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デ・キリコ展_202405

東京都美術館で2024年4月27日~8月29日まで開催されている、ジョルジョ・デ・キリコ(Giorgio de Chirico:1888-1978)の全体像が把握できる回顧展です。

シュルレアリスムなどに影響を与えた形而上絵画から、第一次世界大戦の残忍さや世界の観察者としてのマヌカンの登場、そしてルネサンス・バロックへの回帰を経て、初期の形而上絵画に戻る「新形而上絵画」へと行き着く。

その流れが、この企画展を見るだだけでありありと伝わってくるので、デ・キリコ初心者でも十分に楽しめました。名前は知ってるけど、いまいち絵画はよくわからなかったデ・キリコ。グッズも可愛くておすすめです。


ここからは印象に残った作品を。

まずはマヌカンの人間化。
初期のマヌカンはこんなにも無機質な感じなのに、

《予言者》 1914-15年、油彩・カンヴァス ニューヨーク近代美術館

1930年頃になると、人間らしい何か違うものへと変化を見せる。そしてルノワールから着想を得た《南の歌》は、えーー、こんな描き方もするの?という驚きで、思わず声が出てしまいました。

《南の歌》ウフィツィ美術館群ピッティ宮近代美術館、1930年頃

少し戻って1925年の《ギリシャの哲学者たち》は同様にマヌカンの人間化が見られるけど、ルノワール風なのとは異なり、なんだかアニメっぽい。

デ・キリコ《ギリシャの哲学者たち》ナーマド・コレクション、1925年

これを見とき、ラファエロの《アテナイの学堂》の中心の2人、プラトンとアリストテレスの楽屋裏的なラフさを感じて面白かった。ずっとポーズ取らされて疲れたよな、師匠?って感じじゃない?

ラファエロ《アテナイの学堂》バチカン宮殿、 1509年-1510年

あとはなんと言っても、こちらではないでしょうか。
結局、形而上絵画とは何か、明確に自分の中で理解したわけではないですが、これは形而上感ある・・・!
故郷への帰還を目指して、部下と共に航海を続けるオデュッセイヤは最終的に部下が全員死亡して1人で故郷トロイヤに到着することになるんだけど、このライト感!お金持ちが家のプールでちょっと遊んでました感ある!でもその周りのデ・キリコ自身の絵画や、開かれた扉、椅子や外の景色など、絶対何かを暗示してる感もすごい。よくわかんないけど、強烈な印象を受けました・・・

デ・キリコ《オデュッセウスの帰還》ジョルジョ・エ・イーザ・デ・キリコ財団、1968年

近現代抽象(的な)絵画は、もう理解できないからこそ、解説を読みつつ、自分の独自解釈とか関連性を勝手に想像できて、それが面白くもあります。

最後の《オデュッセウスの帰還》はちょうど良いサイズあれば、トイレとかに飾りたいなって思いました笑

おしまい

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