんて台詞を言ったら、それは「そういうことを言いそうな人」という明確な意図があると思う。しかし意図がなく、昔の作品のお約束を無意識になぞって、そういう台詞をあんまり言いそうにないキャラに、ぽろっと言わせてしまっている作品があるわけです。それは「古い」と感じる。
 狙ったクラシカルなムードでなく「古い」のは避けたいね。

 話題の芥川賞受賞作『ハンチバック』を買ってくる。
 芥川賞の候補になった作品が中篇1作で薄い単行本になることはあるけど、96ページで1,300円はちょっとびっくりした。この分量だと1,000円くらいじゃなかったっけ。紙の本、高級品になっている。

 今晩はリラックスして眠りたい。明日からまた忙しい。
 この日記を読んでくれている人も、よく眠れますように。南無南無。

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