凪ぎの、 その瞬間は美しいそれだと、信じて疑わなかった。 人を恨むなと教えられてきた。 人を愛せと説かれてきた。 そのままに生きて、この場所に立って、 そして何も…
目標を達成するという強い意志が、 このところ、足りなかったように思う。 —————— 思えば合唱なら演奏会とか、小説なら〆切とか、 なにかをするだけで、どこかの組…
吐いて。吐いて。吐いて。吐いて。 何も残らない自分の空虚を思う、文月は暮れのこと。 —————— 知識も経験も申し分ないけれど、 そんな柔らかなフォローと、明確…
東急田園都市線、と言うらしい。 そんな、なんとなくハイソが香る名前の電車。残念ながら全く縁もゆかりもない人生である。 それがなかなか、どうしてこうして。 ひょんな…
嗤ってしまうほど何も上手くいかない日はあって、 そんな書き出しを以前もした記憶があるけれど、 今日もまた、そんな一日が巡ってきたのである。 —————— 通勤前…
凪ぎの、 その瞬間は美しいそれだと、信じて疑わなかった。 人を恨むなと教えられてきた。 人を愛せと説かれてきた。 そのままに生きて、この場所に立って、 そして何もない。ここには何もない。 波風の立たない水面のなんという美しさよ、 そして、 なんという虚しさよ。 ここには何もない。 喜びも、愛も、怒りも、渇望も。 凛とした水平線は切っ先のように静かで、 空々しく、息が詰まるようで。 私はそこに立っている。 まるで他人事のように。遠くの果てを見遣りながら。 嗚呼、胃
目標を達成するという強い意志が、 このところ、足りなかったように思う。 —————— 思えば合唱なら演奏会とか、小説なら〆切とか、 なにかをするだけで、どこかの組織に属しているだけで、 おのずと何かしら成すべきことが出来てくるものだ。 それは責任であると同時に、受動的な意識を以て無責任にもなってしまう。 考えなしに生きていたって、誰かが勝手に道筋を作ってくれる。ゴールを作ってくれる。自分はそれに沿って、歩いていれば良いだけ。 誰かに寄りかかって生きていればいい。 本当
吐いて。吐いて。吐いて。吐いて。 何も残らない自分の空虚を思う、文月は暮れのこと。 —————— 知識も経験も申し分ないけれど、 そんな柔らかなフォローと、明確な不採用のメッセージ。 ガラスの画面に映る無機質な拒絶の意思。 始めて一月になる転職活動は、 えぐるように、刻むように、自分の無力を暴きだしていく。 それでも積み重ねてきたものがあると思っていた。誇れる何かを持っていると信じていた。 その現実が、この無様だ。 必要とされる何処かを求めて彷徨い、自らの行き先も見
東急田園都市線、と言うらしい。 そんな、なんとなくハイソが香る名前の電車。残念ながら全く縁もゆかりもない人生である。 それがなかなか、どうしてこうして。 ひょんなことで渋谷(これも別の意味で縁のない)から件の沿線の列車に乗り込み、 珍しい用事から解放されたのは、昼を少し回った頃だった。 このまま帰宅しても良いけれど、せっかく無い機会だし、どこかに寄りたいような、帰りたいような。 なんて、途方に暮れる視界に飛び込んできた案内板。初めての、それでいて見かけた記憶のある名前。
嗤ってしまうほど何も上手くいかない日はあって、 そんな書き出しを以前もした記憶があるけれど、 今日もまた、そんな一日が巡ってきたのである。 —————— 通勤前に寄ったクリーニング屋が時短営業でまだ空いていなくて、 それならばと朝食を摂りに入った喫茶店で、サンドウィッチの中身をスラックスにこぼした。 仕事は仕事で珍しく良いことがあったと思ったら、 その作業途中のしょうもないミスに気づかず、あとでまぁまぁの大目玉を喰らったり。 開店時間を調べておけば良いのだ。皿の上で