ほろ酔い、喫茶店にて。
不要不急に、
ゆっくり、ちびちび。酔いどれて。
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街の雰囲気もずいぶん緩やかになってきた。
通勤電車はいつの間にか、当たり前のように満員御礼。勘弁いただきたい。
こうして外を出歩くのに後ろ暗いところがなくなってくると、
部屋に詰められていた分、あれやこれや、行きたいところへの思いが募る。
元々、そんなに出歩く性分でもないくせに。
つくつぐ困った天邪鬼である。
美術館なんかはもう暫くかかりそうだから、
まずはやっぱり、喫茶店でのんびりコーヒーでも飲みたいな。
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写真を遡っていたら、良いものを見つけた。
新宿は西口、思い出横丁。
但馬屋珈琲店という老舗の喫茶店が、その入り口あたりにある。けっこう有名らしいけど、最近友人に連れられるまで知らなかった。
コーヒーの種類もたくさんあり悩むのも楽しいのだけど、
この日はちょっと違うものに挑戦したくて選んだのが、写真手前のグラス。
コーヒーの蒸留酒だそうだ。
けっこうしっかりお酒で、それでいて口当たりはとても柔らかい。
リキュールとコーヒー。どちらも主張しすぎない一口が心地よくて、すいすいグラスの中身が減っていく。
雑貨やコーヒーカップが並ぶ、落ち着いた雰囲気の店内。
友人との他愛もない会話と、
ふと外に目をやれば、慌ただしい新宿の雑踏。
酒器と空気に酔わされて、ぼんやり過ごす昼下がり。
そんな、この上なく贅沢な時間が恋しいものだ。
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あぁ、明日は美味しいコーヒーを飲みにいこう。
ひとり胸に秘める、ささやかな楽しみである。
ヒモ志望です。とっても上手に甘えます。